ハイブリッドワークの整え方【前編】
在宅とオフィスの併用勤務「ハイブリッドワーク」で“脱VPN”が広がる理由
新型コロナウイルス感染症対策として、テレワークとオフィスワークを組み合わせた「ハイブリッドワーク」が広がり始めている。こうした中、従来の「VPN」の課題が顕在化しているという。何が起きているのか。
企業のリーダーが、テレワークとオフィスワークを組み合わせた業務形態「ハイブリッドワーク」に関するセキュリティ面の助言を求めても、答えを得るより疑問が増える結果になりがちだ。本連載はVMwareの製品マーケティングおよびパートナーシップ担当シニアディレクターであるエイブ・アンクマ氏の話を基に、企業が安全なハイブリッドワークを実現するために必要なインフラを解説する。
ハイブリッドワークの恒常化
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)に伴う規制が緩和され、企業はポストコロナ(COVID-19のパンデミック終息後)の戦略を練っている。その中で、ポストコロナにおける大きなシフトの一つ「フレキシブルな労働環境」が存続する可能性がますます高まっている。
2020年のCOVID-19のパンデミック下で、従業員がハイブリッドワークで働くことは、企業の生産性を保つのに役立った。オフィスの電気代と維持費の削減や週5日の通勤を望まない人材を雇用する機会の拡大といった、ハイブリッドワークのさまざまな利点を企業が認識し始めている。
ハイブリッドワークを定着させるには、テレワークを支える技術を見極め、従業員がどこにいても効率的かつ均質なセキュリティとパフォーマンスで業務できるようにすることが重要だ。例えばVPN(仮想プライベートネットワーク)は、社内LANへのリモートアクセスの手段として企業がパンデミック期に頼った技術だ。一方で長期的な観点から見ると、VPNはテレワークのリモートアクセス技術として理想的ではない可能性がある。
ハイブリッドワークには「VPN」は理想的とは言えない理由
「COVID-19の影響で、IT部門はテレワーク中の従業員をサポートするために緊急の対応を迫られた」とアンクマ氏は指摘する。リモートアクセスVPNをはじめとする既存のVPN製品を増強することは、その時点で最も都合の良い一時しのぎの選択肢だった。しかしVPNはこのような規模での運用を意図していなかったため、「結果的に意図しないセキュリティ上の問題が生じた」(同氏)。
一般的に従業員が認証に成功して、社内LANへの暗号化トンネルを確立させると、その従業員は社内LAN全体に自由にアクセスできるようになる。ただし、これは攻撃者の侵入経路にもなり得る。VPN経由のリモートアクセスは「企業のレガシーなVPN製品が持つさまざまな脆弱(ぜいじゃく)性を通じた攻撃を生み出し、社内LANにマルウェアを拡散させる手段になる」とアンクマ氏は懸念する。
VPNのスケーラビリティ、パフォーマンス、セキュリティに関する問題を軽減する技術として台頭しているのが、「ZTNA」(ゼロトラストネットワークアクセス)などのリモートアクセス技術だ。ZTNAは、エンドユーザーやデバイス、デバイスが接続するネットワークなどの状況(コンテキスト)を基にアクセス制御を実施する。
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