「可観測性」を成功させる4つのポイント【中編】
“システム突然死”防止にSplunkなどの「イベントログ記録ツール」を生かす方法
システムの障害や過負荷を予測するには、イベントログ記録が有効だ。ただしイベントログ記録ツールはパフォーマンス低下を招く恐れがある。どうすればいいのか。
システムの内部状態がどのように変化するのかを外部出力への反応から測定する能力を「可観測性」(オブザーバビリティ)と呼ぶ。可観測性を実現する「4つのポイント」とは何か。1つ目を紹介した前編「『システムが急に止まった』の阻止には“4つのゴールデンシグナル”を見るべし」に続き、中編となる本稿は2つ目と3つ目を取り上げる。
2.可観測性の実現に重要な「イベントログの常時把握」
併せて読みたいお薦め記事
システム管理の在り方は変わっている
イベントログは企業のシステム部門に、分散型システムの多種多様な可観測性データをもたらす。「Prometheus」「Splunk」といったイベントログ記録ツールはイベントを取得して記録する。イベントログ記録ツールが取得するイベントには、
- システムのプロセスの正常な終了
- 大きなシステム障害
- 予定外のダウンタイム(システム停止期間)
- 過負荷を誘発するトラフィックの急増
などがある。
タイムスタンプや順次記録を組み合わせ、発生した問題の詳細を提供するのが、イベントログの主な役割だ。企業はイベントログの活用により、インシデント発生時とそこに至るまでの一連のイベントを迅速に特定できる。イベントログは、問題のあるコンポーネントの相互作用が分かるデータも提供するので、エラーを解消するための重要な情報源になる。
悪影響を防ぐためのイベントログ記録ツールの活用
包括的なイベントログ記録は、システムのスループット(仕事の処理能力)などの要件を大幅に高める。そのためシステムの動作が遅くなったり、リソースが不足したりし、システム稼働に悪影響を与える恐れがある。特にクラウドサービスを使った大規模な分散型システムでは注意が必要だ。
イベントログ記録ツールによる悪影響を抑えるには、企業はシステムを再起動したり、コードの大部分を更新したりしない形でログ記録操作を開始、停止、調整できるツールを使う必要がある。例えばリソースを大量に使用するデバッグツール(プログラムの欠陥を特定し取り除くツール)は、システムリソースを継続的に使用するのではなく、1つのシステムのエラー率が所定の制限を超えた場合のみ有効になるようにする。
3.要求の入念な追跡
各システム間の呼び出しと、各呼び出しの最初から最後までの実行時間を追跡することを「要求追跡」と呼ぶ。要求追跡の情報だけでは、特定の要求が失敗したときに何が問題だったのかといった詳細なことは分からない。とはいえシステムのワークフロー内で問題が発生した箇所を特定できるため、貴重な情報源になる。
要求追跡はイベントログ記録と同様、注意が必要だ。要求追跡ツールの利用によってリソース使用量が増えるため、異常なアクティビティーやエラーがある場合にのみ使用することがポイントになる。要求追跡によって定期的にトランザクション履歴の個別のサンプルを取り出すことにより、リソースに負担を掛けない方法で分散型システムを監視できる場合もある。
後編は、可観測性データを視覚化するための方法を紹介する。
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[ファインディ株式会社] AI利用率だけでは説明できない成果 開発組織の競争力を生む「開発資本」とは? -
製品資料
[ニュータニックス・ジャパン合同会社] AI活用を成功へ導く、シンプルで費用対効果に優れたクラウド基盤とは? -
製品資料
[ニュータニックス・ジャパン合同会社] マネージドKubernetesには限界も――メリットをフル活用する新たな選択肢とは? -
技術文書・技術解説
[ニュータニックス・ジャパン合同会社] 決断の日が迫る「vSphere 8」サポート終了問題 考慮すべきリスクと選択肢は? -
製品資料
[サイバーソリューションズ株式会社] メール誤送信対策のルールが肥大化 苦しむ情シスはどうすれば救われるのか?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
2
「アップグレードできないJava」をどう守る IBMとRed HatがAIで400件超修正
-
3
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
4
Copilot導入で陥る“目的化”の落とし穴 定着の鍵は「作り込まない」こと
-
5
パッチなしで「今すぐサーバを落とせ」 Kiteworks異例警告の波紋
-
6
kintoneで実践 製造業のための「見積もり管理」改善のヒント
-
7
「企業におけるAI導入検討度とIT投資優先度」に関するアンケート
-
8
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
9
「IoT通信環境の構築・運用」に関するアンケート
-
10
OpenAIやAnthropicでさえ制御不能 2026年夏「3大サイバー攻撃」の衝撃
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
-
4
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
5
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
6
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
7
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
8
Linux初心者でも知らないとまずい「RHEL」「SLES」の違いとは?
-
9
東大教授と考える、AI時代の「データ主権」「信頼性」「ガバナンス」の在り方
-
10
マンガで学ぶXDR/MDRのメリット、中小企業のセキュリティ強化になぜ有効か?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー