構造からSSDを考える【第2回】
SSDにDRAMは本当に必要なのか? “DRAMレス”のすごい利点とは
SSDにDRAMを搭載しないことで幾つかの利点が見込めるものの、データセンターはその活用には消極的だった。ただし以前とは状況が異なる。DRAMをなくす利点を踏まえて考えてみよう。
SSDにはDRAM(Dynamic Random Access Memory)を搭載する製品と、搭載しないDRAMレスの製品がある。DRAMを内蔵するのが一般的なSSDの設計だが、昨今はDRAMを搭載しない設計にも関心が向きつつある。その背景には何があるのか。
「DRAMレスSSD」の意外な利点はこれだ
併せて読みたいお薦め記事
連載:構造からSSDを考える
SSDを賢く使うこつ
DRAMはSSDにおいて、NAND型フラッシュメモリへのデータ読み書きに関するさまざまな制御を担う。内蔵DRAMを増やせば、データの読み書き速度といったSSDのパフォーマンスは向上しやすくなるが、価格と消費電力も上昇しやすくなる。ホスト(コンピュータ)とSSDの動作が互いに邪魔をし合い、システム全体のパフォーマンス低下を招く可能性があることも、SSDにDRAMを搭載する場合の注意点の一つになる。
本来はSSD内蔵のDRAMが担う処理を、ホストのメモリの一部で置き換えるのが、DRAMレスSSDの仕組みだ。この仕組みは「HMB」(Host Memory Buffer)と呼ばれる。HMBによってホストとSSDの動作をより細かく制御することで、双方の動作のタイミングを合わせて動作の無駄を出しにくくすることが可能になる。
ユーザー企業は、SSDのアーキテクチャに応じてアプリケーションの動作をチューニングすることで、DRAMレスSSDのパフォーマンスを最大限に引き出せる。特にハイパースケーラー(大規模なデータセンターを運営する事業者)は、ほぼ全てのアプリケーションの動作を内製で調整しているため、HMBを取り入れることは合理的な判断になる。
解消されつつあるDRAMレスSSDの懸念点
ハイパースケーラーは、制御機能のほとんどを取り除いたSSDの活用に乗り出している。例えば検索エンジンを手掛けるBaiduがその一社だ。
DRAMレスSSDに着目するのはBaiduのようなハイパースケーラーばかりではない。SSDベンダーだったFusion-ioは、10年以上も前(本稿執筆時点は2023年)に、汎用(はんよう)インタフェース規格「PCI Express」(PCIe)を使用するDRAMレスSSDのビジネスを開始した。その後、SanDiskがFusion-ioを買収し、そのSanDiskをWestern Digitalが買収した。
Fusion-ioがその仕組みを発表した当初、ユーザー企業の関心はあまり高まらなかった。理由の一つは、DRAMレスSSDはホストのDRAMの一部を借りるため、ホストが使用するメモリ容量を侵食する可能性があるという点だ。SSDからホストを起動できないため、あらかじめホストが起動しているかどうかに左右される点も、DRAMレスSSDの懸念事項だった。
DRAMレスSSDの仕組みは進化しており、ホストとSSDの起動順序に関する問題は克服され始めた。ホストのDRAM使用量に対する考え方も以前とは異なり、DRAMレスSSDを活用する機運が高まりつつある。
第3回は、DRAMレスSSDの利点と注意点をより深く紹介する。
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社ガラパゴス] 「AIっぽい広告」の山に埋もれさせない AIマーケで着実に成果をだす秘訣とは? -
製品資料
[株式会社ガラパゴス] 「広告投資」調査レポート2026:勝ち組企業は何に投資しているのか? -
製品資料
[株式会社Helpfeel] 「問い合わせの渋滞」を解消、情シスの負担を軽減する“次世代型AI”活用方法 -
製品資料
[株式会社Helpfeel] 対話型AIエージェント×RAGで社内情報の検索/問い合わせを効率化するには? -
技術文書・技術解説
[株式会社クレスコ] ソフトウェア開発の属人化と手戻りをどう防ぐ? 速さと品質を両立させる方法
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Copilot」はなぜ放置される? “議事録要約止まり”を脱する処方箋
-
2
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
-
3
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
4
AI全部入り「Microsoft 365 E7」に企業が二の足を踏む訳 移行意向はわずか4%
-
5
AIエージェントが自社を襲う 人間より危険な「非人間ID」の盲点
-
6
AIエージェントはどう作る? まず押さえておきたい重要技術
-
7
「AIならすぐできるはず」と言われるエンジニア 他職種とのずれを埋めるには
-
8
Microsoft 365が狙われる 「パスキー更新」を口実にした攻撃の連鎖
-
9
「セキュリティ疲れ白書 2026」 4社に3社が疲弊し9割が属人化
-
10
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
マンガで解説:「ゼロトラスト」「SASE」の必要性とメリット
-
2
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
3
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
4
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
5
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
6
国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始に向けて、対応すべき変更点とは?
-
7
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
8
ドラマで分かる、標的型攻撃メールの被害を受ける企業と回避できる企業の分岐点
-
9
少額減価償却資産が40万円未満へ拡大、令和8年度税制改正で押さえるべき変更点
-
10
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー