データ保管のコストをいかに抑制できるかは、データが急増する状況においては企業にとって極めて重要だ。それに役立つのが「データ削減」だが、実行する際は慎重さが求められる。
企業のストレージ分野で起きている興味深い点を2つ挙げるとすれば、「SSD」を使う動きがデータセンターで広がっていることと、SSDの容量が逼迫(ひっぱく)する傾向にあることだ。SSDの「データ削減」が重要になるのは必然だと言っていい。ただしSSDに対して、やみくもにデータ削減を適用すればいいわけではない。「データ削減とは何か」を踏まえて考えてみよう。
データ削減という用語は、幾つかの機能を包含する。「データ圧縮」と「重複排除」という技術が、データ削減の意味に含まれる。データ圧縮はビット単位、重複排除はストレージにおける「ブロック」(データ領域)単位で無駄なデータを削減する技術だ。
SSDを搭載するストレージシステムでデータ削減を利用することは一般的になりつつあるが、以前はそうではなかった。アプリケーションの挙動に何らかの影響を与える懸念があったからだ。企業はSSDでデータ削減を利用する際、何に注意が必要なのか。
データ削減の実行は、CPUとメモリのリソースを消費する。それはI/O(データの入出力)のオーバーヘッド(負荷)となり、レイテンシ(遅延)を増加させる可能性がある。企業が利用するアプリケーションによっては、データ削減の効果を十分に得られない場合もある。その条件でデータ削減を実行すると、不要なオーバーヘッドが発生してしまう。
重複排除の効果を十分に得られるかどうかは、冗長するデータがどれだけあるのかに左右される。冗長が少なくなるほど、重複排除のメリットは小さくなる。
中には、データ削減を常時実行するか、全く実行しないかという、2択の極端なアプローチを取るストレージ製品もある。常時実行は、扱うデータによってはデメリットになる場合もあるので注意が要る。例えば何らかのデータ保護規制を順守すべき場合、データ削減を実行することでデータの元の状態を失ってしまい、それが問題になる可能性がある。
ストレージ製品の機能は個々に異なるので、企業の担当者がメリットとデメリットを導入前に十分に把握するのは簡単ではない。導入後にその欠点に気付くことも考えられる。注意が必要な点は、例えば圧縮したデータを完全に元の状態に戻せる「可逆圧縮」ができるかどうかだ。ストレージアレイ全体にデータ削減を適用できるかどうかも見落としがちな点になる。
第3回は、SSD関連の技術進化を踏まえて、データ削減機能の進化を紹介する。
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