「ChatGPT」を生んだOpenAIとの提携により、生成AIに注力するMicrosoft。生成AIを取り巻く競争が激化する中、Microsoftはどのような生成AI製品を生み出しているのか。
2023年1月、MicrosoftはAI(人工知能)ベンダーOpenAIに対する、約100億ドル(約1兆3400億円)の追加投資計画を明らかにした。OpenAIは、大規模言語モデル(LLM)を利用したAIチャットbot「ChatGPT」の開発元だ。追加投資により、MicrosoftはOpenAIとの提携を強化する。
MicrosoftはOpenAIの力を借り、テキストや画像などを自動生成するAI技術「ジェネレーティブAI」(生成AI)を組み込んだ製品開発を加速させている。両社の提携から、どのような製品が生まれているのか。
2023年2月には、Microsoftは同社の検索エンジン「Bing」に、OpenAIの技術を採用すると発表。同月にはユニファイドコミュニケーション(UC)システム「Microsoft Teams」の有償オプションとして、AI機能を利用可能な「Microsoft Teams Premium」の提供を始めた。
GoogleをはじめとしたMicrosoftの競合企業も、生成AIを組み込んだ製品を相次いで投入している。生成AIを巡る競争は激化する一方だ。
こうした中、Microsoftは2023年3月に「Dynamics 365 Copilot」を発表した。Dynamics 365 Copilotは、AI技術を採用したビジネス支援ツールだ。ERP(統合業務)パッケージやCRM(顧客関係管理)パッケージといった、同社の業務パッケージ群「Dynamics 365」の各アプリケーションと連携し、顧客情報の収集やメール作成といった作業を自動化できる。
調査会社Gartnerのアナリストを務めるジェイソン・ウォン氏は、Dynamics 365 Copilotについて「『Microsoft Azure』の優位性を明確にするために有効だ」とみる。Dynamics 365 Copilotは、Microsoftのクラウドサービス群であるAzureをインフラとして利用する。
Microsoft傘下のGitHub社は、生成AIを活用したソースコード自動生成ツール「GitHub Copilot」を提供している。ウォン氏は「GitHub Copilotは大成功を収めてきた」と説明。Dynamics 365 Copilotは、GitHub Copilotと同様の力を発揮すれば「ユーザー企業のビジネスを大きく変える可能性がある」とウォン氏は言う。
中編は、CRMベンダーによる生成AIの取り組みを紹介する。
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