「Bard」は結局「ChatGPT」と何が違うのか? “後追い”ではない理由過熱する「AI検索」の覇権争い【第4回】

先行するOpenAIの「ChatGPT」に対抗するため、Googleは独自のAIチャットbot「Bard」を生み出した。同社がBardに懸ける思いと“真の狙い”とは。

2023年05月24日 08時15分 公開
[Shaun SutnerTechTarget]

 「これは実験的な会話AI(AI=人工知能)サービスだ」――。GoogleのCEOスンダー・ピチャイ氏が、同社公式ブログのエントリ(投稿)でこう説明したのが、AIチャットbot(AI技術を活用したチャットbot)の「Bard」だ。

 ピチャイ氏の説明をまとめると、BardはAIベンダーOpenAIのAIチャットbot「ChatGPT」と同じことができる、ということになる。ただし違いもあり、それこそがBardの強みになるというのが、Googleの見解だ。

BardはChatGPTとは“これ”が違う

 インターネットから知識を引き出し、その知識をGoogleが保有する言語モデルと組み合わせて出力する――。これが、ピチャイ氏が説明するBardの主な特徴だ。もう一つの、かつ重要な特徴が、生成する表現の適切さだという。

 「Googleは安全性、正確性の確保に努め、事実に基づく結果を提供することに尽力してきた」とピチャイ氏は強調する。これは、攻撃的な単語や差別的な内容などの不適切な表現を取り除くためのワードフィルターを使用しているにもかかわらず、ChatGPTが攻撃的あるいは誤った回答を生成することへのけん制だと言える。

 調査会社Opus Researchの創設者兼アナリスト、ダン・ミラー氏は「チャットbotが不得意なことに関して、Googleは『ガードレール』を設置してくれるパートナーシップを強化しようとしている」と話す。これはGoogleが、AIチャットbotの抱える「不適切回答」問題の回避策を生み出すパートナーを探しているということだという。AIチャットbotは、攻撃的あるいは差別的など、不適切な回答を生成する場合があることが分かっている。

 「ChatGPTやBardといったAIチャットbotは、詳細情報を知ることには適していない」とミラー氏は指摘する。例えば企業やブランド、製品などの詳細を調べることは難しい。「ChatGPTやBardをコールセンターに導入する前に、解決すべきことはたくさんある」(ミラー氏)


 次回は、AIチャットbot市場においてGoogleが出遅れた理由を解説する。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

ITmedia マーケティング新着記事

news060.jpg

Z世代が考える「日本が最も力を入れて取り組むべき課題」1位は「ジェンダー平等」――SHIBUYA109 lab.調査
SDGsで挙げられている17の目標のうち、Z世代が考える「日本が最も力を入れて取り組むべき...

news061.png

高齢男性はレジ待ちが苦手、女性は待たないためにアプリを活用――アイリッジ調査
実店舗を持つ企業が「アプリでどのようなユーザー体験を提供すべきか」を考えるヒントが...

news193.jpg

IASがブランドセーフティーの計測を拡張 誤報に関するレポートを追加
IASは、ブランドセーフティーと適合性の計測ソリューションを拡張し、誤報とともに広告が...