先行するOpenAIの「ChatGPT」に対抗するため、Googleは独自のAIチャットbot「Bard」を生み出した。同社がBardに懸ける思いと“真の狙い”とは。
「これは実験的な会話AI(AI=人工知能)サービスだ」――。GoogleのCEOスンダー・ピチャイ氏が、同社公式ブログのエントリ(投稿)でこう説明したのが、AIチャットbot(AI技術を活用したチャットbot)の「Bard」だ。
ピチャイ氏の説明をまとめると、BardはAIベンダーOpenAIのAIチャットbot「ChatGPT」と同じことができる、ということになる。ただし違いもあり、それこそがBardの強みになるというのが、Googleの見解だ。
インターネットから知識を引き出し、その知識をGoogleが保有する言語モデルと組み合わせて出力する――。これが、ピチャイ氏が説明するBardの主な特徴だ。もう一つの、かつ重要な特徴が、生成する表現の適切さだという。
「Googleは安全性、正確性の確保に努め、事実に基づく結果を提供することに尽力してきた」とピチャイ氏は強調する。これは、攻撃的な単語や差別的な内容などの不適切な表現を取り除くためのワードフィルターを使用しているにもかかわらず、ChatGPTが攻撃的あるいは誤った回答を生成することへのけん制だと言える。
調査会社Opus Researchの創設者兼アナリスト、ダン・ミラー氏は「チャットbotが不得意なことに関して、Googleは『ガードレール』を設置してくれるパートナーシップを強化しようとしている」と話す。これはGoogleが、AIチャットbotの抱える「不適切回答」問題の回避策を生み出すパートナーを探しているということだという。AIチャットbotは、攻撃的あるいは差別的など、不適切な回答を生成する場合があることが分かっている。
「ChatGPTやBardといったAIチャットbotは、詳細情報を知ることには適していない」とミラー氏は指摘する。例えば企業やブランド、製品などの詳細を調べることは難しい。「ChatGPTやBardをコールセンターに導入する前に、解決すべきことはたくさんある」(ミラー氏)
次回は、AIチャットbot市場においてGoogleが出遅れた理由を解説する。
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