「vSphere」「ESXi」のサポート終了を乗り切るには【第3回】
ESXi「サポート切れ」後の代替候補になるHyper-V、KVM、AHVの違いはこれだ
「VMware vSphere」や「ESXi」のサポート終了は、ハイパーバイザーの移行を検討する機会になる。「Hyper-V」「KVM」「Nutanix AHV」など、主なハイパーバイザーの特徴や比較するときのポイントを説明する。
VMware(Broadcom が2023年11月に買収)のハイパーバイザー「ESXi」を含むサーバ仮想化製品群「VMware vSphere」(以下、vSphere)のバージョン6.5と6.7は、2023年11月にEoTG(End of Technical Guidance:テクニカルガイダンス期間の終了)を迎えた。EoTGを過ぎたバージョンのvSphereは、セキュリティパッチ(パッチ:修正プログラム)の配布や新機能の追加がされなくなる。
本連載は、vSphereの古いバージョンを使い続けるリスクと、ESXiのバージョン7.0以降に搭載された新機能を解説してきた。vSphereのサポート終了は、バージョンアップだけでなく、ESXi以外のハイパーバイザーを検討する機会でもある。ハイパーバイザーの選択肢はさまざまで、それぞれ細かな機能の差はあるが、仮想マシン(VM)の実行や管理に必要な大抵の機能は備えている。ただし機能面での比較は単純ではない。
企業が利用するハイパーバイザーの選択肢としてはESXiの他に、Microsoftの「Hyper-V」やRed Hatが開発したオープンソースの「KVM」(Kernel-based Virtual Machine)、Nutanixの「Nutanix AHV」などが挙げられる。これらの3つのハイパーバイザーの特徴を説明する。
ESXiの代替候補「Hyper-V」「KVM」「Nutanix AHV」の違いとは?
Hyper-V
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連載:「vSphere」「ESXi」のサポート終了を乗り切るには
「vSphere」のサポート終了を乗り切る
Hyper-VはMicrosoftのサーバOS「Windows Server」で実行可能なハイパーバイザーとして、基本的にはWindows Serverの更新に合わせてバージョンアップがなされている。Windows ServerのうちHyper-Vの機能だけを搭載した無料のハイパーバイザー「Microsoft Hyper-V Server」も存在するが、同製品は2019年版が最新で、2022年版(「Windows Server 2022」対応版)は発表されていない。
ハイブリッドクラウド向けアプライアンスの「Azure Stack HCI」の提供が開始してから、Microsoftの仮想化製品戦略は変化しつつある。Azure Stack HCIのOSは、以前はWindows Serverベースであったが、現在はAzure Stack HCI独自のHyper-VベースのOSに切り替わっている。
従来のWindows ServerのHyper-Vは、2~3年ごとに大規模なアップデートがあった。しかし近年は、最新のハードウェアやクラウドサービスの新機能に追従するために、Hyper-Vのライフサイクルは変化している。今後Microsoftの仮想化製品は、Azure Stack HCIが主流になると考えられるため、Hyper-Vを利用するユーザー企業には、バージョンアップのタイミングを見直すことが求められる。
KVM
KVMは、OS「Linux」で利用可能なオープンソースのハイパーバイザーだ。2007年に発表されたLinuxのカーネル2.6.20以降は、KVMが搭載されている。
KVMはLinuxのアクセス制御機能である「Security-Enhanced Linux」(SELinux)を利用して、VMのセキュリティを強化できる。KVMは他のハイパーバイザーと同様に、基本的なVMの管理機能を備えている。
単一のホスト(サーバ)で数台のVMを手動で管理することも可能だが、企業が利用する場合は、KVMを基にしたRed Hatのハイパーバイザー「Red Hat Virtualization」や、同社のコンテナ管理製品群「Red Hat OpenShift」などのソフトウェアを利用するのが一般的だ。
Red Hatの「Red Hat OpenStack Platform」は、Red Hat Enterprise Linuxをベースに、パブリッククラウド(リソース共有型のクラウドインフラ)またはプライベートクラウド(リソース専有型のクラウドインフラ)を構築するためのソフトウェアだ。「OpenStack Compute」はRed Hat OpenStack Platformの機能の一つで、KVMを使用して仮想マシンを実行する。Red Hat OpenStack Platformのバージョン16と17は、4年間のサポート(Production Support)がある。最終年度はオプションでExtended Lifecycle Support(ELS)となり、合計5年間のサポート期間がある。
Nutanix AHV
Nutanix AHV(以下、AHV)はKVMをベースにNutanixが開発したハイパーバイザーだ。企業向けの管理機能やセキュリティ強化に重点が置かれている。
AHVは、Nutanix製のHCIでのみ利用できる。Nutanix製HCIは他のハイパーバイザーも利用できるが、AHVならではのメリットがある。それは専用ハイパーバイザーとして無料で利用できることと、Nutanix製HCIとAHVを組み合わせた場合にだけ利用可能な機能があることだ。
Nutanixのクラウドインフラ構築・運用ソフトウェア群「Nutanix Cloud Platform」とAHVを利用すれば、IaaS(Infrastructure as a Service)のVMを構築できる。オンプレミスのインフラとクラウドサービスを連携させるハイブリッドクラウドインフラの構築や、オンプレミスシステムのクラウド移行が可能になる。
ESXi
ESXiは、1台のホストサーバで利用することも、サーバ管理ソフトウェアの「VMware vCenter」で複数台のホストサーバのクラスタを構成して利用することも可能だ。ESXiはDell Technologiesの「Dell VxRail」(以下、VxRail)といった、ハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)のハイパーバイザーとして組み込まれていることもある。
VxRailはDell TechnologiesとVMwareが共同開発した製品のため、他のVMware製品との相性が良い。VxRailでVMware vSphereが使われるのはその一例だ。
vSphereを使い、IaaSのVMを構築することもできる。オンプレミスインフラを、VMwareのクラウドインフラ構築用ソフトウェア群「VMware Cloud Foundation」で構成することで、ハイブリッドクラウドの構築や、オンプレミスシステムのクラウド移行ができるようになる。
各ハイパーバイザーを比較する場合、何に着目すればいいのか。例えば主要ハイパーバイザーの一つであるESXiとAHVは、どちらもVMを動作させるための基本的な機能を搭載している。
ESXiとAHVを比較する際は、ハイパーバイザーの機能やコストだけに着目すべきではない。仮想化インフラを構築するために利用中のハードウェアやソフトウェア、クラウドサービスとの関係性を考慮して比較するのがよい。
次回は、ESXiととAHVのサポート体制や、VMのクラウド移行という選択肢について詳しく説明する。
執筆者紹介
小林浩和(こばやし・ひろかず) ネットワンシステムズ ビジネス開発本部応用技術部
主にVMware製品を担当し、製品の評価・検証を実施。近年ではエッジコンピューティングやAI(人工知能)技術など、クラウドインフラに関わる先進技術の調査にも取り組んでいる。
篠崎智昭(しのざき・ともあき、「崎」は正しくは「たつさき」) ネットワンシステムズ ビジネス開発本部応用技術部
2018年からビジネス開発本部 応用技術部に所属。サーバやHCI(ハイパーコンバージドインフラ)製品担当としてプラットフォーム製品の提案や設計、検証、構築、運用などに取り組み、技術的観点からビジネスを推進している。
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