半導体ベンダーAMDのAI戦略【中編】
「GPU」でも「APU」でも勝負 AMDが目指す“NVIDIAとの違い”
AI技術が台頭する中で一段と注目を集めるようになったのが、GPUを手掛けるプロセッサベンダーの動向だ。AMDはAI分野の動向をどう見ていて、どのようなプロセッサ製品を提供するのか。
AI(人工知能)技術の活用が進む見通しの中で、AI技術の活用や開発に欠かせないプロセッサを手掛ける半導体ベンダーの動向に注目が集まる。Advanced Micro Devices(AMD)は、「GPU」(グラフィックス処理装置)の「Instinct MI300」シリーズをはじめとした製品でAI分野の強化に乗り出している。同社の最高技術責任者(CTO)マーク・ペーパーマスター氏に重点的な取り組みを聞いた。プロセッサとAI技術の動向をどう見ていて、プロセッサの提供において何を重視するようになったのか。
クラウドからノートPCまでが戦場
―― GPUをはじめとしたハードウェアはAI技術が台頭する中でどう変わっていますか。その中でのAMDの注力点は何でしょうか。
併せて読みたいお薦め記事
連載:半導体ベンダーAMDのAI戦略
AMDの最近の動きとは
ペーパーマスター氏 Instinct MI300シリーズは、AMDの最先端技術を盛り込んだ“肝いり”のGPUだ。これはAI分野で戦うNVIDIAをはじめとした競合他社への挑戦状だと捉えてもらっていい。学習済みのモデルを使って質問に答えたり作業を支援したりする「生成AI」の動作は、メモリの容量に大きく左右される。Instinct MI300シリーズの中には192GBのメモリを搭載するモデルがある。これは生成AIの能力を引き出すことを重視した設計だ。
AMDは3D(3次元)パッケージング(半導体チップを3次元に積層する技術)やチップレット(機能を分割した小型チップ)などの技術に投資し、AI分野でのリーダーシップ獲得を目指している。
PC分野では、GPUを搭載するAIアクセラレーターである「APU」(アクセラレーテッド処理ユニット)として「Ryzen 7040」シリーズを投入した。当社はスーパーコンピュータからクラウドサービス、エンドユーザーのPCに至るまで、AI技術を活用するための半導体製品を幅広く提供する。
―― ソフトウェアに関する取り組みについて教えてください。
ペーパーマスター氏 今後もソフトウェア開発支援ライブラリ・ツール群「AMD ROCm」を重視することに変わりはない。AMD ROCmは並列プログラミングや、AI技術の処理にGPUを使う際のコンピューティング性能の最適化に活用できる。AMD ROCmは、NVIDIAの「CUDA」(Compute Unified Device Architecture)と同様の役割を担う存在だ。AMDはAMD ROCmのソフトウェア群を、オープンソースコミュニティーの力を借りて発展させる。
AMD ROCmでは機械学習用ソフトウェアライブラリ「TensorFlow」や、オープンソースの機械学習用ソフトウェアライブラリ「PyTorch」を使い、AMDのGPUでAI技術のアプリケーションを高速に実行するための開発をすることができる。AI技術の処理を最適化するには、ハードウェアとソフトウェアを含めてシステム全体の作り方を工夫し、最大限の効果を発揮できるようにする必要がある。
これからAI技術は、コンピューティングが必要なあらゆる用途に浸透していくと当社は考えている。AI技術が多様な場面で使われることを考えると、汎用(はんよう)的な用途ばかりを重視するのではなく、特定のニーズに適合した製品を提供することが強みに変わる。
後編は、AI技術やプロセッサに関する分野を含めて、技術動向に関する見解をペーパーマスター氏に聞く。
Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術
米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社kickflow] 2社の事例に学ぶワークフロー改革:属人化解消や年数万件の申請書類削減のコツ -
製品資料
[NTTPCコミュニケーションズ株式会社] 「回線速度不足」だけが原因ではない? Web会議の遅延を解決する方法とは -
製品資料
[東京エレクトロン デバイス株式会社] 工場の可用性向上に重要な「7つの領域」と対策 OTセキュリティ強化の基礎知識 -
製品資料
[リコージャパン株式会社] 問い合わせ対応で本来の業務が進まない、総務や情シスの負担をどう減らす? -
製品資料
[リコージャパン株式会社] 自社データから高精度な回答を生成、簡単に生成AIチャットボットを構築する方法
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「ITインフラとデータ保護・バックアップ対策」に関するアンケート
-
2
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
-
3
全社標準Copilotに絶望? MS Copilotで問い合わせ6割減できた企業は何が違った
-
4
Microsoft製品でここまで自動化できる 情シスがやめられる手作業10選
-
5
「Copilot」はなぜ放置される? “議事録要約止まり”を脱する処方箋
-
6
ITエンジニア1265人調査 生成AIを使い込むほど「人の確認」が重い理由
-
7
「AI活用を前提とした業務PCへの移行」に関するアンケート
-
8
頻繁な承認が生む“確認疲れ” 「MCP」を安全に使う権限管理とは
-
9
「Microsoft一択」で本当にいいのか 知らぬ間にライセンス費用が膨らむ真相
-
10
MS&ADグループの目指す「AX」の全貌 本山CDOが語る変革の本質
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
2
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
3
生成AIで文書活用を進めるには? 効率化と安全性をどう両立する
-
4
Windows PCとMacの選択制で生産性向上 LINEヤフーが実践する運用管理方法とは
-
5
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
6
国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始に向けて、対応すべき変更点とは?
-
7
「スクラム」と「カンバン」の違いとは? アジャイル型開発手法を徹底比較
-
8
AI時代に成功するための「ナレッジマネジメント」ベストプラクティス
-
9
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
10
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー