人工知能(AI)技術の市場で注目を集めるGPUベンダーNVIDIAに対して、同業AMDが対抗するための軸はオープンさになる可能性がある。猛追するAMDに勝算はあるのか。
GPU(グラフィックス処理装置)ベンダーのNVIDIAは、プロセッサのベンダーとしてはAI(人工知能)の分野で支配的な立場を確立しつつある。これに同業のAdvanced Micro Devices(AMD)やIntelが対抗するのであれば、オープン性を提供することが鍵になる可能性がある。AMDに勝算はあるのか。鍵になる点を踏まえて予測してみよう。
AMDには、自社を“オープンなベンダー”にすることが求められる。利用するハードウェアを特定のベンダー製に限定しないことや、AI機能の開発に、より多くのプログラミング言語を利用するといったオープン性が必要だ。
「AMDは身を乗り出して『当社と協業しませんか』と語り掛け、同社が『フレンドリーでオープンなベンダー』だという点を印象付ける必要がある」と、調査会社Futurum Groupでアナリストを務めるダニエル・ニューマン氏は話す。そうした姿勢は至って単純なものだが、AMDがAI分野で同社のGPUなどのハードウェアを売り込み、市場に浸透させるに当たっての助けになる可能性があるという。
別の視点では、AMDの製品を使うことが“より安価な選択”になり、それがAMDにとってプラスに働く可能性があると、コンサルティング会社J. Gold Associatesでアナリストとして働くジャック・ゴールド氏は指摘する。AIモデルの開発に数百万ドルを費やす企業にとって、インフラへの投資をできるだけ抑制できることは大切な視点だ。
AI技術の用途は、NVIDIAの「NVIDIA H100 Tensor Core GPU」のようなハイエンドのGPUを必要とするものばかりではない。「極めて優れたGPUを使うことだけが重要ではない。必要なのは、特定の用途にとって最適なGPUを選ぶことと、それによって保有コストを最適化することだ」とゴールド氏は話す。
AMDがAI分野向けに適したGPU製品を提供できることは疑いのないことだ。一方でAMDが成功できるかどうかは、開発者の支援までを含めた取り組みに懸かっている。「特にNVIDIAが成功を収めている分野では、開発者の支援が依然として重要だ」とニューマン氏は続ける。
「Nod.aiの買収によっては、AMDはオープンソースソフトウェア(OSS)を介してAI開発者やユーザーをサポートする機会が得られる。AMDはその機会をうまく取り込むことで、開発者が自身のプログラムをAMD製のハードウェア上にデプロイ(配備)し、適切に機能させるように導くことができる。
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