GPUなどの半導体製品を提供するAMDは、AI開発に関連するソフトウェアを手掛ける企業を買収すると発表した。AI分野で注目を集めつつある競合NVIDIAに、AMDはどのような戦略で挑むのか。
CPU(中央処理装置)やGPU(グラフィックス処理装置)などの半導体製品を提供するAdvanced Micro Devices(AMD)は、AI(人工知能)開発関連のソフトウェアを手掛けるNod.aiを買収すると2023年10月に発表した。AMDの視野にあるとみられるのは、GPUベンダーとして地位を確立しながらAI市場を開拓する競合ベンダーNVIDIAだ。
AMDはNod.ai買収を発表する直前にも、AI分野に関する取り組みを発表している。NVIDIAへの対策の焦点はどこにあるのか。
AMDによるNod.ai買収の発表は、AMDとLaminiのパートナーシップ締結の発表に続くものだった。Laminiは、大規模言語モデル(LLM)を開発するためのツールを提供するベンダーだ。このパートナーシップの下で、両社はAMDのGPU(グラフィックス処理装置)を使い、LLMを高速に開発するための取り組みを進める。
「この2件の発表から分かるのは、AMDがハードウェアの分野でもソフトウェアの分野でも、AIに本格的に関わるベンダーを目指していることだ」。調査会社Futurum Groupでアナリストを務めるダニエル・ニューマン氏はそう話す。AI分野において、AMDを中心にしたエコシステム(協力体制)を拡大するための一手が直近2件の発表だったとニューマン氏は見ている。
AMDのライバルとなるNVIDIAは、開発ツール群CUDA(Compute Unified Device Architecture)を提供するなどして、AI分野の開発を促進している。AMDはNod.aiの買収によってソフトウェア分野を強化することで、NVIDIAが支配する市場で存在感を示せるようになる可能性がある。
「AMDがNVIDIAに対抗できる余地があるとすれば、NVIDIAの取り組みには“オープンさ”が欠ける点があることだとニューマン氏は指摘する。NVIDIAが提供するライブラリ(プログラムの部品群)やフレームワーク(プログラム開発に必要な機能の集合体)、AIモデルには、NVIDIAの製品で動かすことが前提になっているものが珍しくないからだ。
後編は、オープンさを追求するAMDに勝算があるのかどうか、より広い視点から考える。
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