5Gの現状を正しく把握しよう【前編】
「5Gはピークが過ぎた」説 “期待外れ”になった原因は?
5Gの開発が世界的に遅れているという見方がある。開発の遅れの背景には何があるのか。世界各国の通信事業者の投資動向はどうなっているのか。
モバイル通信のユーザーは、「5G」(第5世代移動通信システム)ではスマートカー(インターネットに接続する車)のような、モバイル通信の新たなユースケースが実現すると期待している。5Gにユーザーが期待しているユースケースは、実際にはどの程度、実現するのだろうか。5G市場への投資は続くのだろうか。
調査会社Technology Business Researchのプリンシパルアナリスト、クリス・アントリッツ氏によれば、世界各国の通信事業者は、以前のどの世代の移動通信システムよりも5Gを速いペースで導入・展開している。導入を急ぐのは一見すると良いことだが、急成長は良いことばかりではない。
5Gはピークを過ぎた? 期待外れで終わる可能性
アントリッツ氏によれば、米国と中国の大手通信事業者は政府や競合他社からの圧力を背景に5Gを急速に導入したという。しかし期待するほどの投資対効果(ROI)を得られず、米国と中国どちらの市場でも2021~2022年をピークに市場が縮小している。米国と中国以外では5Gへの投資が増えたが、この2カ国が減速したことで世界規模では5Gへの投資が減速したという。
5Gを急速に導入したために、技術面にも悪影響が出ている。現在の5Gは事前に期待されていたほどのネットワーク性能を発揮していない。通信事業者が未完成で5Gを展開しているからだ。
例えば、24GHz帯以上など高周波数帯の「ミリ波」で通信する5Gは、従来の移動通信システムに比べて広い帯域幅(通信路容量)と低い遅延を実現する。しかし、通信事業者は現状、ミリ波帯で5Gを運用するのに苦労している。
ミリ波は通信距離の短さや電波干渉を受けやすく、物体を透過しにくいという物理的な特性に由来する弱点がある。通信事業者はこうした障害を乗り越えようと努力しているが、結果として、ミリ波を用いた5Gの技術開発や運用するための人員確保に苦労している。
後編は、今後は5Gのどのような技術に投資が必要なのか、市場の見通しを踏まえて解説する。
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