半導体不足の中でIntelが出した戦略は冒険なのか、手堅いのか?Intelが半導体製造で本領発揮?【後編】

新戦略を掲げるIntelは、イスラエルのファンドリー企業を買収するという攻めの一手を出した。半導体の供給不足の中で発表されたこの買収で、同社が狙う業界ポジショニングが見える。

2022年04月04日 05時00分 公開
[Ed ScannellTechTarget]

関連キーワード

Intel(インテル) | CPU


 Intelは、イスラエルの半導体製造企業Tower Semiconductorを買収すると2022年2月に発表した。この買収によって、Intelは半導体製造能力を増強すると同時に、世界的な半導体不足に対処するための拠点を拡充できる。

 この買収は、単に製造能力や拠点数を拡大するだけではなく、Intelにとってより重要な意味を持つ。特に関係が深いのは、同社のビジネスモデル「IDM」(垂直統合型デバイス製造)を進化させる「IDM 2.0」だ。

半導体製造企業としてのIntelの姿 戦略はどう出るのか?

 2021年3月、IntelはIDM 2.0の取り組みの一つとして半導体の受託製造(ファウンドリー)事業である「Intel Foundry Services」(IFS)の開始を公表した。この事業は、Tower Semiconductorの買収によって弾みがつくと考えられる。Intelはファウンドリー事業を通じ、半導体製造工程におけるウエハー処理やパッケージングの技術を米国や欧州の市場で提供する。その後は他の地域での市場進出も計画している。

 Intelのファウンドリー事業は「x86」「Arm」「RISC-V」といった一般的な命令セットアーキテクチャのCPUが中心だ。だが調査会社Futurum Researchのアナリストで、メディア企業Broadsuite Media GroupのCEO(最高経営責任者)を務めるダン・ニューマン氏は、「Tower Semiconductorの買収でIntelには特殊分野における技術的な地盤ができる」と解説する。ニューマン氏によると、Tower Semiconductorは45〜250ナノ製造プロセスの半導体に照準を絞っている。この市場は世界的な半導体不足の中でも、特に供給が足りていない。

 Tower Semiconductorの買収は、世界中に半導体製造拠点を開設するというIntelの戦略に沿っている。Tower Semiconductorは米国とアジアに工場を持ち、ファブレス(製造施設なし)企業に製品を供給している。「急成長が続くファウンドリー市場でのIntelの競争力は高まる」とニューマン氏は指摘する。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia マーケティング新着記事

news006.jpg

「TikTok禁止」は結局、誰得? どうするトランプ氏――2025年のSNS大予測(TikTok編)
米国での存続を巡る議論が続く一方で、アプリ内ショッピングやAI機能の拡大など、TikTok...

news202.jpg

ネットの口コミを参考に8割超が商品を購入 最も参考にした口コミの掲載先は?
ホットリンクは、口コミ投稿の経験や購買への影響を調査した結果を発表した。

news071.jpg

「生成AIの普及でSEOはオワコン」説は本当か?
生成AIの普及によりSEOが「オワコン」化するという言説を頻繁に耳にするようになりました...