5Gエリアの拡大や、4Gの低廉化によって企業が「無線WAN」に注目し始めている。ただし、無線WANの回線部分としては意外な通信方法も進化しており、選択肢は5Gと4Gだけではない。
企業用WAN(ワイドエリアネットワーク)は従来、銅線を使って周波数の高い信号を伝送する同軸ケーブル、光ファイバーケーブルなどによる有線接続が中心だった。しかし、企業向けの「5G」(第5世代移動通信システム)が広がり、「4G」(第4世代移動通信システム)はコストが低下してきたことで、企業はWANを無線で構築する「無線WAN」に注目し始めている。
無線WANの回線に利用できるのは、4Gと5Gだけではない。人工衛星を介した衛星通信は、従来は有線接続やモバイル通信に比べて費用が高い、通信容量が小さい、遅延が大きいなどの問題があったが、この状況は変わりつつある。衛星通信の世界に何が起きているのか。
なぜ衛星通信を使うのか――。かつては、その質問に対する唯一の答えはこうだった。「他に接続方法がないときの最終手段として使う」
従来、衛星通信を使う場所といえば、海上を航行する船舶や飛行機、パイプラインの監視施設や鉱山など都市部から遠く離れた施設などだった。他にも有線接続を提供する事業者が1社しかないような場所ではバックアップ回線としての役割もあったが、4Gや5Gなどのモバイル通信のエリアが拡大した現代ではほとんど需要がなくなった。
だが、近年は衛星通信の性能は有線接続や携帯電話回線に匹敵する性能となっている。スーパーや薬局のチェーン店、警察や消防などの緊急対応機関の拠点、インフラやエネルギー関連の企業などが衛星通信によるサービスを利用し始めている。
中でも注目すべきは、地上から高度2000キロ未満を周回する低軌道衛星(LEO)だ。近年、Amazon.comやSpace Exploration Technologies(SpaceX)、Network Access Associates (OneWebの名称で事業展開)といった企業が低軌道衛星コンステレーション(複数機の通信衛星を協調させて機能させるシステム)を、自社で構築あるいは他社のコンステレーションを利用して、インターネット接続を提供する動きが広がっている。
低軌道衛星は、従来の衛星通信が利用していた中軌道衛星や高軌道衛星よりはるかに地上に近い。そのため、低軌道衛星コンステレーションによる衛星通信は、費用、パケットロス、遅延の問題を低減している。
衛星通信はこうした技術の進歩によって、企業がメイン回線やバックアップ回線として利用するのに問題のないネットワーク性能や価格になっている。それだけでなく、テレワークが広がる中では「どこでも働ける仕組み」を実現するネットワークとして衛星通信が注目を集めるようになっている。
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