人工知能(AI)技術でこれからシステムや機械はますます賢くなる。それを支えるのが半導体製品だ。半導体ベンダーAMDがインドで進める半導体製品の開発とは。
プロセッサベンダーAdvanced Micro Devices(AMD)は、4億ドル(約590億円)を投資し、インドのバンガロールに同社最大の設計センターを開設した。半導体の設計や人工知能(AI)技術を専門とする技術者を集める。AMD最高技術責任者(CTO)のマーク・ペーパーマスター氏に、なぜインドの技術者を集め、何を開発するのかを具体的に聞いた。
―― インドに積極的に投資している背景や狙いを教えてください。
ペーパーマスター氏 インドにAMD最大の設計センターを開設できたことをとてもうれしく思っている。当社がインドに拠点を置いて20年近くになる。インドはAMDのグローバル戦略において不可欠な国だ。当社の製品全体で開発に深く関与している。今回の新しい設計センターでは、2028年末までに4億ドルの投資を実施する。インド全域から約3000人の技術者を新たに雇用することを計画している。
今回、当社がインドに大規模な開発拠点を置くことにしたのは、現地で優秀な人材を獲得しやすいと考えたからだ。新しい設計センターは約4万6450平方メートルの広さを持つ。ここではCPU(中央処理装置)やGPU(グラフィックス処理装置)はもちろん、機械学習を含めてAI技術の研究開発に注力する。AMDは2022年、同業のXilinxとPensando Systemsを買収し、事業と従業員の基盤強化につなげた。「人」に投資してAI分野での成長を図りたい。
―― Amazon Web Services(AWS)、Google、Microsoftといったクラウドベンダーが、自社で独自に開発したプロセッサを取り入れる動きがあります。これをどう捉えていますか。
ペーパーマスター氏 AI技術は急速に進化しており、さまざまな業界に浸透しつつある。そうした中で、AI技術を利用しやすくするためのさまざまなハードウェアの需要が高まっている。1種類のプロセッサでAI技術をフル活用できるわけではない。ほとんどの場合はCPUやGPUの他、現場でプログラム可能な集積回路「FPGA」(Field Programmable Gate Array)や、特定用途向け集積回路「ASIC」(Application Specific Integrated Circuit)などを組み合わせて使う必要がある。
特定のアルゴリズムにおいては、独自設計のプロセッサの方が経済的になることがある。アルゴリズムにさらなるプログラマビリティー(プログラム可能な特性)が必要な場合は、CPUやGPU、FPGAが必要になる。
―― AMDは2023年12月、GPU「Instinct MI300」シリーズを発表しました。この製品はどのような面でAI技術利用に最適化していますか。
ペーパーマスター氏 Instinct MI300シリーズはAI分野で用いるGPUとして、トップクラスの性能を誇ると自負している。高度なプログラミング機能や、AI処理を想定したソフトウェア「AMD ROCm」を採用し、ユーザー企業にとって「生成AI」(エンドユーザーの指示を基にテキストや画像、音声などのデータを生成するAI技術)などを利用しやすくしている。
中編はAMDの製品をより詳細に解説しつつ、AI分野における同社の戦略を取り上げる。
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