5Gのセキュリティ【中編】
「4G」が「5G」よりも"危ない"のはなぜ? 両者のセキュリティを比較
4G以上にさまざまな用途で使われる可能性のあった「5G」には、セキュリティ面で各種の改善が加えられている。どのような仕組みの違いがあるのか。4つの観点で比較する。
「5G」(第5世代移動通信システム)は多様なアプリケーションの接続を想定したモバイル通信の規格だ。幾つか主だった観点で「4G」(第4世代移動通信システム)との違いを比較することが可能だが、中でもさまざまな観点で比較することができるのがセキュリティだ。5Gのセキュリティを4つの観点で紹介する。
「4G」と「5G」はどちらが安全? 4つのセキュリティ技術で比較
1.暗号化
併せて読みたいお薦め記事
連載:5Gのセキュリティ
5Gの次はどうなる
256bitの暗号鍵を用いた暗号化アルゴリズムを採用し、コアネットワーク間の暗号鍵を分離した。これにより、量子コンピュータでも容易に解読できない通信方式となっている。
2.プライバシー
4Gまでの移動通信システムでは、デバイスが最初にネットワークと接続する際、ユーザーの認証情報の一部を平文で送信しており、攻撃者が容易に傍受できてしまうリスクがあった。具体的には以下の2つの情報を狙う攻撃があったが、5Gでは対策済みだ。
- 「ISMI」(International Mobile Subscriber Identity):国際移動体加入者識別番号
- 「TMSI」(Temporary Mobile Subscriber Identity);デバイスがモバイルネットワークに接続される際に一時的に割り当てられる識別子
5Gでは、「SUPI」(Subscription Permanent Identifier:ユーザーを世界各国で一意に識別するための識別子)も平文では送信されない。ユーザーとデバイスの身元と位置情報は暗号化された上でネットワークに参加する。
それに加えて5Gは、コントロールプレーンとユーザープレーンのどちらでも、データが正確で欠落や破損がないことを確認する「完全性チェック」を実施する。これによって、デバイスとアプリケーション間のメッセージの盗聴や改変を防ぐことが可能だ。
3.認証
5Gは認証プロトコルに「5G-AKA」(5G Authentication and Key Agreemen:鍵合意)を利用している。5G-AKAはデバイスとネットワークが相互に認証する方法で、「AMF」(Access and Mobility Management Function)がデバイスからの認証要求を受け付けると、認証サーバ機能である「AUSF」(Authentication Server Function)が認証情報を管理および確認する。AUSFは加入者情報を「UDM」(Unified Data Management)から取得して認証する。
4GでもAKAの仕組みは採用していたが、5Gでは鍵の長さやアルゴリズムがアップデートされた。
4.スライシング
ネットワークを論理的に分割する「ネットワークスライシング」は、従来のネットワークセグメンテーションと同様、異なるセグメントで特定の用途向けにカスタマイズされたセキュリティ制御を可能にする。マルウェアが侵入しても、特定のスライスに封じ込めて活動範囲を制限すれば、情報漏えいなどの実害を防ぎやすくなる。
後編では5Gでセキュリティを強化した利点や、今後の課題を紹介する。
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[富士ソフト株式会社] 受注業務は既に変革のステージ 出遅れて競争力を失わないためのDX戦略 -
市場調査・トレンド
[富士ソフト株式会社] 受注業務でありがち 「今は困っていない」と見直しを先送りにすることの弊害 -
製品資料
[富士ソフト株式会社] 「B2B EC」選定を製品比較から始めると迷走する理由 -
技術文書・技術解説
[SB C&S株式会社] 「Everpure FlashArray」技術詳細解説資料:概要から認証、サイジングまで解説 -
市場調査・トレンド
[セコムトラストシステムズ株式会社] EDR導入を成功に導くロードマップ:選定/稟議/運用のつまずきを防ぐコツ
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
2
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
3
ネクスウェイとドリーム・アーツ、多店舗運営を支援する「店舗matic」をSaaSで提供
-
4
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
5
「何から始めればいい?」 情報漏えい対策で悲鳴を上げる中小企業のリアル
-
6
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
-
7
「朝8時にバッチが終わらない」データ爆発の危機をJPX総研はどう乗り越えたか
-
8
IBM iのブラックボックス化を打破 資産継承と進化を実現する「IBM Bob」の実力
-
9
肥大化した「SFA」の沼 4カ月でBigQuery×AppSheetの新システムを構築した方法
-
10
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
プログラミング不要で誰でも実現できる、ネットワーク運用管理の自動化とは
-
4
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
5
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
6
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
7
ランサムウェア攻撃“究極の対策”はこれだ
-
8
サイバー脅威「トップ50」完全解説ガイド、新たな攻撃手法に対抗するには
-
9
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
10
生成AIの活用を阻む「5つの壁」とは? AIネイティブ組織へ変革を遂げる方法
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー