SD-WAN選定のための5つのポイント【前編】
いまさら聞けない「SD-WAN選び」を成功させる“比較のこつ”とは
SD-WANにはメリットもあるがリスクもある。ベンダー選びも一筋縄ではいかない。ユーザー企業がSD-WANを導入する際に押さえておくべきポイントとは。5つの観点で紹介する。
SD-WAN(ソフトウェア定義型WAN)を導入するに当たっては、そのメリットだけではなくリスクも認識しておく必要がある。SD-WAN製品を選定する際に考慮すべきポイントを5つ紹介する。
1.候補となるSD-WANベンダー
SD-WAN導入の最初のステップは、候補となるベンダーの選定だ。SD-WAN関連のベンダーは多様で、SD-WAN製品は市場にあふれている。どの製品にも、WANの変革に関係しそうな特徴があり、SD-WANの選定担当者は圧倒されるだろう。
SD-WANベンダーの候補を選定する前に、既に導入しているアプリケーションのワークフローと、今後10年間における変更の計画を文書化すべきだ。その作業と同時に、SD-WANの機能で従業員の生産性をどのように向上させられるかを検討するとよい。
近年は企業のWANにさまざまな役割が要求されるようになった。ネットワークとセキュリティをクラウドサービスに集約する「SASE」(セキュアアクセスサービスエッジ)はその一例だ。クラウドサービスやセキュリティ機能との連携で、従業員はどこにいてもより安全かつ便利にネットワークを利用できるようになる。その一方でIT部門は、従業員のワークフローを理解し、必要なサービスを選定しなければならず、IT部門の負担が増している。
SD-WAN製品を選定する際、ユーザー企業は純粋にその製品の機能だけを比較して意思決定してはいけない。既存の契約やネットワークの複雑さによる制約があるからだ。例えば、SD-WANの導入と同時にセキュリティベンダーとの契約を終了させることはあまりない。ベンダーはさまざまな機能を1つの製品に集約する傾向にあるため、導入済みの製品やサービスの契約が問題となりやすい。
2.アンダーレイネットワーク
物理的な配線や機器によるネットワークを「アンダーレイネットワーク」と呼ぶ。アンダーレイネットワークに作られた仮想的なWANが「オーバーレイネットワーク」だ。
アンダーレイネットワークをスイッチング(トラフィックの中継と転送)技術である「MPLS」(マルチプロトコルレベルスイッチング)による閉域網から、SD-WANとインターネット回線を組み合わせるネットワークに移行することはコストの面から合理的になることがある。
利用するアプリケーションの全てが自社のデータセンターにそろっているユーザー企業であれば、MPLSによる閉域網は検討の余地がある。しかしクラウドサービスを利用しているユーザー企業では、インターネット回線でWANを構築する方が適切な選択になることがある。
クラウドサービスを利用するユーザー企業が悩むのは、どのインターネットサービスプロバイダー(ISP)が自社に最も適しているかや、ISPを1社に統一するか複数社を使い分けるかといった点だ。ISPを選ぶ時はコストやパフォーマンス以外も考慮すべきだ。以前から閉域網を提供していたISPのオペレーションセンターでは、WANエッジ(WANの始点または終点に設置されたネットワーク機器)と回線を集中的に管理する仕組みが整っている。そうしたISPは効率的にトラブルに対処できるだろう。
インターネットサービスだけを提供するISPは、ネットワークの管理能力においてもトラブルへの対処能力においても、MPLSの専用線を提供する事業者に及ばなかったり、外部にそうした作業を委託していたりする傾向にある。ISPを選ぶ時は、サービスの内容や品質について合意するSLA(サービスレベル契約)を確認することが不可欠だ。
世界各国に拠点があるユーザー企業の場合は、可能な限り単一の通信事業者を採用するべきだ。アプリケーションのパフォーマンスが悪化した時に、トラフィック(ネットワーク内を流れるデータ)を分析して障害の原因を特定しやすくなるからだ。
拠点が国内に限られているユーザー企業の場合、通常はネットワークの遅延による影響が出にくいため、価格を優先して複数のISPを検討してもよい。
次回はクラウドサービス接続やコスト削減、管理などの観点からSD-WANの選び方を解説する。
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
4
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
5
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
6
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
7
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
8
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
9
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
10
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー