記録的な“身代金支払い額”の謎【後編】

「サイバー攻撃開示」の義務化がむしろ“逆効果”なのはなぜ?

大規模なランサムウェア攻撃が相次ぐ中、米国はサイバー攻撃の事後報告に関する規則を施行した。だがこの規則が、企業に身代金支払いを促す原因になるという指摘がある。なぜ逆効果をもたらし得るのか。

 ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)集団Dark Angelsが、ある組織のシステムに不正アクセスし、100TBのデータを盗み出した上、7500万ドルという大金を要求したことが2024年初頭に発覚した。被害を受けた組織は詳細を明かしておらず、真相は不明だが、米国の大手製薬企業Cencora(旧AmerisourceBergen)だという見方がある。ブロックチェーン分析企業Chainalysisは、7500万ドルという金額について「これまで記録された中で最高額」だと報告した。

 7500万ドルの身代金支払いの詳細が不明なことから、米国証券取引委員会(SEC)が2023年7月に採択したサイバーセキュリティ事件報告規則に照らし合わせて、米国の開示法の実効性を疑問視する声が上がっている。何が問題なのか。

米政府の新規則で被害の秘匿化がさらに進む理由

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