RPAからAIへ【前編】
AIで「収益サイクル管理」に新風 医療機関は“脱RPA”に踏み切れるか?
医療機関の収益サイクル管理の自動化といえば「RPA」だと考えるのはもう古い。最近は人工知能(AI)技術による自動化に注目が集まっている。RPAの「物足りない」点とは。
医療機関において、医療サービスの請求書を作成したり、支払いを追跡したりする業務を「収益サイクル管理」と呼ぶ。医療機関で人手不足が深刻化している中、収益サイクル管理の手間をいかに減らすかが重要な課題になっている。その切り札として期待が高まっているのが、人工知能(AI)技術の利用による収益サイクル管理の自動化だ。AI技術が収益サイクル管理にもたらす改革とは。
RPAはもはや限界 だからAI技術利用が期待を集める
医療業界ではここ数年の間、管理業務の効率化の一環として、「RPA」(ロボティックプロセスオートメーション)の採用が広がってきた。現在はRPAの進化形として、AI技術の利用が注目されている。一部の医療機関では、自然言語処理(NLP)や生成AIの活用が進みつつある。
「収益サイクル管理におけるAI技術活用のメリットに関して、医療機関の理解が深まっている」と、医療ITベンダーCodaMetrix代表取締役兼CEOのハミド・タバタバイ氏は述べる。しかし、コストや技術ノウハウが障壁となり、実際のAI技術の導入はまだほとんど進んでいないとタバタバイ氏は指摘する。
医療ITベンダーAKASAは2023年12月、450人を超える医療機関の最高財務責任者(CFO)に対する調査結果を公開した。それによると、医療機関の約4分の3が収益サイクル管理の自動化に取り組んでいる。AI技術を採用している医療機関もあるものの、大半の医療機関では、まだRPAが自動化の主要なツールになっているという。
タバタバイ氏は、RPAも一部の学習機能は持ちつつも、AI技術とは本質的に違うと話す。「RPAではデータの一部を取得して別の形式で入力するようシステムに指示できる。そのため、RPAは繰り返しが頻発する業務や、大量のトランザクション(一連の処理)に関連するタスクに広く使用されている」と同氏は補足する。
RPAからAI技術に移行する第一歩として、NLPの可能性が大きいと考えられる。「NLP機能を備えたツールを使えば、例えば『この日付は契約満了年月日だ』と機器に教えることができ、機器はそれを理解する」とタバタバイ氏は例示する。ただし、NLPツールは「学習機能に限界がある」と同氏は強調。そのため、深層学習(DL)技術を採用し、より高度な学習ができる生成AIの利用が重要だという。
「生成AIは、人が教える知識ではなく、生成AI自体が学習したことから回答を生み出す」という意味で、医療機関の収益サイクル管理に大きな価値をもたらすとタバタバイ氏は期待を寄せる。
後編は、収益サイクル管理におけるAI技術の具体的な活用シーンを考える。
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