高速物流を止めずに大規模システムを刷新

ガリガリ君の赤城乳業が“魔改造ERP”を「アドオンゼロのSAP S/4HANA」に移すまで

独自開発だらけのSAP製ERPから「SAP S/4HANA Cloud Public Edition」に移行するにはリスクが伴う。夏季に1日数千件の物流をさばく赤城乳業が、業務を止めずにカスタマイズなしのクラウドERPに移行した秘策とは。

 長年重ねてきた個別カスタマイズが足かせになり、システムのモダナイゼーションに踏み切れない──。IT部門が抱えるこの難題に、大手アイスクリームメーカーの赤城乳業が1つの答えを出した。

 赤城乳業は「ガリガリ君」などのヒット商品を抱え、夏季には1日数千件の受注、出荷を処理する高速なサプライチェーンを動かしている。この一大拠点を支えるインフラに対して同社が選択したのは、パブリッククラウドERP(統合基幹業務システム)「SAP S/4HANA Cloud Public Edition」への全面移行という決断だった。

 しかし、それは現場の業務スピード低下や物流停止というリスクと背中合わせの挑戦でもあった。当時の既存システムは、個別開発された膨大なアドオンがコア領域に深く密結合し、これ以上の進化やバージョンアップが極めて困難な“塩漬け”の状態に陥っていたからだ。

 経営層からの「データ経営への進化」という至上命令と、現場の「今の業務を変えるな」という抵抗。この板挟みを、赤城乳業はいかにして乗り越えたのか。鍵は、ERPの標準機能を徹底して生かす戦略と、あるローコード技術の組み合わせにあった。

大量物流を止めずに“クリーンコア”を維持した「Side-by-Side」の正体

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