予算を食いつぶす過剰プロビジョニング

「クラウドは無限」の幻想を捨てる 他業界に学ぶリソース適正化の極意

クラウドの「無限スケールアウト」は料金の増加とシステムの脆弱化を招く。航空や電力など他業界のキャパシティー管理手法をクラウド運用に応用し、適正なリソース割り当てを実現するための実践的な手法を解説する。

 「クラウドインフラは無限にスケールアウトできる」という考えは、IT業界に深く浸透している。必要なときにサーバやCPUなどのリソースを追加すればよいという発想は運用担当者に安心感を与えるが、現実のシステムには予算、クラウドベンダーのクオータ(割り当て)制限、物理的なインフラの上限といった明確な制約が存在する。この「クラウドは無限」という前提に立った運用は、事前の計画不足を引き起こし、結果として利用していないリソースにまで対価を払い続ける「過剰なプロビジョニング」を生み出している。

 予測困難なトラフィックの急増に対し、慌ててリソースを増強する後手の運用は、運用費用とパフォーマンスのバランスを損なう。全てのシステム停止を防ぐ100%の信頼性を追求することは、無限の冗長性を維持することと同義であり、現実的な解決策とはなり得ない。

 システムを安定かつ効率的に稼働させるために必要なのは、需要を的確に予測し、許容できるリスクの範囲内でインテリジェントにリソースを配置する「ライトサイジング」(適正化)だ。航空業界や電力網など、物理的な制約が厳しい業界は、不確実性に対処する高度なキャパシティー管理を実践し続けてきた。彼らが培ってきた知見から、クラウドインフラの最適化に必要なノウハウを学ぼう。

航空業界に学ぶ:「座席」という有限な資産での利益確保

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