「先送りされた更新需要」が奏功
世界ストレージ市場が急成長 オールフラッシュが“今”売り上げの過半数を占める理由
IDCは、2026年第1四半期の外部エンタープライズストレージシステム市場動向を発表した。市場売上高は前年同期比22.7%増の92億ドルとなり、大幅な成長を記録した。
調査会社IDCは2026年6月15日(米国時間)、2026年第1四半期(1~3月)の外部エンタープライズストレージシステム(ESS)市場の動向を発表した。ベンダー売上高は前年同期比22.7%増の92億ドルとなり、2025年通年の成長率3.9%や2025年第4四半期の5.5%を大きく上回る伸びを記録した。
この成長を後押ししている背景には、AIワークロードの拡大によるストレージ需要の増加に加え、これまでサーバやAIインフラへの投資を優先したことで先送りされていたストレージ更新需要の顕在化、さらにSSDやDRAMなどの部品価格上昇によるシステム価格の上昇がある。
本稿では、2026年第1四半期に明らかになった市場の特徴と、ESS市場の成長を支える3つの要素を整理する。
2026年第1四半期に明らかになった市場の特徴
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オールフラッシュアレイ(AFA)が初めてESS市場売上の過半数を占めた。
売上高は前年同期比32.7%増の49億ドルとなり、市場全体の52.6%を占めた。ハイブリッドフラッシュアレイ(HFA)は35億ドル(市場シェア37.8%)、HDDのみのアレイは9億ドル(同9.6%)だった。
価格帯別ではハイエンド製品の伸びが際立った。
平均販売価格25万ドル超のハイエンドシステムは前年同期比60.7%増の24億ドルとなり、市場全体の25.5%を占めた。中位モデル(2.5万~25万ドル)は17.3%増の59億ドル(64.4%)だった一方、エントリーモデル(2.5万ドル未満)は6.1%減の9億ドルとなった。
ベンダー別ではDell Technologiesが市場シェアをさらに拡大した。
同社は前年同期から4ポイント以上シェアを伸ばし、市場シェア31.2%を獲得した。主要ベンダーの中で最も大きなシェア拡大を記録している。
ESS市場の成長を支える3つの要因
第1の要因は、部品価格の上昇だ。IDCによると、SSD、HDD、DRAMの価格はいずれも前期比で上昇しており、システム全体の平均販売価格を押し上げている。IDCは、この価格圧力が2027年まで続き、新たな製造能力の拡大によって供給が改善されるまでは高い水準で推移すると見込んでいる。
第2の要因は、先送りされていたストレージ更新需要の顕在化である。2024~2025年、多くの企業はサーバやAIインフラへの投資を優先し、ストレージ更新を後回しにしてきた。その結果、老朽化した設備の刷新需要が一気に表面化しており、特に更新効果が大きいハイエンド分野で顕著な伸びを示している。IDCのデータでも、25万ドル超のハイエンドストレージは前年同期比60.7%増となり、市場全体で最も高い成長率を記録した。
IDCは、これらの要因によって、供給制約で出荷数量の伸びが限定された場合でも、売上高ベースでは2026年を通じて過去平均を上回る成長率が維持されると予測している。
AI主導のストレージ需要の現状
第3の要因は、AIワークロードの拡大によるストレージ需要の増加だ。IDCは、ストレージが企業のAI導入における重要なボトルネックになりつつあると指摘している。主要ストレージベンダーの決算でも、AI関連需要を背景とした過去最高、あるいはそれに近い売上が報告されている。
特に、AIの学習や推論環境でGPUとストレージ間の高帯域接続を実現するオールフラッシュ製品は、市場で最も急速に成長しているカテゴリーの一つとなっている。また、AIインフラを構築する企業では、利用量に応じた柔軟な調達を可能にするサブスクリプション型やas a service型のストレージサービスへの関心も高まっている。
IDCのワールドワイドエンタープライズインフラストラクチャトラッカー担当リサーチディレクター、フアン・セミナーラ氏は、「2026年第1四半期は、エンタープライズストレージ市場にとって転換点となった。2年間、サーバやAIコンピューティングへの支出の影に隠れていたストレージ市場が、再び2桁成長へ回帰した」と説明する。
同氏はさらに、「長期間先送りされていた更新需要、部品価格の上昇、そしてAIの学習や推論、非構造化データ活用を支えるストレージ需要が重なり、この市場では数年ぶりの成長環境が生まれている。オールフラッシュアレイが売上高の50%を超えたことは、企業がAI時代を見据えてデータインフラの構成を大きく転換していることを示している」と述べている。
ベンダー別ではDell Technologiesが首位をさらに拡大
ベンダー別の売上高シェアでは、Dell Technologiesが31.2%で首位を維持した。売上高は前年同期比40.8%増と大幅に伸び、幅広い製品群とAI向けストレージ戦略がシェア拡大につながった。
2位はNetAppで、市場シェアは9.9%、売上高は前年同期比9.6%増だった。オールフラッシュ製品とクラウド統合型データ管理事業が成長を支えた。3位はEverpureで、市場シェア8.9%、売上高は37.9%増となり、サブスクリプションモデルやAI向けプラットフォームが好調だった。4位はHuawei(シェア6.7%、15.4%増)、5位はHewlett Packard Enterprise(シェア5.4%、2.9%増)となった。
この結果から、市場全体の拡大に加え、AI需要への対応力を持つベンダーが相対的にシェアを伸ばしていることがうかがえる。
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