Amazon RDS移行で露呈した問題
「Oracle DB」更新で“性能劣化”? セガサミーの基幹DBクラウド化の裏側
オンプレミスでのデータベース運用は、保守業務が負担になりやすい。セガサミーホールディングスは「Amazon RDS for Oracle」への移行で性能劣化の壁に直面した。約2TBの大規模移行をどう成功させたのか。
総合エンタテインメント企業グループの持株会社であるセガサミーホールディングスは、グループ会社であるサミーの販売、調達、生産、在庫管理を担う基幹業務システムの「Oracle Database」を、オンプレミスシステムから「Amazon Web Services」(AWS)のフルマネージド型データベースサービス「Amazon RDS for Oracle」に移行した。
従来のオンプレミスシステムでは、突発的な負荷変動への即時対処、サーバやストレージといったインフラの拡張が困難であり、ハードウェアの保守や月次メンテナンスなどの定型的な運用業務がインフラ担当者の大きな負担になっていた。将来的なAI技術活用やデータ分析を見据えた拡張性の確保も課題だった。
これらの課題を解決するため、セガサミーホールディングスはアプリケーション改修を最小限に抑えられるAmazon RDS for Oracleの採用を決定した。移行によって、日次夜間バッチの処理時間が約22%短縮されるなどの成果が出ている。
大規模な基幹データベースのクラウド化を成功に導いた背景には、綿密な検証と技術的な工夫があった。バージョンアップを伴う難度の高い移行プロジェクトをどのように完遂させたのか。その詳細を解説する。
Oracle DB 19cへのアップデートで直面した“想定外”の問題
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Oracle Databaseのクラウド化
今回の対象は、ビジネスアプリケーション開発用ツール「intra-mart」で構築されたものだ。オンプレミスシステムで運用されていたアプリケーションサーバとデータベースの双方をAWSに移行するだけではなく、データベースのバージョンを「Oracle Database 11g」から「Oracle Database 19c」に引き上げる必要があった。対象データベースには約4000件のテーブルと約2TBのデータが含まれ、月次メンテナンス日以外は無停止での稼働が求められる重要なシステムに位置付けられている。
セガサミーホールディングスは計画フェーズにおいて、スキーマ互換性を事前に検証するツール「AWS Schema Conversion Tool」(AWS SCT)を活用した。検証の結果、オンプレミスシステムのファイルシステムにマウントして出力していた帳票出力や、大量の外部データを高速に一括登録するツール「SQL*Loader」によるデータロード処理において、クラウド化による広範な影響が生じることが判明した。
この課題に対してセガサミーホールディングスは、Amazon RDS for Oracleとオブジェクトストレージ「Amazon Simple Storage Service」(Amazon S3)を連携させるインテグレーション機能を活用する方式に置き換えることで対処している。移行方針が確定してからは実装を円滑に進めることができた。データセンターとAWS間の物理的距離によるネットワークレイテンシ(遅延)の懸念に対しては、最も遅延の影響を受けやすい工場システムで実務に支障がないことを検証し、移行可能との判断を下した。
オプティマイザの制御による性能劣化への対策
テストフェーズでは、主要業務のSQLを対象としたシステムテストにおいて、約8件のSQLでパフォーマンスの劣化が確認された。原因は、移行先のOracle Database 19cにおいて、効率的なアクセス経路を決めるオプティマイザが最適な実行計画を生成できなかったことにある。
セガサミーホールディングスはこの問題に対し、SQL文にヒント句「OPTIMIZER_FEATURES_ENABLE」を付与することで対処した。これは、オプティマイザの挙動を特定の旧バージョンに合わせてシミュレートさせるためのパラメータだ。この設定によって、オプティマイザの動作を移行前のOracle Database 11gの挙動に合わせ、従来と同等の実行計画が生成されるよう制御することで、性能劣化の大部分を解消している。
本番移行は2025年12月末に実施された。Oracle Databaseの標準ツールである「エクスポート/インポート(EXP/IMP)」を用いた論理バックアップ手法によって、約2TBのデータを安全に移行した。本番切り替え後にも一部のSQLで遅延が発生したが、事前に把握していたパラメータ付与による代替策を速やかに適用することで迅速に改善した。大きな問題はなくスムーズに稼働を開始し、ネットワーク構成の改善によって、移行前を上回るパフォーマンス向上を実現している。
運用効率の改善とデータ活用基盤としての展望
フルマネージドサービスへの移行は、インフラ運用の在り方を大きく変えた。物理機器の保守やライフサイクル対応、月次メンテナンス時の再起動から解放され、運用負荷が大幅に低下している。データベースの監視は「Amazon CloudWatch」や「Amazon CloudWatch Database Insights」といったAWSのマネージドサービスに統合され、自社での監視ツール管理が不要となった。これによって、インフラ担当者に頼らずアプリ開発チーム自身で実行環境を構築可能になり、迅速なシステム構築が実現した。コンピューティングリソースの拡張も数分で可能となり、物理的な調達遅延のリスクが解消されている。
セガサミーホールディングス ITソリューション本部ビジネスシステム部 部長の江田英昭氏は「移行によってパフォーマンスが明らかに向上した。移行後は障害も発生しておらず、インフラ担当者が本来注力すべき高度な業務に専念できる業務体制にシフトできた」と評価する。
今後セガサミーホールディングスは、このクラウド移行を契機として、データウェアハウス「Amazon Redshift」によるデータ分析をはじめ、グループ全体でのデータ活用やAI技術活用をさらに拡大する方針だ。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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