保守切れを「コスト25%圧縮」の好機に ブルボン“攻め”のOracle DB移行術止められないデータベースをクラウド移行

ブルボンは販売、物流などを扱う業務システムを「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)に移行した。オンプレミスDBの保守期限というピンチを、「費用削減」と「DR対策」を同時に実現するチャンスに変えた手法とは。

2026年02月18日 05時00分 公開
[TechTargetジャパン]

 「ルマンド」や「アルフォート」などのロングセラー商品を持つ菓子メーカーのブルボンにとって、「供給を止めない」ことは最重要の使命だ。しかし、これまで社内に分散していたデータベースを集約、稼働させていた専用アプライアンス「Oracle Database Appliance」が保守期限を迎えつつあった。加えて、将来的なデータ量の増加への対処や大規模災害時における事業継続計画(BCP)の観点から、より拡張性が高くで堅牢(けんろう)なインフラへの移行が急務になっていた。

 これらの課題を解決するため、ブルボンは販売やサプライチェーン管理などを担うオンプレミスの業務システムを、Oracleが提供するクラウドサービス「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)で稼働するデータベースサービス「Oracle Base Database Service」に移行した。

 今回の移行によって、ブルボンはデータベースシステムの性能を強化しつつ、IT費用の削減と国外での災害対策(DR)サイト構築を実現した。費用がかかりがちなデータベースのクラウド移行において、同社はどのように費用を削減できたのか。

ブルボンが実現した“錬金術”的コスト削減

 システム性能を落とさずにクラウド移行を成功させ、費用対効果を最大化させた背景には、綿密な事前検証と独自の支援プログラムの活用があった。

 基幹システムのクラウド移行における懸念事項は、性能劣化とアプリケーションの改修費用だ。ブルボンは移行に当たり、Oracleの移行支援サービス「Oracle Cloud Lift Services」を活用してアセスメントを実施した。

 これによって、オンプレミス時代と同等の性能を維持できる最適なクラウド構成を事前に特定した。旧バージョンのデータベースからの移行に伴って発生するSQLクエリ(データベースへの問い合わせ)の動作や性能への影響範囲をあらかじめ洗い出すことで、アプリケーションの改修作業を最小限に抑えることに成功している。

費用削減とBCP強化を同時に実現

 費用削減の決め手となったのが「Oracle Support Rewards」の活用だ。これはOCIの利用額に応じてユーザー企業にリワード(報奨)が付与され、それを既存のOracle製品(ソフトウェアライセンス)のテクニカルサポート費用の支払いに充てられるプログラムだ。

 Oracle Support Rewardsによって、ブルボンはサポート費用の約25%を賄えると見込んでいる。データベースをクラウドサービスに移行することで既存資産の維持費も圧縮するという、投資対効果の最大化を実現する。

 「供給を止めない」ための具体的な施策としては、DRサイトの構築が挙げられる。今回の移行では、メインのシステムとは異なる国外リージョンにDRサイトを設置した。地理的に離れた海外に待機系システムを持つことで、日本国内で広域災害が発生した場合でもシステムの稼働を維持し、事業継続性を確保する高レジリエンス(回復力)な体制を整えた。

段階的な移行と今後の展望

 OCIでのシステム構築と移行は、システムインテグレーターであるアシストの支援を受け、段階的に進められた。まずは検証環境を構築して移行対象システムの動作を確認し、並行して本番環境を整備した。続いて、運用管理システムの構築やDRサイトへのデータレプリケーション設定を実施することで、本番運用に耐え得る体制を確立した。

 ブルボンの渡邉淳一氏(デジタル推進部システム開発課)は、今回の刷新を「システム性能と費用の最適なバランスを実現し、事業継続性も強化できた」と評価している。移行した業務システムは安定稼働しており、同社は今後、給与・人事システムや受注系の販売システムについても、順次OCIに移行していく計画だ。

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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。

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