「Fit to Standard」を貫く現実解

「SAP Cloud ERP」導入で“アドオンの山”から脱却 INPEXが下した決断とは

ERPの刷新において、現場の要望に沿った追加開発は技術的負債となり、保守費用を増大させる。石油・天然ガス開発大手のINPEXは、「SAP Cloud ERP」の導入に際して、いかにこの課題を乗り越えたのか。

 ERP(統合基幹業務システム)の刷新プロジェクトにおいて、IT部門を悩ませるのが「アドオン(追加開発)の要求」だ。「今の業務プロセスを変えられない」「標準機能では現場が回らない」といった事業部門からの声を受け、気付けば新システムもアドオンの山と化す。その結果、将来的なシステムの変更や最新技術の適用が困難になり、巨額の保守費用が情シスの予算を圧迫し続ける。

 石油・天然ガス開発大手のINPEXは、2008年から稼働させてきたSAPの基幹システムを刷新する際、大きな転換点を迎えていた。水素やアンモニア、再生可能エネルギーといった低炭素化の推進が求められる激しい市場動向の変化を背景に、同社が新たな経営管理システムとして選んだのはクラウド型ERP「SAP Cloud ERP Private」だ。注目すべきは、システムの構築に当たり、追加開発によるカスタマイズを避ける「Fit to Standard」手法を徹底し、開発期間の短縮を実現した点にある。

 多様な事業を展開する巨大企業において、既存の業務プロセスを標準に合わせるという大きな変革を、どのように成功させたのか。

「これまでの業務プロセス」を捨てるという決断

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