半年で利用率70%
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
導入した生成AIツールが使われない――。この事態を避けるため他社は何をしているのか。キリンビジネスシステムは、キリングループでMicrosoft 365 Copilotを導入後約半年で6000人超へ展開、利用率70%を達成した。
キリンビジネスシステム(以下、KBS)は、キリンホールディングス(以下、キリングループ)全体で生成AIの利用を定着させるため、ディスカバリーズの「Copilot伴走支援サービス」を採用した。勉強会や情報発信、現場との対話を組み合わせた結果、「Microsoft 365 Copilot」(以下、Copilot)の本格導入から約半年で6000人を超えるユーザーに展開し、利用率70%を達成した。ディスカバリーズが2026年7月7日に発表した。
KBSは、キリングループのデジタル基盤を担う企業だ。同グループは、「人がやらなくてよい仕事をゼロにする」という生産性向上と、「人と共に価値を生み出す仕事を加速させる」という価値創造を柱とする「KIRIN Digital Vision 2035」を掲げている。
このビジョンを実現する中核施策の1つとして、生成AIの全社活用を位置付けた。2024年からCopilotの検証を始め、2025年6月から本格導入を進めている。
しかし、事業特性の異なる複数の企業で構成されるキリングループでは、従業員のITやAIに関する知識、習熟度にばらつきがある。一律の利用促進策だけでは、Copilotを継続的に使ってもらうことは難しい。単にツールを導入するだけでなく、グループ全体で「使い続けられる仕組み」をどう設計するかが課題となった。
“導入しても使われない”を防いだ施策3選
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生成AIツールは、ライセンスを配布して操作方法を説明しただけでは日常業務に定着しない。従業員ごとに担当業務や活用できる場面が異なる上、導入当初は利用していても、具体的な使い方が分からず次第に使わなくなる可能性があるためだ。
そこでKBSは、従業員が継続的に学び、実務で試し、困ったときに支援を受けられる環境が必要だと判断した。こうした課題に対応するため、学習、実践、支援を組み合わせたディスカバリーズの伴走支援サービスを採用した。
施策1.単発の研修で終わらせず、繰り返し学べる環境を整備
最初の施策は、従業員が継続的にCopilotの使い方を学べる環境の整備だ。
初期導入時には、基礎知識から具体的な活用場面までを扱う全社向け勉強会を実施した。その後も、社内のITサービス活用ポータルでCopilot活用のヒントを示す動画を公開し、メールマガジンなどを通じて全従業員に情報を発信した。
導入時に一度だけ研修を開くのではなく、基礎的な理解から日常業務での応用まで、必要なときに繰り返し学べるコンテンツを用意した。コンテンツは、キリングループの環境や利用場面に合わせて作成したという。
施策2.ユーザーと直接対話し、現場ごとの課題に対応
2つ目は、利用者との対話を重視した支援だ。KBSとディスカバリーズは「Microsoft Teams」の会議などを通じてユーザーと直接対話し、利用時の疑問や課題の解消を支援した。市民開発や業務効率化に向けた実践的なサポートに加え、各グループ会社の業務特性を踏まえた活用方法も提案した。
全ての利用者に同じ使い方を示すのではなく、現場の業務や理解度に応じて対応を変えることで、Copilotを実務で利用するところまで支援した。
コミュニティ運営では、質問のしやすさにも配慮した。KBSのデジタル本部 EA・AI推進統轄部 AI推進グループの辻 佐知氏は、ディスカバリーズが親しみやすい姿勢で利用者に接したことで、気後れしがちな従業員もMicrosoft Teamsで質問しやすい雰囲気をつくることができたと説明する。
同氏は、社内の担当者だけでは気付かなかった利用者の困りごとやニーズも拾い上げてもらえたと評価している。
施策3.AIエージェント活用を見据えてルールと教育を準備
3つ目は、将来的なAI活用の高度化に向けた基盤整備だ。
KBSは、Copilotの利用促進と並行して、「Microsoft Copilot Studio」の活用ガイドラインを策定した。AIエージェントの導入に向けた教育や啓発にも取り組み、「DXフェス」などの社内イベントを通じて知識を共有した。
生成AIを個人の資料作成や情報整理に使う段階にとどまらず、AIエージェントに業務の一部を担わせる段階を見据え、利用ルールや人材育成の準備を早期に始めた形だ。
約半年で6000人超に展開、利用率は70%
一連の取り組みにより、Copilotは本格導入から約半年で、キリングループの主要企業を中心に6000人を超えるユーザーへ展開された。利用率は70%に達した。
成果は利用者数だけではない。継続的な情報提供や利用支援によって、従業員のデジタル活用に対する意識にも変化が見られたという。
キリングループは2026年を「AIエージェント元年」と位置付けている。今後は、AIエージェントを使った高度な業務自動化を進める方針だ。ディスカバリーズも、CopilotをはじめとするAI活用の定着を引き続き支援する。
(※)この記事は本多和幸氏と谷川耕一氏によるIT事例メディア「CaseHub.News」に掲載された「キリンビジネスシステム、生成AI活用定着へ伴走支援サービスを採用」(2026年7月8日)を、TechTargetジャパン編集部で一部編集し、転載したものです。
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