50億件超のデータをさばく裏側

複雑過ぎて“玄人専用”だったF1 新規ファン獲得を支えたAWSリアルタイム分析

1秒間に110万件以上のデータが飛び交うF1は、その複雑さから新規ファンを獲得しにくい悩みに直面していた。この状況を打破したのが、AWSの機械学習とデータ処理システムだ。過酷なレースの裏側とは。

 モータースポーツの最高峰であるフォーミュラ1(以下、F1)は、ドライバーの技術だけでなく、データをいかに活用するかが勝敗を分ける世界だ。F1カーには約300個のセンサーが搭載されており、走行中の車体からは1秒間に110万件以上、1レース当たり20台の車両から50億~60億件のデータポイントが生成される。2024年シーズンに参戦した全20人のドライバーのデータでは、平均して1位と最下位のタイム差はわずか1.3%だった。こうした極限の競争条件下において、これらのデータを瞬時に分析し、適切な判断を下すことはチームにとって不可欠だ。

 F1が抱えていたもう一つの大きな課題は、この複雑なデータとレースの状況を「いかに視聴者に分かりやすく伝えるか」だった。目まぐるしく変わる順位やピットストップの戦略、タイヤの摩耗状況などをファンが理解できなければ、スポーツとしての魅力は半減してしまう。新規ファンや若年層を獲得し、視聴者層を拡大することも急務であった。

 この課題を解決するため、F1はクラウドサービスベンダーであるAmazon Web Services(AWS)をグローバルパートナーとして迎え入れた。両者の取り組みによって、レース中のデータはリアルタイムで分析・可視化され、視聴者の理解度は提携前と比べて47%向上したという。新たなファン層の開拓にも成功し、2025年時点の統計では、ファンの43%が35歳未満、41%が女性となっている。

 地球の裏側で開催されるレースのデータを、F1はいかにして遅延なくクラウドサービスに送信し、わずか1秒未満でインサイトとして配信しているのか。

視聴者置き去りの危機をどう脱したか

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