DX推進の近道

なぜ府中市の職員は「使ってみたい」と言ったのか AI-OCR定着の裏側

自治体や企業で課題となる紙書類のデータ化が、現場のITへの抵抗感から頓挫するケースは少なくない。広島県府中市が「完全なペーパーレス化」にこだわらず、現場主導のDXに成功した舞台裏とは。

 自治体や伝統的な企業において、ペーパーレス化は目標であり続けている。しかし、万人に向けた行政サービスや、高齢の顧客を抱えるビジネスでは、紙の手書き申請書をゼロにすることは非現実的だ。

 そこで、AI技術を活用したOCR(光学文字認識)である「AI-OCR」の利用が視野に入る。ここでIT部門が直面するのが、「現場のITアレルギー」という壁だ。高機能なデータ抽出ツールを導入しても、「事前の設定が複雑」「使い方が分からない」と現場から敬遠され 、結局IT部門が日々の読み取り設定やエラー対処に追われるケースが後を絶たない。

 持続可能な自治体運営を目指してデジタル化を推進してきた広島県府中市は、紙とデジタルを両立しながらいかに業務を効率化するかという課題に直面していた。このジレンマを解消するため、同市はAIツールベンダーのジンベイが提供する生成AI型AI-OCR「GenOCR」の導入実証を開始した。同ツールは、達筆な文字や独特の癖がある文字、枠からはみ出したチェックマークなどを高精度にデータ化できる。

 特筆すべき導入効果は、これまでシステムに詳しくなかった現場職員から「このような業務で使ってみたい」と前向きな声が上がり、自発的な活用が進んだ点だ。なぜ府中市の現場職員は、新しいITツールに対するアレルギー反応を示さなかったのか。GenOCRが発揮した効果と、実務に即した運用戦略を紹介する。

現場がシステムを敬遠しない「運用の切り分け」とは

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