運用の仕組み化が成功の鍵
属人データ管理は2028年に限界へ ゼタバイト時代に迫る情シスのガバナンス危機
データ量が爆発的に増えるゼタバイト時代で、容量確保だけを求める企業は破綻する。インフラ自動化、企業カルチャー、ガバナンスの3視点からデータを事業価値へ変える運用体制の構築法を解説する。
世界はゼタバイト時代に入った。データの爆発的な増加によって、データを管理するシステムがパンクしかねない状況が生じている。
調査会社IDCの報告によると、生成AIや付加価値の高いデータが企業の需要を押し上げ、世界のデータ量は2025年に181ゼタバイトに達し、2028年には394ゼタバイトに達する見込みだ。情シスにとっての懸念は「どれだけのデータを保存できるか」だけにとどまらない。インフラ、自動化、ガバナンスを組み合わせ、拡大し続けるデータ資産を実用的かつ信頼できる状態に保てているかが問われている。
データの増加を単なる容量の問題として捉える企業は苦戦を強いられる。一方で、ストレージ管理を運用上の規律として扱う企業は、コスト削減やリスク低減を果たし、データの増加をビジネス価値へと変える準備が整う。本記事では、インフラ自動化、組織カルチャー、ガバナンスの3視点からデータを事業価値へ変える運用体制の構築法を解説する。
データ運用は規模で一変する
ゼタバイト時代は単にデータ量が増えるだけの話ではない。大規模なデータ資産の保存、管理、保護、ガバナンスの手法を根本から見直す必要がある。例えば、大規模データセットの移行はコスト面で現実的ではなくなるため、アーキテクチャ設計の初期段階でデータの所在地や配置場所を決定することが重要になる。同様に手作業による管理は困難となり、データの発見やガバナンス、再利用にはメタデータが必要となる。
ゼタバイト時代への対応には、拡張性の高いインフラ、明確なガバナンス、データ駆動型のカルチャーが必要だ。成功する企業は、必ずしも最大のストレージ容量を持つわけではなく、この規模のデータを管理するための運用規律を築いているかどうかだ。
インフラの準備
インフラの準備とは、ゼタバイト級のデータを保存する容量の確保にとどまらず、ポリシーに基づく自動化を設計することを意味する。この規模のデータを人間が管理することは不可能だ。ポリシーエンジン、データライフサイクル管理の自動化、AIによる運用支援を活用し、配置、保持、一貫したアクセスについてのポリシーを徹底する必要がある。
さらに企業は、業務ワークロードにとどまらずパフォーマンス要件を見直し、管理計画を検討しなければならない。自社のデータストレージ管理ツールが、この前例のないデータ増加に追従できるだけのハードウェアリソースを備えているかを確認する必要がある。
データ量が増えるにつれてコスト管理も困難になる。データの保持、重複、配置のわずかな不効率が、データ資産全体で多大なコストを引き起こすからだ。
インフラ準備のチェックリスト
- ストレージ、保持、アクセスのポリシーを自動的に適用できるか
- 手作業を介さずにデータの移動、階層化、アーカイブを実行できるか
- 管理システムはストレージ容量、メタデータ量、ポリシーの複雑化に応じて拡張できるか
カルチャーの準備
カルチャーの準備とは、データをIT部門が管理する在庫ではなく、組織全体で共有するビジネス資産として扱うことを意味する。
データ量が数テラバイト程度であれば、運用のルールがあいまいでも手作業で補うことができた。ファイルの場所や正確なスプレッドシートを特定の従業員だけが把握しているような暗黙知に頼る状況は珍しくない。
こうしたその場しのぎの対応や、複数の部門が中央のデータセットのコピーを個別に保存するといった不適切な管理手法は改める必要がある。小規模な環境であれば無秩序も許容されるが、データと企業の規模が大きくなると、データの重複や定義の不整合、ガバナンスの抜け穴を生み出し、データ活用への対応を阻害する。
ゼタバイト規模で運用するには、データカルチャーを進化させなければならない。ふぞろいな手順や文書化されていない知識を排除し、データの作成、分類、取り扱いについての標準規格を確立する必要がある。
カルチャー準備のチェックリスト
- 全ての重要なデータセットに所有者が設定されているか
- 従業員はデータ管理の自身の責任を理解しているか
- データの標準規格が文書化され、教育され、一貫して運用されているか
ガバナンスの準備
データガバナンスとは、データ管理のポリシー、役割、管理体制を規定するものだ。大規模運用ではこの規律が必要となる。現在わずかなデータセットに影響を与える程度の小さなガバナンスの失敗が、将来的にデータ品質やコンプライアンスについての重大な問題へと拡大するためだ。
ガバナンスの構造は企業によって異なるが、一般には命名規則、分類、データリネージ(データの由来や変化履歴)、機密データのタグ付けなどが含まれる。ゼタバイト規模では、自動化なしにガバナンスを維持するのは困難だ。AIを活用してデータを自動的にカタログ化し、データリネージを追跡して、データを検索可能な状態に保つといった手法の導入を検討する必要がある。
効果的なガバナンスは、データへの信頼を確保するうえでも重要だ。ガバナンスが不十分だと、ドキュメントのない資産や重複したデータセット、不統一な定義によってビジネス価値が損なわれる。強固なガバナンスは単なるセキュリティやコンプライアンスにとどまらず、データの信頼性と検索性を高め利用に適した状態に維持する役割を担う。
ガバナンス準備のチェックリスト
- 権限を持つユーザーが信頼できるデータを迅速に検索できるか
- データプロダクトやシステムにわたってデータリネージが可視化されているか
- 保持およびライフサイクルのポリシーが自動的に適用されているか
- データのアクセスや利用状況が監査可能になっているか
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