生成AI「利用拡大」だけでは定着せず
生成AIの7割が「別画面・コピペ運用」 “導入”は進んでも定着せず
生成AIを導入したものの、定着や成果の創出には至っていない企業では何が起こっているのか。テックタッチは、大企業の生成AI活用担当者319人を対象にした調査結果を発表した。
生成AIを導入し、ユーザー数を増やすだけでは、業務への定着にはつながらない――。従業員1000人以上の企業を対象にした調査から、生成AIを「導入」から「定着」へ進めるための課題が浮かび上がった。
テックタッチは2026年8月27日、従業員1000人以上の企業で生成AIの活用、推進に携わる責任者・担当者319人を対象に実施した「生成AIの業務定着の実態と課題に関する調査」の結果を発表した。調査期間は同年7月28~29日。
調査によると、生成AIの利用自体は幅広い業務に広がっている。一方、生成AIを「使える状態」にするだけでなく、普段の業務の中で自然に利用できる状態へ移行するために必要な取り組みも見えてきた。
大企業319人に聞いた生成AIの業務定着率
調査では、全社における利用状況を尋ねた。その結果、「多くの人が使っており、複数の業務で、業務システムの流れの中に組み込まれ、自然に使われている」が39.5%だった。「多くの人が使っており、一部の業務では、いつもの業務システムの画面内で使えるようになっている」も33.9%を占めた。
生成AIを実際に使っている業務では、「情報収集・調べもの」が83.7%で最も多く、「文書・資料の作成・編集」が81.8%、「データの集計・分析」が75.9%と続いた。「アイデア出し・企画の検討」も70.5%だった。
ただし、「利用している業務」と「定着している業務」は必ずしも同じではないことが分かった。生成AIが最も定着している業務を尋ねたところ、「文書・資料の作成・編集」が39.0%で最多だった。次いで「情報収集・調べもの」が23.9%で、この2業務だけで6割を超えた。
文書作成や情報収集は、既存の業務システムと連携しなくても、チャット画面に文章や質問を入力するだけで利用しやすい。そのため、こうした汎用的な業務から生成AIの定着が進んでいるとみられる。
「最も定着している業務」でも71.5%が別画面
では、生成AIが最も定着している業務では、実際にどのような形でAIを使っているのか。調査によると、最も多かったのは、「業務システムとは別画面だが、社内ツールや専用AI環境から使っている」の41.1%だった。「ChatGPTなどの外部AI画面を別で開き、手作業でコピペして使っている」も30.4%に上った。
両者を合わせると71.5%になる。つまり、生成AIが最も定着していると回答した業務であっても、7割以上は普段使っている業務システムとは別の画面を介してAIを利用していることになる。
一方、「いつもの業務システムの画面内で、そのまま使っている」は20.6%だった。「裏側でAIが組み込まれており、利用者がAIを意識せず使っている」は7.6%にとどまった。
生成AIの利用者が増えたとしても、「AIを使うために別画面を開く」「業務システムから情報をコピーしてAIに入力する」「生成結果を再び業務システムに戻す」といった操作が必要であれば、AIは既存業務の外側にある追加のツールであることに変わりはない。
この「別画面・コピペ運用」から抜け出せるかどうかが、生成AIを単なる導入から業務定着へ進める分水嶺になりそうだ。
「現場の利用意欲」と「業務への組み込み」にギャップ
この傾向は、企業が現在できていることを尋ねた結果にも表れている。調査では、勤務先の生成AI活用で、現在「できている」ことを聞いた。その結果、最も多かったのは「現場が前向きに使えている」の61.4%だった。「AIだけでは対応しきれない場面で、人がスムーズに引き継げている」は50.2%、「毎回プロンプトを書かなくても、必要な情報をある程度補って使えている」は43.9%だった。
一方、「いつもの業務システムの画面内で、コピペなどせずにそのまま使えている」は24.1%で、調査項目の中で最も低かった。
つまり、従業員の生成AIに対する抵抗感を減らし、利用を促す取り組みは一定程度進んでいるものの、既存の業務フローやシステムにAIを組み込む取り組みはそれほど進んでいない。
ユーザーの意欲だけに頼ってAI活用を続ければ、従業員ごとに使い方や成果がばらつく恐れもある。
生成AI活用の最大の課題は「習熟度の差」
生成AI活用の課題を尋ねた質問では、「使い方の理解や習熟度に差がある」(48.3%)が最多の課題として挙がった。次いで「情報漏えいや機密情報の取り扱いに不安がある」が33.5%、「どの業務に使えるのか、具体的にイメージできない」が24.5%だった。
「いつもの業務システムと別で開くのが面倒で、続かない」との回答も19.1%あった。「結局、自分でやったほうが早いと感じる」は16.0%だった。
生成AIを別画面で利用する場合、どの情報を入力するか、どのようなプロンプトを使うか、出力された結果をどう業務に戻すかといった作業をユーザー自身が担う必要がある。そのため、AIを使いこなせる人とそうでない人との差が生じやすい。生成AIを業務システムに組み込み、利用者が複雑な操作やプロンプトを意識しなくても使えるようにできれば、こうした個人の習熟度への依存を抑えられる可能性がある。
企業が次に重視するのは「業務システムへの組み込み」
では、企業自身は今後どのような取り組みが必要だと考えているのか。生成AIの定着を高める上で今後重視したいことを尋ねた質問では、最も多かった回答は「いつもの業務システムの中でAIを使えるようにする」の48.0%だった。
「AIを前提に、業務のやり方そのものを見直す」が46.7%、「AIが自動で処理し、人は最終確認を中心にする」が45.1%で続いた。
企業の関心が、「生成AIを従業員に使わせること」から「生成AIを前提に業務そのものを設計し直すこと」へ移り始めていることがうかがえる。
本稿は、テックタッチが2026年8月27日に公開した【大企業における生成AI「業務定着」実態調査】最も定着している業務でも71.5%が「別画面・コピペ」でAIを運用を基に作成しました。
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