「AI投資」が初の首位に
サーバ刷新は「様子見」33.2% Dell調査が映すBroadcomショックの余波
中堅中小企業でもAIへの投資が本格化し、IT予算の優先度が変化している。デル・テクノロジーズの調査によると、IT投資における項目としてAIが初のトップとなる一方で、インフラの抜本的な見直しが進んでいる。
中堅中小企業を取り巻くビジネス条件は、メモリやSSDの価格高騰、次世代アーキテクチャへの移行、AIツールの急速な普及など、複雑な構造的変化のさなかにある。とりわけ、限られた予算と人員でシステム運用を維持しながら新たな技術への投資をいかに進めるかは、企業にとって喫緊の課題だ。
デル・テクノロジーズは、日本の中堅中小企業のIT担当者を対象に「中堅中小企業向けIT投資動向調査2026」を2026年2月から3月にかけて実施した。調査結果によると、生成AIなどのAI技術に対して100万円以上の投資を想定する企業が68.1%に達し、調査開始以来初めて投資項目の1位になった。一方でインフラについては、オンプレミスとハイブリッドを合わせて約75%を占めるなど、最新技術の導入と既存インフラの見直しが同時並行で進んでいる実態を浮き彫りにしている。
急速にAIツールが普及する裏側で、企業はどのようなインフラを選択し、巧妙化するサイバー攻撃にどう対処しようとしているのか。詳細なデータから、投資判断の論理と直面する運用上の課題を読み解く。
業績回復とIT人材の役割シフト
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中堅中小企業のIT投資事情
調査では、業績が「好調」および「やや好調」と回答した企業は約41%に達した。IT予算を増額した企業も35.6%を記録し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大以降で最大水準に回復している。懸案とされてきた1人体制の情報システム部門の割合も22.4%に減少し、体制の強化が図られた。
業務内容の変化に着目すると、PCの導入や管理といった既存の運用業務にかかる時間は2025年比で5.1%減少した。これとは対照的に、生成AIを活用したシステム開発や情報戦略の策定など、事業変革に向けた取り組みの割合が増加している。企業がIT部門を単なる保守担当ではなく、ビジネス価値を創出する中核として再定義しつつある状況が推察できる。
インフラ投資の二極化と脱仮想化への動き
ハードウェアの価格高騰や「Windows 11」への移行という制約の中で、インフラ投資は二極化の様相を呈している。クライアントPCの刷新については「予定通り」が44.0%、「前倒し」が22.4%となり、合計で約66%の企業が計画を推し進めた。Windows 11への移行は7割弱の企業ですでに完了している一方で、およそ3割は一部のみの導入にとどまっており、旧OSを抱え続けることによるセキュリティリスクが残存する。
一方で、高額なサーバ刷新については33.2%の企業が投資を様子見している状況だ。この背景には、BroadcomがVMwareを買収したことによる仮想化ソフトウェアのライセンス体系変更など、市場の混乱が存在する。インフラ構成の利用比率において、オンプレミス中心が51.8%、ハイブリッドが23.6%を占めた。ハイパーコンバージドインフラ(HCI)から従来型の3層構成(3Tier)への回帰など、特定のベンダーに依存しないアーキテクチャへの見直しが急務となっている。
ランサムウェアの脅威と多層防御の欠如
サイバーセキュリティの領域では、2025年下半期から2026年初頭にかけての半年間で、16.2%の企業が何らかのセキュリティ事故を経験した。被害内容としては「フィッシング詐欺」が33.7%、「ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)による被害」が24.1%、「不正ログイン/不正利用」が23.5%を占める。ランサムウェアの侵入経路はメールの添付ファイルやリンクが中心で、日常的な業務環境が攻撃の入り口になっている。
この脅威に対する防衛策として、61.2%の企業が「バックアップ」を最重視した。しかし、データ復旧に「自信がある」「非常に自信がある」と回答した企業の合計は約38%にとどまり、対策の実施状況と実際の復旧能力との間にギャップが見られる。
SASE(Secure Access Service Edge)やゼロトラストネットワークアクセス(ZTNA)、統合ID管理(IAM)などの最新セキュリティツールを導入した企業であっても、事故の発生を完全に防げていない実態が示された。ツールの導入にとどまらず、適切な運用プロセスの構築や情報セキュリティポリシーの定義が伴わなければ、実効性のある防御体制は確立できないという構造的な課題が存在する。
クラウド活用の現状とデジタル化の現在地
クラウドサービスの利用状況については、IaaS(Infrastructure as a Service)への移行済み割合が39.0%となり、普及の勢いは頭打ちの傾向を見せている。IaaSの利用用途はグループウェアやファイル管理が中心であり、生産管理や受発注などのシステムをクラウドサービスに移行する動きは限定的だ。一方で、オンラインストレージサービスは「半分くらい」以上の業務で利用している割合が52.8%に達し、本格的な実用段階に入っている。
デジタル化の推進状況に関しては、およそ9割の企業においてIT部門が主導的役割を果たしているものの、内容としてはワークフローの電子化など局所的な改善にとどまっている事例が多い。自社の取り組みが他社と比較して「あまり進んでいない」「かなり遅れている」と自己評価する企業が半数を超えた。業務プロセス全体の抜本的な見直しには至っていない。
今後のシステム運用における展望
中堅中小企業において、AI技術への投資はもはや実験的な取り組みではなく、標準的なビジネス要件として組み込まれようとしている。その一方で、AIツールを機能させるためのインフラとなるデータセンターの運用や、複雑化するクラウドインフラの一元管理には、人材不足と運用費用の増加という壁が立ちはだかる。
今後のIT運用においては、単なる最新技術の導入競争から脱却し、自社の事業戦略に適合したインフラの選定と、それを安全に稼働させるための運用プロセスの確立が不可欠だ。経営層が主導して限られた経営資源を適切に配分し、「守り」のセキュリティ対策と「攻め」のデータ活用を両立させるロードマップを描けるかどうかが、企業の競争力を左右する最大の判断軸になる。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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