将来の乗り換え不可やコスト膨大化を回避
AI導入で見落とせない「データ基盤」、情シスが確認すべき3つの条件
AI活用が本格化するほど、情シスにはモデルだけでなく、それを支えるデータ基盤の選定が重要になる。Linux Foundationの調査からは、企業が重視する3つの条件が浮かび上がった。
生成AIやAIエージェントの導入時、「どのAIモデルを使うか」にまず目が行くという声がある。生成AIやAIエージェントの利用範囲が広がれば、社内データを検索、取得、分析するためのデータ基盤にも目を向ける必要がある。
特定のクラウドやベンダーに強く依存した構成にすると、将来AIモデルやサービスの変更を希望した際にデータ移行やシステム改修の負担が膨らむ恐れがある。複数の検索、分析、監視ツールを増やし過ぎれば、運用コストも問題になる。
オープンソースソフトウェア(OSS)を支援する非営利団体Linux Foundation配下のOpenSearch Software FoundationとLinux Foundation Researchは2026年9月22日(米国時間)、「The 2026 Open Data Infrastructure Report」を公開した。同調査レポートからは、“情シスが見直すべきデータ基盤の3条件”が見えた。
“情シスが見直すべきデータ基盤の3条件”とは
調査によると、AIワークロードを既に実行している、または実行を予定していると答えた企業は平均で83%以上。大企業に限っては90%以上だった。データ基盤に関連する用途を尋ねたところ、生成AIやLLM(大規模言語モデル)の活用が82%を占めた。
ユーザーの検索方法にも変化があることが調査から分かった。検索方法を尋ねた質問では、従来のキーワード検索と、文章の意味的な近さから情報を探すセマンティック検索やベクトル検索を組み合わせる「ハイブリッド検索」を支持した企業が68%だった。キーワード検索のみを使用していると答えた回答者は13%、セマンティック検索のみ、ベクトル検索のみは7%だった。
つまり、情シスがAI基盤を選ぶ際には、LLMの性能だけを比較するのでは不十分だ。社内データをどのように検索し、AIへ受け渡し、運用時の状態をどう監視するかまで含めて設計する必要がある。
情シスが重視すべき条件1.TCO
では、データ基盤の選定では何を確認すべきか。データ基盤を評価する際に重視する要素を尋ねたところ、「非常に重要」とする回答が最も多かったのは「TCO」(総所有コスト)で80%だった。続いて、「セキュリティとコンプライアンス」(79%)、「ベンダーからの独立性や展開方法の柔軟性」(69%)、「企業システムとして利用できる成熟度」(67%)が並んだ。
調査が指す“コスト”は、製品のライセンス料やクラウドサービスの利用料だけではない。検索、分析、監視などを別々の製品で構築すれば、それぞれの設定や権限管理、アップデート、障害対応が必要になり、運用を担う情シスの工数や人件費も増える。
実際、回答者の75%は「複数の専門システムを管理することは運用上の負担を増やし過ぎる」と回答。80%は、「コストを大きく減らせるのであれば利用するプラットフォームを減らしたい」と答えた。一方、44%の回答者は「1つの中核プラットフォームと専門ツールを組み合わせる」構成を好み、「用途ごとに最適な製品を選ぶ」という回答は26%だった。
情シスが重視すべき条件2.乗り換えられるか
次に確認したいのが、将来別の製品やクラウドへの切り替えを希望した際に、実行しやすいかどうかだ。調査によると、回答者の78%は「異なるベンダーやツール間の相互運用性がデータ基盤の評価時に重要」と回答した。
現在利用しているAIサービスが、数年後も自社の条件に最適であるとは限らない。モデルの性能や料金体系が変わる、新しいサービスへの切り替えを希望するといったことが発生する可能性がある。
そのため導入時には、「別のLLMに変更できるか」「クラウドをまたいでデータを利用できるか」「標準的なAPIで他製品と連携できるか」「移行時にデータを取り出せるか」といった出口まで確認しておくことが重要になる。
情シスが重視すべき条件3.セキュリティ機能を維持・管理できるか
調査では、データ基盤について懸念しているリスクを回答者に尋ねた。その結果、最多は「セキュリティ上の脆弱性」で58%だった。「規制への対応」と「複数のツールや環境にまたがるデータ露出」がそれぞれ33%、「ベンダーロックイン」が32%と続いた。
企業によっては、業務データや機密情報を検索対象とするAI基盤もある。安全な基盤運用を目指すのであれば、アクセス権限、データの保存場所、監査ログ、脆弱性対応などを継続して管理できる体制が必要だ。
今回の調査では、こうしたデータ基盤の選択肢の1つとして「OpenSearch」の利用状況についても尋ねている。OpenSearchは、検索やログ分析、可観測性(オブザーバビリティ)などに利用できるオープンソースの検索・分析エンジンだ。
OpenSearchを導入していないと答えた回答者にその理由を尋ねたところ、「社内の専門知識や運用リソースの不足」と「統合・移行の複雑さ」がそれぞれ27%となった。データ基盤の導入では、製品の機能だけでなく、導入後の運用に必要な専門知識やリソースがユーザーの検討材料になっていることが調査結果からうかがえる。
本稿は、OpenSearch Software FoundationとLinux Foundation Researchが2026年9月22日に公開したOpenSearch Software Foundation and Linux Foundation Research Report Finds Organizations Seek Neutral Data Infrastructure as Global AI Implementation Peaksを基に作成しました。
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