大林組、AIエージェントで法令調査時間を67%削減 設計に専念できる環境を構築設計初期の法令調査を効率化

Tektomeは、大林組が設計初期段階の法令・条例調査に建設特化エージェント知能基盤「Tektome」を試験導入し、調査時間を約67%削減したと発表した。

2026年08月21日 05時00分 公開
[CaseHub.NewsTechTargetジャパン]

 Tektomeは2026年8月19日、大林組が、設計初期段階の法令・条例調査にTektomeの建設特化エージェント知能基盤「Tektome」を試験導入したと発表した。本稿は、Tektome導入の経緯と導入で得られた効果を紹介する。

設計初期の法令調査をAIで効率化

 設計や施工の業務では、建築基準法や消防法、省エネ法に加え、地域ごとの条例や告示など幅広い法令の確認が求められる。特にプロジェクト初期は条件が未確定な中で関係法令を洗い出し、設計方針に関わる論点を早期に把握する必要がある。

 大林組では建築基準法に基づく許認可関連業務を担う建築法制部が設計者からの相談や法的レビューを担当している。その中で、設計初期の論点整理に時間を要することが課題となっていた。

 こうした背景から大林組は、設計者による初期調査と建築法制部のレビューの間をAIエージェントでつなぐ仕組みとしてTektomeを採用した。

 Tektomeは、建築基準法や関係条例などの法令情報に加え、大林組独自のチェック基準や確認手法といった企業固有の知見を蓄積できるエージェント知能基盤だ。プロジェクトの用途や規模、所在地などの条件を基に適用条件や論点を掘り下げ、根拠となる条文とともに回答を提示する。確定できない論点は「要確認」として示し、最終的な判断は人が下す運用だ。

 検証では、法令調査や要件整理にかかる時間が1人当たり週平均4.3時間から1.4時間へ短縮された。週平均で約67%に当たる2.9時間の削減効果を確認したという。現場では、設計中に生じた疑問を投げかけて論点を整理する壁打ちや、法制部への相談前に検討漏れを防ぐセルフチェックの2場面で活用されている。

 大林組 設計本部 建築設計部の鈴木氏は「自分ひとりでは、知っている範囲の中でしか情報を探せないが、Tektomeは頭に入っていないところまで拾ってくれるため安心感がある。チームでは用途変更時の条件比較にも活用しており、同じ条件でまとめて整理できる点も役立っている」と語る。

 建築設計部の菊地氏は、「さまざまな法令を一度に調べられるため調査時間を大きく短縮でき、設計に費やす時間を増やせると感じている。回答には根拠が示されるため自分で確かめられ、社内資料にも活用できる。事前に論点を整理したうえで法制部に相談できるため、やり取りもより効率的になる」と話す。

 大林組とTektomeは今後も試験導入を通じて有効性を検証し、組織の知見を日々の設計判断に生かす協働の定着や、さらなる活用方法の検討を進める方針だ。

(※)この記事は本多和幸氏と谷川耕一氏によるIT事例メディア「CaseHub.News」に掲載された「大林組、建設特化AI基盤で法令調査時間を約67%削減 設計初期の論点整理を効率化」(2026年8月20日)を、TechTargetジャパン編集部で一部編集し、転載したものです。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

From Informa TechTarget

瞬時にM365が乗っ取られる――全社員に周知すべき“新フィッシング”の教訓

瞬時にM365が乗っ取られる――全社員に周知すべき“新フィッシング”の教訓
MFA(多要素認証)を入れたから安心という常識が崩れ去っている。フィッシング集団「Tycoon2FA」が摘発されたが、脅威が完全になくなったというわけではない。

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...