完全出社で幸福度が低下
年収が増えても幸せになれない 給与増でエンジニアが直面する「幸福度の壁」
収入増加を目指して転職や昇給を追求することだけがエンジニアの幸福度には寄与しない。『エンジニアtype』の調査によると、年収の増加に伴う幸福度の向上には限界が存在する。何が幸福度を左右しているのか。
出社回帰の動きや年収増額志向が高まる昨今、ITエンジニアのウェルビーイング(身体的、精神的、社会的に良好な状態)に関わる要因を客観的な指標で把握することが人事上の課題となっている。
Webメディア『エンジニアtype』は、全国のITエンジニア339人を対象に、2025年5月14日から5月16日までキャリアおよび幸福度に関するインターネット調査を実施した。調査結果からは、年収の上昇に伴う幸福度の向上は1000万円で飽和点に達する傾向が読み取れる。一方で、勤務形態の違いが幸福度スコアに与える影響は、年収の差異による影響を上回る規模の格差を生むことが明らかとなった。
収入と働き方の2つの軸から、ITエンジニアの幸福度を決定づける構造的な要因を分析する。
昇給だけでは満たされない理由
ITエンジニアの人生における幸福度(「とても不幸」1〜「とても幸せ」5の5段階で評価した平均値)を聞いたところ、年収500万円未満の層は平均3.01ポイントにとどまる。年収500万円から999万円の層では3.45ポイントに上昇するものの、年収1000万円以上の層では3.41ポイントへ微減する結果となった。この数値は、幸福度における収入の壁が500万円付近に存在し、1000万円で飽和点を迎えることを示している。
勤務形態別の幸福度スコアは、完全出社で働く層が2.88ポイントであるのに対し、フルリモートで働く層は3.52ポイントとなった。その差は0.64ポイントに達する。年収帯による幸福度スコアの最大差が0.44ポイントだったことと比較すると、職種や家庭環境などの背景要因を鑑みても、働き方の自由度が与えるインパクトの大きさが顕著に表れている。全体の平均スコアは3.22ポイントであり、完全出社層はこれを明確に下回る結果となった。
職場選定における合理的な判断軸
現状の職場に不満を抱く層において、最大の理由は「収入」が占めている。転職経験者の直近における転職理由として47%が年収の増加を挙げており、今後の転職で重視する条件としても65%が同様の回答を選択している。
転職経験者のうち78%が「年収の増加を実現した」と回答した。昇給額の内訳を見ると、1回の転職による最大の昇給額が100万~199万円の層は25%、200万円以上の層は9%に達している。全体の34%が100万円以上という大幅な年収増を達成している。
年収が増加した最大の要因としては、52%が給与水準の高い企業への転職を挙げた。「自身の市場価値に見合った職場に移った」「専門性の高い職種に転身した」という回答が各26%で続く。自己研さんや交渉による改善よりも、所属する企業の給与水準という環境要因の選択が収入増加への合理的な判断軸になっている。
従来の年収重視観点との差異
しかし、収入の増加が職場における満足度の全てを決定づけるわけではない。現状の職場に非常に満足あるいは満足と回答した144人に対し、最も満足している要素を尋ねた結果、第1位は「勤務時間、働き方」の25%だった。「仕事内容や役割」が21%、「人間関係」が20%でそれに続く。一方で「収入」を挙げた割合は14%にとどまる。「仕事内容や役割」は、満足度の源泉になる一方で、充足されない場合には強い不満へと反転しやすい要素でもある。
この結果は、従来の「年収最優先」という価値観と、現場のITエンジニアが求める「働き方や仕事内容の重視」という実態の間に明確なギャップが存在することを示唆している。ITエンジニアの幸福度は、給与という基盤の上に、テレワークなどの自由な働き方や、プロジェクトの社会的意義、技術的挑戦といった「仕事内容や役割への納得感」が組み合わさることで初めて高い水準に到達する。仮に大幅な年収増加が見込めない場合であっても、勤務形態の改善や技術的挑戦の機会を提供することで、組織全体の満足度を引き上げる余地が残されている。
今後のキャリア構築の展望
ITエンジニアの働き方を見ると、フルリモートが28%、週に2日から3日のテレワークが30%、週に1日のテレワークが9%を占める。全体のおよそ3人に2人が何らかの形でテレワークを活用している。完全出社の層は33%であり、約3人に1人の割合だ。出社回帰の動きが一部で見られるものの、自由な勤務形態は技術者の間で広く浸透している。
どこでどのように働くかという選択は、技術者のウェルビーイング向上において重要な要素だ。高い給与水準を提供する企業に人材が流れ込む中、採用や定着を図る企業には、報酬制度の見直しと並行して、多様な働き方を許容する制度設計が求められる。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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