『【令和8年度】 いちばんやさしい 基本情報技術者』出張版
【基本情報技術者試験】なぜ複数アプリが同時に動く? OSの「マルチタスク」の仕組み
ITの基礎理論から経営・マネジメントまで幅広い知識が問われる国家資格「基本情報技術者試験」。IT担当者が直面しやすいテーマを取り上げ、図解を交えながら実践的な知識を解説します。今回は、タスクの実行順序を管理する「タスク管理」機能について取り上げます。
「基本情報技術者試験」は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施し、経済産業省が認定する国家試験です。「ITエンジニアの登竜門」として知られていますが、ITの基礎だけではなく、プロジェクトマネジメントや経営戦略、関連法規、会計など、ITをビジネスに活用するための幅広い知識が問われるのが特徴です。そのため、エンジニアのみならず、企業のIT担当者やDX(デジタルトランスフォーメーション)推進に関わるビジネスパーソンにとっても、実務に直結する知識を体系的に学べる資格として重要視されています。
本記事はSBクリエイティブ刊『【令和8年度】 いちばんやさしい 基本情報技術者 絶対合格の教科書+出る順問題集』(高橋 京介 著)から、IT担当者が日々の業務で直面しやすい重要テーマをピックアップし、図解を交えながら解説します。今回は、タスクの実行順序を管理する「タスク管理」機能について取り上げます。
(2)タスク管理
タスク管理とは、タスクの実行順序を管理する機能です。タスクとは、OSがCPUに出す命令の単位です。
- ユーザーがコンピュータに出す命令を「ジョブ」という
- OSがCPU(ハードウェア)に出す命令を「タスク(プロセス)」という
私たちは普段、アプリ(アプリケーションソフトウェア)を使って写真を撮ったり、メッセージを送受信したりします。OSはそれらの一連の処理を「タスク(プロセス)」という単位に分割してから、CPUに実行させます。
マルチタスク
マルチタスクとは、タスク管理によって複数のタスクを頻繁にすばやく切り替えることによって、それらのタスクがあたかも同時に実行されているかのように見せる技術です。
マルチタスクを正しく理解するためのポイントは「あたかも同時に実行されているかのように見せる」という点です。これはつまり「実際には同時に実行されているわけではない」ということです(上図を参照)。
実はCPUの1つのコアは一度に1つの作業しか実行できません。しかし、だからといって、1つのタスクが完了するまで他のタスクを待機させておく方法だと、処理完了までに時間のかかるタスクが発生した場合に、他のタスクが長時間待たされることになってしまいます。
こういった問題を防ぐのがOSのマルチタスクという機能です。マルチタスクを利用すると、見かけ上は、複数のタスクを同時に実行することができます。なお、マルチタスクは、CPUが単体で行っているのではなく、OSがCPUを操作することで実現しています。
プリエンプティブとノンプリエンプティブ
タスクを切り替える方法は「プリエンプティブ」と「ノンプリエンプティブ」の2つに分類されます。
| 種類 | 説明 |
|---|---|
| プリエンプティブ | CPUの使用権をOSが管理する方式。プリエンプティブ(preemptive)は「横取り」という意味。優先度の高いタスクが発生した場合に、優先度の低いタスクからCPUの使用権を横取りして、優先度の高いタスクに割り当てる。現在はプリエンプティブが主流。 |
| ノンプリエンプティブ | CPUの使用権をタスクが管理する方式。タスクの処理が完了するまで、CPUの使用権はそのタスクが持ち、処理が完了するとタスク自身がCPUの使用権をOSに戻す。このように、ノンプリエンプティブではCPUの使用権をOSが管理しないため、OSの役割がよりシンプルになる。 |
タスクが生成されてから消滅するまで
タスクは、その生成から消滅までに以下の3つの状態をとります。
- 実行可能状態:いつでもタスクを実行できる状態
- 実行状態:タスクを実行している状態
- 待ち状態:タスクの入出力処理の完了を待っている状態
1.タスクの生成 → 実行可能状態
タスクが生成されると、まずは実行可能状態になります。
2.実行可能状態 → 実行状態
CPUの使用権がOS、またはタスクに割り当てられると、タスクは実行状態に移ります。なお、OSがタスクを実行状態に移すことを「ディスパッチ」といいます。
3.実行状態 → 実行可能状態
プリエンプティブの場合、より優先度の高いタスクが発生すると、優先度の低いタスクは実行可能状態に戻り、優先度の高いタスクが実行状態に移ります。
一方、ノンプリエンプティブの場合、より優先度の高いタスクが発生すると、現在のタスクが終了するのを待ってから、優先度の高いタスクが実行状態に移ります。
4.実行状態 → 待ち状態
タスクに入出力処理が必要になると、実行状態から待ち状態に移ります。入出力処理とは、CPUが入出力装置や補助記憶装置などとデータをやり取りすることです。これらの処理には時間がかかるため、OSは入出力処理が必要なタスクを待ち状態に移して、CPUに別のタスクを実行させます。
5.待ち状態 → 実行可能状態
入出力処理が完了すると、タスクは待ち状態から実行可能状態に移ります。
6.実行状態 → タスクの消滅
タスクの実行が完了すると、タスクは消滅します。
タスクスケジューリング
タスクスケジューリングとは、実行可能状態にある複数のタスクの中から、どのタスクを実行状態に移すのかを決めることです。いくつかの方式があります。
| 方式 | 説明 |
|---|---|
| 到着順方式 | 先に到着したタスクを先に実行する。 |
| 処理時間順方式 | 処理時間の短いタスクを先に実行する。 |
| 優先度順方式 (プリエンプティブの場合) |
各タスクに優先度を与えて、その優先度順に実行する。優先度の低いタスクを実行中に、優先度の高いタスクが発生したら、優先度の高いタスクに切り替える。 |
| 優先度順方式 (ノンプリエンプティブの場合) |
各タスクに優先度を与えて、その優先度順に実行する。優先度の低いタスクを実行中に、優先度の高いタスクが発生しても、現在のタスクが終了するまで切り替えない。 |
| ラウンドロビン方式 | タスクを一定時間ごとに切り替えて実行する。 |
※この記事はSBクリエイティブ刊『【令和8年度】 いちばんやさしい 基本情報技術者 絶対合格の教科書+出る順問題集』から、アイティメディアが出版社の許可を得て一部加筆編集の上、転載したものです(無断転載禁止)。
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