“空冷の限界”に直面
みずほ証券が「液冷サーバ」を採用 1日3.6億件の計算を支えるための要件
金融シミュレーションの複雑化によって計算負荷が膨張し、従来の空冷方式は限界を迎えつつある。この熱問題の解消に向けて、みずほ証券は直接液冷(DLC)方式のサーバを採用した。導入の裏側とは。
みずほ証券では、デリバティブ評価や信用リスクなどの金融シミュレーションの高度化・複雑化が進み、1日当たりの計算件数が3億6000万件を超える規模に膨張している。システムの拡張が求められる中、従来の空冷方式では計算性能を安定的に引き出すための冷却能力や電力効率が構造的な限界を迎えつつあった。
この課題に対して、みずほ証券は液冷方式が利用可能なデータセンターを新たに構築する上で、直接液冷(DLC:Direct Liquid Cooling)方式のHPE製スケールアウト型コンピュートシステム「HPE Cray XD2000」を採用した。
本システムによって、発熱量の大きい主要部品から直接熱を除去し、空冷方式と比較して1キロワット当たりの性能を最大20%向上させ、消費電力を15%削減する。現行のシステム構成と比較し、サーバノード当たり1.6倍の性能向上が見込まれている。
高発熱の計算資源を支える液冷技術の詳細と、安定稼働を担保する独自の監視体制、将来のAIインフラ拡充を見据えた戦略を明らかにする。
1日3億6000万件超のシミュレーションを支えるインフラの刷新
みずほフィナンシャルグループは、商業銀行と投資銀行の機能を世界規模で一体化させる「グローバルCIB(Corporate & Investment Banking)戦略」を推進している。みずほ証券のグローバルマーケッツ部門は、国内外の顧客に向けて公社債、株式、デリバティブなどの多様な金融商品を提供している。これに伴って、デリバティブ評価をはじめ、市場リスクや取引に伴う信用リスクを計量するためのシミュレーション規模は年々拡大を続け、1日当たりの計算件数は3億6000万件を超える水準に達していた。
事業規模の拡大とともに金融商品・サービスの付加価値向上を図るためには、システムリソースを継続的に拡張し、計算性能を持続的かつ安定的に引き出すための強固なインフラが不可欠だ。しかし、従来の空冷方式では、高密度化するサーバ群から発生する大量の熱の処理が困難になりつつあった。そこで同社は、次世代の金融システムを見据え、冷却要件の抜本的な解決策として液冷方式のデータセンター構築と新システムの採用に踏み切った。
局所冷却による性能向上と消費電力削減の定量的効果
新たな計算インフラとして選定されたのが、密度最適化を図ったHPE Cray XD2000だ。本サーバはシステム全体を冷却するのではなく、発熱量の大きい主要コンポーネントから直接熱を除去するDLC方式を採用している。
HPEが実施した検証に基づく推定値によれば、DLC方式は空冷システムと比較して、1キロワット当たりの処理性能を最大20.7%向上させる。シャシーの消費電力は14.9%の削減が確認された。みずほ証券が現行の計算インフラとして稼働させている「HPE Apollo2000」および「HPE ProLiant」を組み合わせたシステムとの独自比較では、サーバノード当たり1.6倍の性能向上が見込まれており、高密度型サーバの安定稼働と省電力化を両立させる技術的アプローチだ。
液体漏えい検出体制の構築とプライベートAIインフラへの布石
国内の金融業界でのDLC方式採用は先進的な事例であるため、実稼働に当たっては運用の安定性確保が最重要課題だった。これに対しては、HPEのサービス部門(HPE Services)がシステムの監視と保守を一貫して支援する体制を敷いて、DLCシステムおよび電源システムの稼働状況をリアルタイムで可視化している。冷却液の漏えいを検出した際には自動で通報する専用の監視機能を稼働させ、液冷インフラ特有の運用リスクを排除する仕組みを構築した。
2026年秋から液冷設備やシステム構築、稼働評価を実施し、2027年4月以降に本番稼働を開始する計画だ。みずほ証券は第1期として8サーバノードを導入し、本番環境での稼働効果と安定性を検証しながら、今後はサーバおよびラックを順次拡張する方針だ。今回のプロジェクトを通じてDLCシステムの有効性を実証した後、将来的なプライベートAIインフラ向けのGPUサーバにDLC方式を適用することも検討する。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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