Column
ERPシステムの切り替えプロジェクト――大切なのは、ベンダーとの良好な関係作り
プロジェクトはほぼ<a href="http://techtarget.itmedia.co.jp/tt/news/0610/23/news05.html">完了し</a>、新しいERPシステムにより、われわれは取引コストを削減し、在庫管理を改善することができた。こうした改善はすべて、ベンダーとの距離を縮めようという努力があってこそ可能なのだ。
わたしがCIOを務める電気器具卸売業者North Coast Electricのオーナー、ボブ・レマンは10年前、取引先の電気器具ベンダー向けに、当社本拠地であるワシントン州ベルビューが面したピュージェット湾のイブニングクルーズを企画したことがある。それは、さわやかな夏の夜だった。われわれを乗せた船はちょうど日が沈みかけたころに桟橋に接岸した。後日、主要取引ベンダーの1社から、素晴らしい夕べをありがとう、と礼を言われた。「ディストリビュータが取引ベンダーのためにこんなことをするのは、これが初めてだ。ベンダーをパートナーのように扱うというのは、優れたビジネス手法だ」とボブは後にわたしに語っている。
ITの役割が拡大するにつれ、当社とITベンダー各社との関係も重要性が高まっている。当社では、パートナー各社の役に立てるよう、各社の疑問に当社の専門家が答える態勢を整えている。ベンダー各社と優れた関係を築ければ、支出を最小限に抑え、在庫レベルを下げ、顧客サービス目標の達成を支援できる。
摩擦のないビジネスプロセス
当社の新しいERPシステムにより、われわれは取引コストを削減し、在庫管理を改善し、適切な製品を適切な分量だけ購入できるようになった。購入サイクル(注文から受領、支払いまで)の自動化により、購入サイクル当たり50ドルを節約できている。エラーの回避については、その件数が倍増している。実現できたコスト削減の大半は、ベンダー管理型の在庫モジュールを使用している成果だ。われわれは毎晩、ベンダー各社にその日の販売記録を送っている。そして、各社のシステムが注文書(PO)を作成し、製品の出荷時期を当社に知らせ、その後、電子請求書を送ってくれる。今では当社の人件費は、実際の受領と支払いの承認にかかるものだけとなっている。当社の新規システムは、購入を「摩擦のないアクティビティ」に変えたということだ。
「何をどのくらい購入すべきか」の計算も、新規システムのおかげで正確さを増している。数カ月で大きな成果を上げることはないだろうが、実際、統計的傾向分析により、在庫レベルを15%以上削減している当社のようなディストリビュータはたくさん存在している。
さらに当社では、在庫レベルを改善することで、取り寄せ注文や販売機会損失も削減できている。製品の在庫があれば、1本のワイヤーのために顧客の電気チームのスタッフを無駄に待機させるような事態を防げる。過剰在庫を防ぐことも重要だ。とにかく、14ゲージのワイヤーの在庫維持費を3セント節約できたからといって、時給100ドルのスタッフの人件費を無駄にするようでは愚の骨頂ということだ。
また、新規システムは、流通に伴う古典的な問題についても、新たな解決策をもたらしてくれている。例えば、ベンダーは大規模プロジェクトの期間中、価格検討を1回だけ行えばよい。かつては、ディストリビュータは各取引を事後に再構築しなければならなかった。当社のリアルタイムの販売情報を共有することで、もはや、そうした再構築作業は過去の話となっている。
Googleの検索機能も期待値の上昇をもたらしている。つまり、顧客はより多くの選択肢を求めるようになっている。顧客のニーズに応えるべく、われわれは現行パートナーとの関係改善だけでなく、新規パートナーの拡大にも備えた。顧客は今では、例えば、携帯電話のバッテリーなど、電気以外の製品も提供できないかと当社に尋ねてくるようになっている。そうした要求に「もちろん!」と答えられるのは、われわれにとってもプラスなことだ。そして、こうした改善はすべて、ベンダーとの距離を縮めようという当社の努力があってこそ可能なのだ。
来年の今ごろまでには、当社のパートナー企業に新たにベンダー100社程度が加わっているかもしれない。ITは、そうしたベンダーをもERPシステムに統合できるよう、十分な柔軟性を備えている必要があり、一方では、政府による新たな規制や新しい電子標準への対応も必要だ。
従って、われわれは鋭敏でなければならない。そして、これまで数週間かけてやっていたようなことを、これからは数日でこなさなければならない。当社の現行のシステムは、まだこうした課題にすべて対応しているわけではない。だが、アーキテクチャとツールはそろっている。そして、変化球を打てるかどうかは、技術よりも関係性にかかっている。当社主催のイブニングクルーズを楽しんだ電気器具ベンダー各社と同様、われわれはERPベンダーとの間でも、信頼と善意に基づき関係を築いた。それ以上に重要なことは何もない。
ERPの旅は終わった。振り返ってみると、たくさんの教訓を学んだものだ。
本稿筆者のレス・ジョンソン氏はワシントン州ベルビューの電気器具卸売業者North Coast ElectricのCIO。
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