Column
ERPシステムの切り替えプロジェクト、顧客駆動型の慣習を継承
プロジェクトの第2フェーズも<a href="http://techtarget.itmedia.co.jp/tt/news/0609/12/news01.html">無事終了</a>し、新しいERPシステムを始動させて以来、既に何百万ドルもの売り上げを出している。システムの移行に伴って失った顧客は皆無だ。
当社の支店では普段から、訪れる人のためにポップコーンやコーヒーを無料で提供し、金曜にはドーナッツもサービスしている。こうしたスナック類を提供しないからといって、当社の顧客がすぐにライバル企業に流れていくようなことはないだろうが、顧客がこうしたスナックサービスを喜んでいるのは事実だ。私は最近、ある支店で、顧客の1人が持参の紙袋にポップコーンをすくい入れているところに遭遇した。彼はわたしの方に振り向き、笑いながら、こう言った。「家まで運転中のおやつにね」
わたしも一握りのポップコーンをほおばり、もぐもぐと答えた。「わたしはこれがランチですよ」
彼はやれやれといったふうに首を振りながら、携帯用のマグカップにコーヒーを注ぎ、出て行った。
当社では2カ月前に最初の支店で新しいERPシステムを始動させて以来、既に製品の販売で何百万ドルの売り上げを出している。システムの移行に伴って失った顧客は皆無だ。当社の顧客がこの移行で被った最大の影響は何かといえば、1度だけインボイスの受け取りに3日間の遅れが生じたという、苦情にもならない程度のことだ。
顧客の希望
自らを「顧客駆動型の企業」と自負する当社にとっては、新規システムへの移行をなめらかに行うことが最優先の課題だった。それでも、新規システムの設計には一部、当社の顧客にとって難しい側面もあった。われわれが20年前に最後に新しいビジネスシステムを実装して以来、顧客の方も技術的に相当成熟したのは確かなのだが……。
当時、当社のサービスパッケージは、競争力のある価格、顧客が希望する商品の在庫、そして常に正確なオンタイムの配送、そして新鮮なポップコーンとFAX回線を売りにしていた。
現在、顧客が望んでいるのは、オンラインで注文した商品の支払いをクレジットカードで決済できることだ(それでフィジーまでのマイレージが稼げる)。そして彼らは、納品遅延や短期納入に関する対応や保証付き価格を望んでいる。彼らは、製品以上のことを望んでいるのだ。つまり、彼らは超過勤務や期限遅れのリスクをわれわれにも共有して欲しいと考えている。また、彼らは情報を望んでいる。
それにもかかわらず、顧客はわれわれが進めている変更を常に支持してくれるわけではない。たとえ、彼らのために便宜を図っているのだとしてもだ。例えば、商品が配送されたことを証明する電子署名キャプチャのプロジェクトに着手した際には、この変更を歓迎した顧客もいたが、時間の無駄だと批判する顧客もいた(一方、当社の各支店では、紙の束を扱わずとも署名された画像を呼び出すだけで済むという利便性が歓迎された)。
ときには、われわれは取り組みが不十分なのではないかと不安になることもある。例えば、電子データ交換(EDI)システムについてもそうだ。われわれは、新規顧客が当社のカスタムソリューション以外のシステムを希望するのではないかという不安を常に抱えてきた。このソリューションを開発した担当者はとっくに退職しているため、何か変更が必要となるたびに、コーディングをめぐる不満の声や祈りの声が沸き起こり、最終的には当初の開発者による手助けを得て、深夜まで作業が行われてきた。そうしたアップグレードの間、われわれはなるがままにまかせるほかない。
当社の顧客サービスもかなり古くなっている。われわれは何年も前から、ビジネスシステム以外のところで多くの要望に応じている。スプレッドシートに手作業でデータを入力したり、料金を払って絶滅寸前のCOBOLアプリケーションをカスタマイズしてもらったり(こういう行為は、上辺だけを取り繕うという意味で「豚に口紅を塗るようなものだ」と言われたりもする)などだ。そして、われわれはこうした内情を顧客には見せないようにしてきた。
われわれは今後、こうしたアプリケーションを解体し、新しいアプリケーションに適応させる方針だ。ただし、その作業には時間がかかるだろう。当社の新規システムでは、カスタムソリューションの除去、Webベースの注文入力、オンライン顧客サービスレベルのリアルタイムの報告などによるコスト削減が見込まれている。そのため、最終的には、手間を掛けるに値する取り組みとなるはずだ。
今や、われわれは顧客に対し、「おそらく……」ではなく、「はい」と答えられるようになった。「はい、当社は取引コストの削減でお役に立てます」、「はい、当社のサービスは24時間ご利用いただけます」、そして、「はい、当社は貴社がリアルタイムのビジネスインテリジェンスを利用してビジネスをより上手に管理できるよう、お手伝いすることができます」といったように……。実際、当社の顧客の1社は最近200ページに及ぶ要求定義書を配布したが、その要件を見て競合他社の幾つかは退散していったという。だがわれわれは、そうした要望に対しも「はい」と応えることができたのだ。
本稿筆者のレス・ジョンソン氏は、電力卸売会社ノースコーストエレクトリックのCIO。
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