業務効率化の手法の一つであるRPAを活用しても、「期待通りの成果が得られない」という事態に陥ることは珍しくない。RPAが役に立たなくなってしまう原因はどこにあるのか。
「RPA」(ロボティックプロセスオートメーション)は、定型的な作業を自動で実行できるようにする手法だ。うまく活用すれば業務効率化が可能だが、「期待していた成果が出ない」という状況に陥ることは珍しくない。そうした失敗は、RPAにおいて重要な“ある点”を理解していないことが原因となっている可能性がある。
RPAを導入するときに、業務の全体像を捉えるためにBPM(ビジネスプロセスマネジメント)を利用する場合がある。BPMとは、業務プロセスの現状を把握して改善し、業務プロセスを継続的に最適化する手法を指す。RPAとBPMは、補完的な関係にある。「業務を理解していないのにRPAを導入しても自動化を成功させることはできない」。グローバル経営コンサルティング会社SSA & Companyのシニアディレクター、ジェフリー・ブラウン氏はそう指摘する。
業務プロセスの全体像を可視化し、課題を把握しやすくする手法であるプロセスマッピングは、RPAを活用すべき作業を特定することに役立つ。例えば請求書処理の自動化を目指す場合、プロセスマッピングを使えば、会計システム全体ではなく請求書の処理手順にのみ焦点を当てて自動化を検討することが可能だ。
業務やワークフローの設計、その監視や分析において、RPAとBPMは補完し合う。BPMで設計したものを実行するのがRPAの役割だ」と、コンサルタント企業Nucleus Researchのリサーチマネージャー、アイザック・グールド氏は説明する。
例えばマーケティング部門の担当者が、販売促進キャンペーンの成果を分析する月次レポートを作成するとする。その場合のBPMツールとRPAツールの役割は次の通りだ。
RPAは、良いプロセスも悪いプロセスも自動化してしまう。そこにBPMを活用すれば、プロセス自体を改善できる。オープンソースソフトウェア(OSS)のBPMツールを開発するBonitasoftの共同設立者で元CEOのミゲル・バルデス・ファウラ氏は、BPMの重要性について次のように語る。「非効率なプロセスを自動化してもその処理が速くなるだけだ。プロセス全体を見渡し、より良いプロセスを構築するためにBPMがあり、個々のプロセスを実行するためにRPAがある」
次回は、RPAとBPMの役割の違いと、それぞれの使い分け方を解説する。
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