注目すべきネットワーク動向【前編】
「2026年ネットワーク構築」の死角 従来型運用の限界と“NaaS”への最後通告
従来型のネットワークの構築、運用方法は、2026年にはもはや維持不能なコスト増を招く恐れがある。AIやNaaSの台頭によってネットワークの在り方はどう変わるのか。トレンドを紹介する。
ネットワーク技術がさまざまな進化を遂げている中、2026年、企業がネットワーク構築に当たって重視する必要があるのは、セキュリティ、レジリエンス(回復力)、持続可能性、コスト管理といった項目だ。これらを実現する上では、AI(人工知能)の利用が重要な役割を果たす。AIをはじめ、2026年の主なネットワークトレンドとは何か。
AIが変えるネットワークの選定基準
企業が2026年に考慮すべきネットワーク技術の選定基準とはどのようなものなのか。以下で見てみよう。
- エンタープライズへの適合度
- 信頼性や可用性の観点から、企業システムとして利用できる水準に達しているかどうか
- 投資収益率(ROI)
- 新しいネットワーク技術への投資に対して期待されるリターン
- 運用しやすさ
- 新しいネットワーク技術を導入した後、それを運用管理する効率性
ネットワーク技術の主要トレンド
2026年に注目すべきネットワーク技術のトレンドは、AI利用や「Network as a Service」(NaaS)など多岐にわたる。ネットワーク担当者がこれらのトレンドを評価する際には、ユーザーエクスペリエンス(UX)、セキュリティ、ビジネスの俊敏性を考慮することが重要だ。
NaaSが主流になる
NaaSは、回線、ルーターやスイッチなどのネットワーク機器、設定機能、運用機能、監視機能、セキュリティ機能などを、クラウドサービスとして提供するモデルだ。企業はNaaSを使うことによって、ネットワークに関する支出を「設備の購入費」から「サービスの利用費」に変えることができる。ネットワーク機器の保守や置き換えといった作業をNaaSプロバイダーに任せ、自社におけるネットワーク運用の効率性も高められる。
NaaSのトレンドには以下が含まれる。
- 通信事業者によるネットワーク管理
- ベンダーに特化したインフラ
- 統合されたハイパースケーラー(大規模クラウドベンダー)
複数の拠点を持つ企業や、テレワークを広範囲に導入している企業は特にNaaSによる俊敏性や拡張性のメリットを享受しやすいと考えられる。
AIOpsで可視性から自律運用へ
AIOpsとは、システム運用にAI技術を取り入れ、運用の自動化につなげる手法を指す。他のシステムと同様、ネットワークにおいてもAIOpsの採用が広がりつつある。特に、オンプレミスシステムやクラウドサービスを組み合わせた複雑なネットワーク構成において、AIOpsを使うことによって障害を予測し、プロアクティブな運用がしやすくなる。
AIOpsの基本的な利点は以下の通りだ。
- AIによる異常検出
- 障害の根本原因の分析
- 自己修復
AIOpsによって、トラブルシューティングの改善やパフォーマンス最適化に取り組みやすくなる。結果として、障害発生時に修理までの平均時間を短縮できる可能性がある。
分散型ネットワークへのシフト
全てのネットワークを1つのデータセンターに集中させると、レイテンシ(遅延)が生じる恐れがある。ネットワークを分散させて複数のローカルなネットワークを構築することで、レイテンシ発生のリスクを低減できる。
分散型ネットワークのメリットを受けやすい業種は、製造業や小売り、ヘルスケアなどだ。これらの業種は分散型ネットワークを採用することによって、データのリアルタイム分析、AI利用、IoT(モノのインターネット)サービスといったことに取り組みやすくなる。分散型ネットワークはパフォーマンスの向上に加え、通信費用を抑えることも可能にする。
セキュリティ駆動型ネットワーキング
近年、セキュリティはネットワークに「追加」するのではなく、最初から「統合」する動きが広がっている。それを実現するための技術として、ネットワークとセキュリティの機能を組み合わせたクラウド型の仕組み「SASE」(セキュアアクセスサービスエッジ)がある。SASEは「SD-WAN」(ソフトウェア定義WAN)や、セキュリティの機能を集約した「SSE」(セキュリティサービスエッジ)などを組み合わせ、安全なネットワーク運用を可能にする。
SASEをはじめとするネットワークとセキュリティを一本化した仕組みの導入は、企業に以下のメリットをもたらす。
- ツールの統合
- 侵害リスクの低減
- コンプライアンス(法令順守)の向上
後編は、「5G」(第5世代移動通信)や無線LAN規格「IEEE 802.11be」(Wi-Fi 7)を巡る動きを紹介する。
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