5200人のIT専門家調査
AIガバナンスに「7億円超」投資が約4割 データで見る2026年の“AI予算相場”
Cisco Systemsは、世界12カ国のIT、セキュリティ専門家5200人を対象に実施した調査レポートを発表し、AI導入の加速に伴い企業のデータガバナンス体制が問われている実態を明らかにした。
Cisco Systemsは2026年1月、人工知能(AI)時代における企業のデータプライバシーやガバナンスの現状をまとめた調査レポートを公開した。同調査は、世界12カ国(注)のIT・セキュリティ専門家5200人を対象に2025年9月に実施したものだ。
※注:英国、米国、中国、フランス、ドイツ、インド、イタリア、日本、メキシコ、サウジアラビア、スペイン、ブラジル
調査レポートからは、企業におけるAI導入が加速し、高品質のデータ需要が増加した結果、社内のデータ管理やプライバシー体制の課題が顕在化し、信頼やセキュリティ、競争力が問われている実態が明らかになった。
企業が推進するべきガバナンス体制の中身は
調査レポートのタイトルは「A Shifting Paradigm: Governance in the Age of AI」(パラダイムシフト:AI時代におけるガバナンス)。「2026 Data and Privacy Benchmark Study」の結果をまとめたものだ。
この調査からは、AIの導入に合わせてデータ保護やデータの管理体制を強化している動きが明らかになった。調査によると、回答者の90%は「AI導入を機に、データプライバシーを保護するためのガバナンス基盤の構築を拡大した」と答えた。回答者の43%は、「過去1年間にプライバシー支出を増やした」と答えた。「過去1年間に、データプライバシーを保護するためのガバナンス基盤の構築に少なくとも500万ドルを投じた」と答えた回答者の割合は38%に達し、2024年の14%から大幅に上昇した。
AIシステムの複雑化や顧客、規制当局からの期待に対応し、「今後2年間にプライバシーやデータガバナンスへの経営資源投入を拡大する計画」であると答えた回答者は93%だった。
AI導入でプライバシーと信頼の基準が上昇、ガバナンスは進化の途上
調査レポートによると、回答者の96%は、「強固なプライバシーの枠組みがAIの俊敏性とイノベーションを促進する」と答えた。95%の回答者は、「プライバシーは、AIサービスへの顧客の信頼構築に不可欠だと認識している」と答えた。
調査レポートからは、規制を順守するだけでは顧客からの信頼を得ることが困難になっていること、AI時代特有のデータ透明性が顧客の期待に答えるための条件となりつつあることが明らかになった。調査結果によると、回答者の46%は「データの収集や利用方法の明確な説明」を顧客信頼の最重要要素と挙げ、「コンプライアンスの保持」(18%)や「データ侵害に対する対策」(14%)を上回った。
データガバナンスがビジネスの推進力となっていることも、調査から分かった。回答者の99%は、プライバシーへの取り組みから、「俊敏性の向上」「イノベーション」「顧客ロイヤリティーの強化」といったメリットを1つ以上得ていると答えた。
こうした流れを受け、企業の中には大規模なAIを責任を持って管理するために必要なガバナンス体制の定義と確立に取り組んでいる。調査の回答者は、その4分の3が専用のAIガバナンス機関を設置済みだと答えた。ただし、その体制が「成熟している」と答えたのは12%にとどまった。
AIシステムが扱うデータセットが複雑化、分散化する中で、効率的にデータにアクセスできない企業の姿も明らかになった。調査によると、回答者の65%は、「関連性の高い高品質なデータへの効率的なアクセスに苦労している」と答えた。「データセットのIP(知的財産)保護をガバナンスの重要課題と位置付けている」と答えた回答者は77%に達した。
AIが引き起こすグローバルなデータフローの課題
調査結果からは、データ要件の合理化と更新を求める声の高まりも見て取れた。回答者の72%は「データプライバシー法をおおむね肯定的に捉えている」と答えた。一方、81%の回答者は、データの保存先や転送先を特定地域内にとどめる「データローカライゼーション」の需要の高まりに直面していると回答した。
回答者の85%は、「データローカライゼーションが国境を越えたサービス提供のコスト、複雑さ、リスクを増大させる」と指摘した。77%の回答者は、「市場をまたいだシームレスな24時間365日のサービス提供能力が制限されている」と答えた。
国境を越えたデータ管理を実施するグローバル企業は、自社の事業規模に見合うテクノロジーパートナーを好む傾向が高いことも分かった。回答者の82%は、「グローバル規模のプロバイダーの方が国境を越えたデータフローの管理に優れている」と答えた。一方、「現地に保存されたデータの方が本質的に安全」という前提は徐々に崩れつつある。そう答えた企業の割合は、2024年の90%から86%に低下した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[NTTインテグレーション株式会社] 取引先のセキュリティをどう管理する? 「SCS評価制度」対応の勘所を解説 -
製品資料
[NTTインテグレーション株式会社] SCS評価制度「★4」取得のカギ 最大の壁を突破する方法とは? -
製品資料
[NTTインテグレーション株式会社] 2026年度末から運用開始 「SCS評価制度」に備えて製造業がやるべきことは? -
事例
[ネットワンパートナーズ株式会社, アイビーシー株式会社] ハイブリッド環境の一元管理と快適な無線LAN環境、三井ホームはどう実現した? -
市場調査・トレンド
[TD SYNNEX株式会社] 調査で学ぶセキュリティ運用の実態 人を増やさず品質を維持する方法とは?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
3
秘密鍵が盗まれる「Appleシリコンの脆弱性」は修正困難……苦肉の策とは?
-
4
IT人材の42%が転職予備軍 辞めさせない組織の4つの共通
-
5
「WSUS」終了の時限爆弾 “本命”移行先ツールとMicrosoft提唱の新管理手法
-
6
“脱Excel”を待ち受ける乱立問題 カカクコムが新ツール導入を見送った理由
-
7
「ノートPC派」は損をしている? Dellと考える“自作PC”のメリット
-
8
VMware離れがやっぱり加速 2500台のVM移行に挑む製造大手から学ぶ現実解
-
9
「コピペ運用の限界」に直面するAI活用 7割超が“別画面”のまま使う理由は?
-
10
「ひとり情シス」が急に退職 専門商社が外部パートナーと挑んだネットワーク刷新の裏側
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
2
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
3
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
4
バックアップは“取っているから大丈夫”なのか? ランサムウェア時代の備え方
-
5
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
6
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
7
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
8
5分で分かる Microsoft 365のデータ損失に備えるためのバックアップの仕組み
-
9
ネットワーク遅延の原因、「パケットロス」の基礎知識と効果的な解決策
-
10
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー