【徹底比較】商用ツールにも引けを取らない6つのOSS監視ツールを機能で比較:Zabbix、Hinemos、Nagiosなど主要ツールをピックアップ
OSSベースの運用監視ツールが機能と製品の面で充実してきている。6つのOSS監視ツールを4つの機能で比較した。
オープンソースソフトウェア(OSS)ベースのツールを利用したインフラ運用基盤の構築が広まってきている。特に運用管理の分野においては、監視ツールの機能、製品数がともに充実している。
ツールによって多少の差異はあるものの、監視できる「項目」という区分けをするのであれば、商用ツールと遜色のない範囲までカバーしてきている。操作性や設定上のきめ細かさなど、まだ商用ツールに一歩譲る点も多々あるが、実用性という面では十分なものといえるようになっている。
監視項目、監視対象システムの規模、運用操作性やコスト(初期および運用後)などさまざまな要件を検討した上で、今後の選択肢の1つとしてほしい。
本稿では、主だったOSS監視ツール6製品について、次の4つの機能で比較している。
対象製品名
- Hinemos 4.0.1
- Nagios 3.5.0
- Pandora FMS 4.0.3
- Xymon 4.3.10
- Zabbix 2.0.4
- Zenoss Core 4.2.0
対象機能
- 監視機能
- 性能管理機能
- 通知機能
- イベント管理機能
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監視機能
監視項目に関しては、いずれの製品でも一般的なOSレベル(PING監視など)やリソース監視、ログ監視、サービス監視など基本的な項目は網羅的にカバーしている。ミドルウェア製品の監視に関しては標準で対応している場合や、カスタマイズによって対応する場合があり、各製品に差異がある。
OSへのPING監視やプロセス監視、リソース監視は、どの製品も機能を提供しており基本的なサーバ監視運用が行える点では差異はない。
「Hinemos」「Zabbix」「Pandora FMS」「Xymon」「Nagios」は、プロセス監視での動作個数の閾値監視が可能である。Hinemosでは、プロセス名の引数を指定できたり、プロセス名を正規表現で定義したりすることもできる。「Zenoss Core」はプロセスの動作有無の監視となる。Nagios、Zabbixはさらにゾンビプロセスなどの状態監視もできるようになっている。
リソース監視は、CPU、メモリ、ディスク使用率やネットワークトラフィック関連など各種リソース情報の閾値監視機能が提供されているが、リソース監視項目のカバー範囲でいうとXymonは項目がやや限定的である。
ログ監視機能は、サーバの稼働状態やアプリケーションの動作状況などを定常的に監視するためによく使われる機能であるが、Xymonがログファイル機能のみを提供しているのに対し、他の製品はWindowsイベントログも標準で対応する。Zabbixは、文字列パターンを複雑な条件設定(AND条件やOR条件など)や正規表現を利用することもできる。
OSレベルより上位のミドルウェア監視やサービス監視も、最近の監視項目としてはごく一般化してきているが、各製品ともに特徴的な対応となっている。
Pandora FMSやZenoss Coreは標準の監視用テンプレートを提供し、Active Diretory(AD)やInternet Information Services(IIS)など複数のミドルウェアに対応している。ZabbixもMySQL、Apache Tomcatのテンプレートが付随している。Nagiosは主要なミドルウェア用のプラグインを提供しており、その対応範囲は幅広い。Hinemosは標準テンプレートという形態ではないが、カスタム監視機能を利用することでさまざまなミドルウェアの監視に対応できる。
各製品ともに標準で提供されていないミドルウェアに関してはカスタマイズやAPIなどを介して監視を可能にする機能も備えている。
最近、普及が著しい仮想環境基盤も、Hinemosのように専用のオプションモジュールが提供されていたり、テンプレートやプラグイン、カスタマイズの作り込みで対応するなど各製品ともに対応可能である。
OSS監視ツールは、コミュニティーサイトやインターネット上でさまざまなカスタマイズテクニックやノウハウが公開されているので、標準機能で提供されていないようなものも対応できる可能性がある。
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性能管理機能
監視運用をするに当たり、性能管理リポートを生成し、パフォーマンスの劣化対策や拡張プランニングに活用するケースは多い。各製品ともに画面上での性能管理情報をリスト表示することができ、標準でリポートの生成・出力が可能になっている。
ZabbixやPandora FMSでは、単一の性能リポートだけではなく、複数の異なる性能データを1枚のリポートに出力する複合リポート機能も提供する。ZenossCoreはHTML形式のリポート生成が可能である。
通知機能
監視ツールを用いた運用管理でカギとなるのが、アラート発生時の通知処理である。最近ではメール通知が多いと思われるが、メッセージ通知やコマンド実行などさまざまな方法を使えば、アラートの重大度や影響度に応じて通知処理も多様化できるだろう。
各製品ともにメールやコマンド(スクリプト)実行が可能なため、標準での通知手段の他に外部製品との連係も可能となる。
Hinemosでは、標準通知手段としてメールやコマンドの他、イベントの発行、ジョブ機能との連動、ログエスカレーションなどができる。Zabbixは、SMSやJabberチャットメッセージの発信が標準で可能だ。
イベント管理機能
イベント管理機能は、OSS監視ツールでの課題となっていたが、近年の機能強化によって、イベントを集中管理する機能やイベントの蓄積、保管、さらにはイベントを基にした自動アクション機能など十分な機能を提供するようになってきた。各製品ともに特徴的な機能を備えている。
以上、6つのOSS監視ツールについて、監視機能、性能管理機能、通知機能、イベント管理機能という4つの機能面で製品の特徴を整理した。本稿で紹介した機能や特徴はほんの一部なので、詳しくはPDFファイルにまとめた一覧表をダウンロードして参照してほしい。OSS監視ツールの導入を検討する際に参考となれば幸いである。
著者紹介
蝦名裕史 株式会社アシスト システムソフトウェア事業部 技術統括部 統括部長
メインフレームの運用管理ソフトのフィールド技術者を約8年担当。その後、オープン系のジョブ管理、監視、サービスデスク等の各種運用管理ソフトを担当。運用管理システム構築に関わる提案から設計、導入、保守などに従事し、現在に至る。
中村利一 株式会社アシスト システムソフトウェア事業部 技術統括部 顧客支援
統合運用管理ソフトウェアのJP1の技術者として設計、構築、サポートなどの業務を経て、現在はお客さまへの運用管理全般の提案活動とOSS運用監視ツールの技術者として活動している。
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