ガートナーの提言
自社に適した「賢いPaaS選択」 どれを選べばいいの?(1/2 ページ)
多くのベンダーがPaaSを提供している中で、自社が選択すべきPaaSはどれなのか。PaaSの種類やアーキテクチャの違い、サービス選択のポイントを紹介する。
多くのベンダーがPaaS(Platform as a Service)を提供している中で、自社が選択すべきPaaSはどれなのか、迷っている企業も多いのではないか。ガートナー ジャパンは2016年3月14日、「エンタープライズ・アプリケーション&アーキテクチャ サミット2016」において、PaaS選択のポイントを紹介するセッションを行った。
Gartner Researchのバイスプレジデント兼上級アナリストであるアン・トーマス氏は、PaaSの種類とそれぞれの特徴、メリットを把握することで、選択すべきものが見えてくると提言する。以下は全てトーマス氏の発言で、講演「賢いPaaS選択」の内容を要約したものだ。
PaaSについて考える3つの観点
本日はどのようにしてPaaSを選ぶべきか、選択の際の考慮点を話したい。
現在、世間のPaaSへの注目度は決して高くない。クラウドの中で最も注目されているのはSaaS(Software as a Service)で、次がIaaS(Infrastructure as a Service)、PaaSへの注目度はその次だろう。
だが企業は、SaaSよりも先にPaaSに取り組むべきだ。最初にSaaSに取り組んだとしても、拡張、統合することになり、結局はPaaSが必要になる。IaaSも同様だ。全てのインフラを自前で構築・管理することは魅力的だろうか? PaaSを利用し生産性を上げる方が正解だろう。アプリケーション開発においても同様で、継続的なデリバリー、マイクロサービス、「DevOps」などにはPaaSの利用が適している。
PaaSを利用すれば、新しい技術をいち早く載せてエンドユーザーにアプリケーションを提供できる。運用管理における時間短縮も実現する。こうしたメリットから、PaaSはあまりにも魅力的だ。Gartnerは、2018年までに25%の業務アプリケーションがPaaSへ移行すると推測している。
今回は、
- PaaSのアーキテクチャ
- PaaSの選択肢
- PaaS選択の考慮点
という3つの観点でお話する。
1.PaaSのアーキテクチャ
クラウドという言葉が指す技術は非常に幅広い。PaaSのアーキテクチャを考えるに当たり、本来はクラウドに含めるべきではないホスティングまでを入れて考えてみる。
クラウドプラットフォームの種類には、
- ホスティング
- IaaS
- IaaS+
- PaaS
- PaaS+
- SaaS
がある。
このクラウドプラットフォームを構成する技術レイヤーは、最上位の「アプリケーション」から、「生産性のアクセラレーター」「ミドルウェア・プラットフォーム」「リソース・オーケストレーション」「システム・インフラストラクチャ」まで5つ。
ホスティングでは全てのレイヤーがユーザー自身の手に委ねられ、プロバイダーは管理しない。IaaSはシステム・インフラストラクチャのみをプロバイダーが管理する。IaaS+では、システム・インフラストラクチャに加え、リソース・オーケストレーションまでをプロバイダーが管理する。PaaSはその2つに加え、ミドルウェア・プラットフォームまでの3レイヤーをプロバイダーが管理する。PaaS+は、加えて「生産性のアクセラレーター」までの4レイヤーをプロバイダーが管理する。SaaSではアプリケーションからシステム・インフラストラクチャに至るまで、全レイヤーをプロバイダーが管理する。
自由度で比較すれば、プロバイダーが何も管理しないホスティングの自由度が最も高く、全レイヤーをプロバイダーが管理するSaaSの自由度が最も低い。
一方で、価値実現までにかかる時間については自由度に反比例する。SaaSが最も短時間で価値実現に結び付き、ホスティングの時間短縮が最も難しい。
PaaSはフレームワークを独自開発することもできる。これはIaaS+という考え方だ。一方で、全てを独自開発するのではなく、既存パッケージを利用することも可能だ。コンテナ管理、リソース・オーケストレーション、クラスタ管理が1つのオープンソースパッケージとなっているオープンソースのPaaSフレームワークには、「Cloud Foundry」「DEIS」「OpenShift Origin」「Apache Stratos」などがある。
オンプレミス環境でプライベートPaaSを構築するために、複数のベンダーがPaaSフレームワークを含むソフトウェアのセットを提供している。Hewlett-Packard Enterpriseの「HPE Helion」、Pivotalの「Pivotal Cloud Foundry」、Red Hatの「OpenShift Enterprise」などがあり、近々Microsoftも「Azure Stack」を提供する予定だ。
それではPaaSの中身(アーキテクチャ)を見て行こう。まず、PaaSフレームワークには次のような機能がある。
- Webスケールのパフォーマンスを実現するためのオートスケーリング、高可用性、自動リカバリ、SLA強制の機能
- テナントを管理するためのテナント分離、テナントのセルフサービス、監視・請求処理の機能
- プラットフォーム管理を実現するための監視、チューニング、管理、継続的なバージョン管理の機能
このPaaSフレームワークの上には、「ミドルウェア・プラットフォーム・サービス」(xPaaS)が存在する。ミドルウェア・プラットフォーム・サービスは、アプリケーション(aPaaS)、統合(iPaaS)、データベース(dbPaaS)、BPM(bpmPaaS)、IoT(iotPaaS)、その他(xPaaS)に分かれている。
さらにその上のレイヤーには、フレームワーク、テンプレート、事前構築されたコンポーネント、アプリケーションのアクセラレーターが位置する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社うるる] 「入札市場」攻略ガイド:効率的に落札するためのポイントを徹底解説 -
製品資料
[株式会社うるる] 入札情報に特化した「販路拡大」「効率化」のためのサポートツールとは? -
市場調査・トレンド
[株式会社うるる] 公共入札に成功する企業と失敗する企業の「5つの違い」 -
製品資料
[日本ビジネスシステムズ株式会社] 専門家が教える、Microsoft 365の「テナント統合/分離」を成功に導く秘訣 -
製品資料
[rakumo株式会社] Microsoft 365での情報埋没を防ぐ、社内ナレッジを資産化する情報ポータル活用
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
2
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
3
生成AIが普及しても「技術書」を手放せないエンジニアの本音
-
4
“アジャイルの壁”に挑むオリックス生命がIBMの開発管理ツールを選んだ理由
-
5
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
6
「テザリング依存」に潜む落とし穴 “遅いVPN”を解消するネット構築術
-
7
ライオンが挑む「守りのIT」脱却:Google Cloudで加速させるデータ駆動型経営
-
8
IT製品の導入に関するアンケート「セキュリティ」編
-
9
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
10
Claude利用8割のGMO、AI人材の評価軸が「トークン管理」に変わった
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
3
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
4
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
7
AI駆動開発のスピードと安全性を両立 「品質・セキュリティ管理」の実践ガイド
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
「標的型攻撃メール」事例・サンプル集
-
10
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー