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Microsoftによる買収でGitHubは“あのうまみ”も得ていた?GitHubのCEOが語る未来【第9回】

2018年、MicrosoftはGitHub社を傘下に収めた。GitHub社のCEOトーマス・ドームケ氏は、MicrosoftがGitHubにもたらした影響をどう見ているのか。

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 Microsoftは、2018年にソースコード共有サービス「GitHub」の運営元であるGitHub社を買収した。GitHub社のCEOであるトーマス・ドームケ氏は、この買収がもたらした効果をどう評価しているのか。

“あの分野”でのGitHubの悩みがなくなった

―― Microsoftとの相乗効果をどう評価しますか。Microsoftの一員となったことで、GitHub社はより多くの開発者や顧客にリーチできるようになりました。これにはどのようなメリットがありましたか。

ドームケ氏 最初に、われわれは開発者が常に最優先であることを強調したい。当社のWebサイトでMicrosoftの製品を売ることはない。われわれは、開発者がアプリケーションを開発するために必要なものに集中している。もちろん、Microsoftから後押しはたくさん得ている。その代表例が、AI(人工知能)技術を組み込んだソースコード自動生成ツール「GitHub Copilot」だ。GitHub Copilotは、AI技術ベンダーOpenAIが提供する自然言語処理モデル「GPT」の亜種、「OpenAI Codex」を活用している。

 MicrosoftはOpenAIのパートナー企業であり、たまたまMicrosoftとOpenAIはOpenAI Codexについてすでに密接に連携していた。そのおかげで、当社はクラウドサービス群「Microsoft Azure」のデータセンターで、Microsoftが持っているGPU(グラフィックス処理装置)を使って推論モデル(予測をするための機械学習モデル)を実行できるようになった。これにより、データセンターの設置やGPU購入のコストの心配がなくなった。

 GitHub CopilotのようなAIアシスタント(AI技術を活用して対話型でタスクを実行するアプリケーション)を考える場合、レイテンシ(遅延)の解消は特に重要だ。GitHub Copilotで言うと、エンドユーザーが何かを入力し終えたとき、GitHub Copilotが次のソースコードの候補をすぐに表示しないとどうなるだろうか。エンドユーザーはGitHub Copilotを使う気にならず、自分でソースコードを書くだけになるだろう。GPUを活用した製品はすでに米国と欧州で提供しており、今後はアジアにも提供する計画だ。

 ビジネス面で言えば、例えばシンガポールではGitHubよりもMicrosoftの方がはるかにシェアが大きい。当社がMicrosoftの顧客とのコネクションを作れるよう助けてくれている。

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