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ZoomはMicrosoft製品の「共存ツール」かむしろ「代替ツール」か?脱コラボレーションツール化するZoom【第5回】

コラボレーションツール「Zoom」は、“単なる会議ツール”から脱却しようとしている。Zoom Video Communicationsが目指す“今後のZoom”とは、どのようなツールなのか。

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 コラボレーションツール「Zoom」を提供するZoom Video Communicationsの目標は、「Zoomがデスクトップになくてはならない存在になること」だ。そのためには、他のコラボレーションツールベンダーとの間で差別化を図る必要がある。特に同社が競合として意識するのはMicrosoftだ。具体的にはどのような取り組みを進めるのか。

次世代のZoomは「Microsoft製品」の共存ツールか、代替ツールか?

 Zoom Video Communicationsがターゲットとするのは、例えば以下3つの企業像だ。

  • Microsoftの製品・サービスを利用していない企業、または利用したくない企業
  • Microsoftの製品・サービスに依存していない企業
  • Microsoftの製品・サービスが使えない場合の選択肢として、Zoomが役立つと考える企業

 Zoom Video CommunicationsでEMEA(欧州、中東、アフリカ)地域の責任者を務めるフレデリック・マリス氏は、Microsoftと同社との関係について「丁寧にバランスを取る必要がある」と指摘し、Microsoftを「恐るべき競争相手だ」と述べる。マリス氏は、Zoom Video CommunicationsとMicrosoftが競合する分野が存在し、その分野でMicrosoftのユーザー企業を奪うことは簡単ではないとみる。一方で、コラボレーションツールベンダー各社はさまざまな製品開発に取り組んでおり、「競争と共存のバランスを取ることが重要だ」と同氏は話す。

 マリス氏によれば、以下はZoom Video Communicationsが今後重点を置く製品・サービスだ。

  • コンタクトセンターのクラウドサービス「CCaaS」(Contact Center as a Service)である「Zoom Contact Center」
  • ジェネレーティブAI(生成AI)を用いた営業支援機能を持つ「Zoom IQ for Sales」

 「ユーザー企業がZoom Video Communicationsをどのようなベンダーだと認識しているのか」は、同社の今後の課題になるとマリス氏は指摘する。「ユーザー企業の声を聞き、当社ができる支援を丁寧に伝えることに注力する必要がある」と同氏は語る。Zoomはチャットやスケジューリング、通話といったさまざまな機能を備えている。「エンドユーザーがどこにいても使える、強力で直感的なツールを提供できる」(同氏)

 Zoom Video Communicationsがベンダーとしてユーザー企業からどのように認識されたいのかと、同社が今後どのような取り組みを進めるかという2点の方向性を、まずは一致させる必要があるとマリス氏は指摘する。同社は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)で、異例とも言える急激な成長を経験した。だがパンデミック終息後の状況は異なる。「全社として『変貌する』ための作業に取り組んでいる」とマリス氏は強調し、「やるべき仕事はまだたくさんある」と語る。

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