災害復旧計画の8つのTips(前編)
災害復旧において最も陥りやすい失敗
災害復旧は偶然うまくいくものではない──これが失敗しない秘策だ。信頼できる災害復旧計画を立案するために役立つTipsを紹介しよう。
災害復旧計画(DRP)について、あるCIOと話をしたことがある。そのとき、そのCIOは「立証可能」な災害復旧を目指したいと語った。しかし、災害復旧の「立証可能性」を実現すること、あるいは少なくとも予測可能性を高めることは、決して容易なことではない。
基本的に、災害復旧には状況によって変化するさまざまな要素が含まれる。特定の要素だけに絞れば、対応するのは比較的容易だ。また、実行することもそれほど困難ではない。難しいのは、さまざまな要素を同期させ、全体として機能させることである。
これから紹介するTipsは、今後より信頼できる災害復旧計画を立案しようとするとき、きっとあなたの役に立つだろう。
1. 組織上の責任を明確に定義する
災害復旧に当たって組織が最も陥りやすい失敗は、役割と責任の所在が不明確になることだ。DRプロセスは、データのリストアやレプリケーションだけにとどまらない。ビジネスの遂行に不可欠なアプリケーションやシステムを点検、復旧することも重要だ。それらを実行するためには、コーポレートガバナンスや管理、財務、事業部門など、IT部門以外のグループにも関与してもらわなければならない。
2. ビジネスインパクト分析(BIA)プロセスを有効にする
技術的にいえば、BIAはDRプロセスには入らない。むしろDR計画の基盤を構成するための前提となるものだ。理論的には、BIAのアウトプットをベースに、ビジネスをサポートするためにIT部門が設計、実現しなければならない復旧キャパシティーなどを定義できる。しかし残念ながら、現実の世界はそれほど単純ではなく、情報もしばしば不完全だ。そのギャップを埋めるためには、一定の仮説を立てる必要があるだろう。
3. 階層型アプリケーション復旧サービスを定義する
IT関係者が災害復旧戦略について議論しているのを経営陣が耳にすれば、当然考えることは「コスト」だ。DRは保険であり、保険にはあまりお金を掛けたくはない。だから効率的であることが重要になる。DRには、例えば復旧サイトの整備など、本来的に大きな固定費が伴う。その他にも、さまざまな名目の変動費がのし掛かってくる。ここで重要なのは、全てのアプリケーションが必ずしも2時間のリカバリータイムを必要としないという事実だ。多段階の復旧レベルを定義するBIAの要求定義をベースにサービス目録を作成し、アプリケーションに優先順位を付けるのも、コストの膨張を抑制する1つの方法だ。階層型復旧サービスでは、重要度に応じてアプリケーションの優先度を決定できる。サービスカタログにおいて定義されるべきビジネス属性は、一般的には目標復旧時間(RTO)と目標復旧ポイント(RPO)で算出する「リスク」、パフォーマンスおよび一貫性レベルを含む「サービス品質」、そしてコストがある。
4. 包括的なコストモデルを実装する
ビジネスインパクト分析でビジネスラインのダウンタイムの影響を判断し、階層型復旧サービスでビジネス要求に沿って優先順位付けしたサービスカタログを作成できる。ここでもう1つ必要になるのが、それらのサービスのコストを決定し、配分する手法だ。コーポレートガバナンスは、復旧の閾値の設定や保護のミニマムレベルを示してくれるだろう。しかし、サービスレベルはコストによって大きく左右される。コストモデルでは、サービスの対価としてビジネスラインに割り当てる単位総所有コストを計算すべきだ。コストモデルに含まれる項目には、人件費や設備費、ハードウェア、ソフトウェア、メンテナンス、サポートなどがある。こうしたデータがあれば“want”と“need"をすり合わせるとき非常に役立ち、また必要なサービスを必要なところに効率的に提供することが可能になる。
次回はインフラ設計や選定などに関する4つのTipsを紹介する。
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