2017年03月03日 08時00分 UPDATE
特集/連載

Computer Weekly製品ガイドネットワーク機能仮想化で高まる柔軟性

固定ネットワークアーキテクチャではもはや、現代のネットワークニーズには対応できなくなった。答えはネットワーク機能仮想化(NFV)にある。

[Steve Evans,Computer Weekly]
Computer Weekly

 世界はますますモバイル化、クラウド化、柔軟化、アジャイル化が進展している。この変化は、新しい生き方や働き方をもたらす。さらにはITの在り方も変化させる。消費量に基づく従量制モデルの人気が高まって、企業は需要変動に応じてリソースを拡張、縮小できるようになる。

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 ネットワークはその全てを実現する存在でなければならない。実際にそうなっているはずであり、データはかつてないレベルでネットワークを流れている。だが多くの場合、そのネットワークが全てを滞らせている。固定されたネットワークアーキテクチャではもはや、現代のネットワークに必要とされる柔軟性は実現できない。

 そこにネットワーク機能仮想化(NFV)の出番がある。ファイアウォールやルーターといったネットワーク機能は、実質的にプロプライエタリなハードウェアから切り離されて、x86ハードウェア上の仮想マシンを通じて管理される。新しいサービスやアプリケーションは必要に応じて導入でき、ネットワークの柔軟性とアジャイル性が大幅に高まる。コモディティハードウェアによってコストも削減できる。

SDNとの類似点

 これはソフトウェア定義ネットワーク(SDN)と非常によく似ている。この2つは相互に補完し合い、重複する部分も多いが、実質的な違いがある。SDNはネットワークそのものに重点が置かれるのに対し、NFVはネットワーク上で運営する負荷分散やファイアウォール、侵入検知システム(IPS)といったコンポーネントに関わるものだ。いずれか一方のみを使うことも可能だが、併用した方がいいと言って間違いはないだろう。

 NFVで実現できるメリットは、企業の目標を一層高い所へと押し上げる。IHS Markitによると、NFVハードウェアとソフトウェア、サービスの市場は2015年の27億ドルから2020年までには155億ドルに達する見通しだ。その売り上げの約80%をソフトウェアが占める。

 一方、Cienaの調査では、英国においてNFVは「ビジネスメインストリームの域に達した」。企業のほぼ3分の2(61%)は既に何らかの仮想化アプリケーションに投資しているか、次の年までに投資する計画がある。ほぼ半数(41%)は、新サービス導入のスピードがNFVへのシフトの鍵になると回答した。

 だがなぜ今なのか。突き詰めて言えば、技術がユーザーの需要に追い付いたということだと451 Researchのネットワーク調査担当バイスプレジデント、ジェニファー・クラーク氏は言う。

 「クラウドの台頭や、自分がどこにいても情報やリソースへアクセスすることは、同様に柔軟なネットワークアーキテクチャを必要とする。アプリケーションアーキテクチャと同じくらい柔軟なネットワークアーキテクチャがなければ、会社全体の足を引っ張る」

 通信事業者やサービス事業者がいち早くNFVを採用したことに不思議はない。こうした企業は設備投資と運営経費の削減や、NFVが実現するネットワークの柔軟性向上によって最も恩恵を受ける立場にある。その中でも、仮想加入者宅内機器(vCPE)は現在、最も注目されている。

 「ほとんどの新技術と同様に、NFVは既存の問題を解決できる。だがもっとうまい方法での解決が可能だ」。そう語るのはBrocade Communications Systemsの製品管理ソフトウェアネットワーキング担当バイスプレジデントのマイケル・バション氏。「通信事業者側の最も初期の用途は、vCPEを中心とする。vCPEは分岐接続という根本的な問題を解決する。離れた場所や支社、キャンパスを、広範なネットワークやデータセンター、クラウドとどう接続するのか」

 Cienaの欧州担当CTO(最高技術責任者)ジョー・マーセラ氏は、「問題はスケールにある。vCPEの量は物理CPEの数をしのぐことができる。そうした拡張ができることに大きな利点がある」と話す。

 だがvCPEよりも大きな考え方をしている企業もある。例えばOrange Business Services(OBS)は、2013年からNFVやSDNに目を向けてきた。2013年に同社顧客を対象に実施した調査では、アジャイル性を高めたネットワークに対する要望が大きいと分かった。OBSは静的なネットワークアーキテクチャを使っていて、サービスの提供に時間がかかっていた。そこで同社はJuniper Networksと組んで、SDN&NFVベースのネットワークサービス「Easy Go Network」の構築に乗り出した。

 Easy Go Networkはルーターの「MX Series 3D Universal Edge」とSDNコントローラー「Contrail」および仮想ファイアウォール「vSRX」で構成されている。顧客は自分たちのネットワークポリシーを管理して、新しいネットワークサービスを動的に構築できる。

 OBSのネットワークソリューション事業部門責任者、ピエールルイス・ビアッギ氏は言う。「われわれは既にファイアウォール、負荷分散、Webコンテンツフィルターを含むフルセットのサービスを仮想化モードで提供している。顧客は数クリックでこのサービスを注文でき、自動的に提供させることができる。最も大切なこととして、この全てがオープンプロトコルを使って構築されており、複数のサプライヤーがネットワークに機能や価値を追加できる」

 AT&TもNFVとSDNに目を向けている。同社の「Domain 2.0」プログラムは、2020年までに同社のネットワークの75%以上を仮想化してコントロールするという野心的な計画だ。「われわれの無線ネットワークを流れるトラフィックは、主にビデオにけん引されて8年で10万%増加した。われわれは予想された音声トラフィックの微増に備えて何年も前に設計されたネットワークモデルを、ストリーミングビデオと高解像度のゲームおよび写真が集中するソーシャルメディアの世界に順応させることを求めている」(同社)

未成熟

 だが、多くの企業がNFVの導入を進めていても、誰にとっても投資する価値があるほどにはこの技術は成熟していない。Juniperのエクセレンスセンター上級ディレクター兼責任者のコリン・エバンズ氏は、パフォーマンスが問題になるかもしれないと述べ、次のように指摘した。

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