AIエージェント時代、人間の処理能力が限界に
人間のせいでAIエージェントの生産性が上がらない
AIエンジニアのイド・サロモン氏は、複数のAIエージェントを並行利用する際、人間が生産性向上のボトルネックになると指摘する。同氏は、その対策として3つの考え方を示す。
AIエージェントを使えば、コーディングや調査、資料作成といった複数の作業を並行して進められる。では、AIエージェントを増やせば増やすほど、人の生産性もそのまま高まるかというと、実際はそう単純ではない。
AIエージェント関連プロジェクト「MCP Apps」などの開発に関わるイド・サロモン氏は、AIが高速に仕事を進められるようになった一方、人間の処理能力がAIエージェント活用のボトルネックになっている可能性があると指摘する。では、どうすればいいのか。サロモン氏の提案を紹介する。
“人間がボトルネックに”を解決するには
サロモン氏は「規模が大きくなるほど、それぞれのエージェントを指示し、レビューする作業は疲れる」と指摘する。
AIエージェントを業務に活用すれば、複数のAIエージェントが同時並行で各自のタスクを処理することが可能だ。一方、AIエージェントを立ち上げれば仕事が自動的に終わるわけではない。人間は各エージェントに方向性を示し、必要に応じて軌道修正し、最終的な成果物を確認する必要がある。
数体なら管理できても、十数体、数十体のAIエージェントが別々の仕事を始めれば、人間が全ての状況を頭の中で把握することは難しくなる。AIエージェントが処理できる仕事量ではなく、「人がどれだけ同時に監督できるか」が上限になってしまうということだ。
この問題に対してサロモン氏が挙げる考え方は、大きく「可視化」「自律化」「協調」の3つに整理できる。
AIエージェントの作業を「可視化」する
サロモン氏は、「どのAIエージェントが人間の注意を必要としているのか」を短時間で判断できることが必要だと指摘する。そこで有用なのが、複数のAIエージェントが何をしているのかを一目で把握できる仕組みだ。サロモン氏が開発するAIエージェント管理ツール「AgentCraft」では、それぞれのAIエージェントについて、現在担当しているタスクや直前に実行した処理などを一覧で確認できる。
ファイルシステムと連携し、「どのAIエージェントがどのディレクトリやファイルを操作しているのか」を画面上に表示する仕組みも備える。変更箇所をヒートマップのように可視化することで、利用者が全エージェントの詳細なログを1つずつ読む必要を減らす狙いがある。
例えばAIエージェントから質問が来た場合や、人による計画の承認が必要になった場合だけ、そのエージェントに利用者の注意を誘導する。全てを常時監視するのではなく、人が介入すべき場面を絞り込む考え方だ。
細かな「付きっきり管理」を減らす
ただし、状況を見やすくするだけでは問題は解決しない。20件のタスクが並行して動いていれば、画面上で全てを確認できたとしても、人間が20件を同時に判断することは難しいからだ。そこで必要になるのがAIエージェントの「自律化」だ。
例えば、コードベースをAIエージェント自身に調べさせ、次に必要な作業を洗い出してタスク化する。さらに上位のAIエージェントが仕事を細分化し、別のエージェントに割り振ることで、人間が一つ一つ作業を指示する必要を減らせる。
自律化によって「一つ一つのタスクを付きっきりで監督する」状態から抜け出せるとサロモン氏は述べる。一方で、AIエージェントの自律性を高めても、人間による最終確認そのものがなくなるわけではない。
複数のAIエージェントが同時に成果物を作れば、今度はレビュー待ちがたまる。5件の変更を同じタイミングで確認するだけでも、人間側には相応の負担が掛かる。
AgentCraftではこの負担を減らすため、変更したファイルだけでなく、処理結果を画像や動画などの「視覚的な証拠」として提示する仕組みを用意しているという。
複数のAIエージェントに同じタスクを実行させ、その成果を比較して採用する方法も想定する。目的は、AIの作業工程を全て読み解くことではなく、人間が最終結果を短時間で判断できる状態を作ることだ。
レビューを1人に集中させない
可視化と自律化を進めても、別の問題が残る。AIエージェントの管理やレビューを1人が担当していれば、その人が組織全体のボトルネックになることだ。さらに、全ての成果物を同じ人が評価することが適切とは限らない。デザインであればデザイナー、製品仕様であればプロダクト担当者など、内容に応じて別の専門家が確認した方が合理的なケースもある。
そこでサロモン氏が重視する3つ目の要素が「協調」だ。AgentCraftでは、複数の利用者が同じ作業空間に参加し、それぞれの人やAIエージェントが担当している作業を共有する仕組みを試している。
例えばデザイナーがデザインを作成すると、エンジニアはその成果を確認しながら実装を進められる。人同士だけでなくAIエージェント同士も、他のエージェントが何を担当しているかを共有する構成を想定している。
サロモン氏は、AIエージェント活用を1人と複数のAIとの関係として捉えるのではなく、「人とAIが混在するチーム」として設計する必要性を示している。
本稿は、2026年9月27日にAI Engineerが公開したWe're the bottleneck, but we don't have to be — Ido Salomon, MCP Appsを基に作成しました。
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