「Mobile Pwn2Own 2017」レポート
「iPhone」を無線LANにつなぐだけでデータ流出の恐れ――脆弱性発見コンテストで判明
脆弱性発見コンテストの「Mobile Pwn2Own 2017」では、セキュリティ研究者がコードの実行と賞金の獲得を目指して腕を競った。中でも注目すべきは、「iOS 11」の脆弱性を突いたハッキングが成功したことだ。
モバイルデバイス対象の脆弱(ぜいじゃく)性発見コンテスト「Mobile Pwn2Own 2017」に参加したセキュリティ研究者は、Appleの最新モバイルOS「iOS 11.1」を搭載した「iPhone」など各種スマートフォンのハッキングに成功した。
AppleはiOS 11.1を2017年10月31日にリリースした。トレンドマイクロのセキュリティ研究機関Zero Day Initiative(ZDI)が主催するMobile Pwn2Own 2017は、翌11月1日と2日の両日に開催され、iOS 11.1は複数回ハッキングされた。Tencentの同じくセキュリティ研究機関であるKeen Security Labが「iPhone 7」で稼働するiOS 11を2つの方法でハッキングし、このコンテストで最も深刻な打撃を与えた。
Mobile Pwn2Ownの初日にKeen Security Labチームは、無線LAN関連の計4種類の脆弱性を突くエクスプロイトコードを実行してiOS 11のハッキングに成功。不正アプリケーションをロードして、デバイスの再起動後も作動するようにした。ハッキングにどのような脆弱性を使用したかは不明だ。Appleは以前、最近見つかった無線LANの脆弱性「KRACK」がiOS 11.1で修正したことを認めていた。今回は、これとは別の無線LANの問題が使われたはずだ。
iOS 11.1で成功したハッキングの中身
Keen Security Labチームが初日に使用した脆弱性の1つは、2日目に中国のセキュリティベンダーQihu 360 Softwareのチームが、iOS 11.1を狙った無線LANハッキングで使用した。トレンドマイクロでZDIの広報を担当するダスティン・チャイルズ氏は「これには驚かされた」と語る。
同じ脆弱性が狙われた事態は確かに興味深い。だがここで見過ごしてはならないのは、Qihu 360 Softwareのチームが、iPhoneが無線LANに接続しただけで、エクスプロイトコードで攻撃され、データを抜き取られる恐れがあることを実証したことだとチャイルズ氏は主張する。
初日にKeen Security Labチームは、iOSの標準Webブラウザ「Safari」とシステムサービスの脆弱性を突いてiOS 11をハッキングすることに成功し、不正アプリケーションを組み込んでデバイスの再起動後も稼働するようにした。同チームはMobile Pwn2Ownでのこれらの実績により、合計15万5000ドルの賞金を獲得した。
“fluorescence”のニックネームでも知られるセキュリティ研究者リチャード・チュー氏は、Safariの脆弱性ともう1つのバグを突いて、iOSのサンドボックス構造(アプリケーションを他のアプリケーションから隔離して実行する仕組み)を回避してコードを実行し、2万5000ドルを手に入れた。
Mobile Pwn2Own 2017まとめ
セキュリティベンダーZimperiumの創業者イツァク・アブラハム氏はTwitterで「新しくアップデートされたスマートフォンにもリスクがあることを、エンドユーザーが理解することが重要だ」と指摘した。2017年のMobile Pwn2Ownから分かるのは、スマートフォンは決して安全ではないということだ。時代遅れになった古いスマートフォンは言うまでもない。「データを安全に保護するのであれば、相応の準備が必要だ」とアブラハム氏はTwitterで主張する。
今回のMobile Pwn2Own 2017では、幾つものグループがさまざまな機種をリモートでハッキングし、脆弱性の報告も幾つもあった。われわれエンドユーザーにとっては困った事態だ。このコンテストの結果は「残念ながら、私が現場で見ているセキュリティ動向と完全に一致している」とアブラハム氏は説明する。
Mobile Pwn2Own 2017全体を振り返ると、初日は各種デバイスに対するハッキングが5件成功し、2件が失敗した。2日目はハッキングが6件試みられ、全て成功した。成功した11件のハッキングは、Samsung Electronicsの「Galaxy S8」、Huawei Technologiesの「HUAWEI Mate 9 Pro」、AppleのiPhone 7に対するものだった。ZDIは、Mobile Pwn2Own 2017は過去最大規模となり、合計32種類の脆弱性が報告されたと述べている。
スロバキアのESETのマルウェア研究者ルーカス・ステファンコ氏はTwitterで、今回のコンテストではGoogleのスマートフォン「Pixel」はハッキングされなかったが、iPhoneは、そうはいかなかったと指摘した。
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