どんな暗号化技術よりも信頼できる――
iPhone「iOS」の安全性をITプロが信じるようになった“2010年の転換点”
Appleの「iOS」のビジネスレベルのセキュリティがITプロフェッショナルから称賛されている。iOSは高度なデータ保護機能と暗号化機能を備えた強力なビジネスプラットフォームだという。
ITプロフェッショナルによれば、Appleの「iOS」のデータ保護にはさまざまな仕組みが取り入れられており、それらを破るのは非常に難しいという。
最近はAppleと米連邦捜査局(FBI)の対立をきっかけにiOSの暗号化技術が大いに注目を集めている。2015年12月にカリフォルニア州サンバーナーディーノで起きた銃乱射事件の容疑者が所有していたiPhoneのロック解除をめぐり、Appleは「全ユーザーのプライバシー保護」を理由にFBIへの協力を拒否した。Appleのこの対応を目の当たりにし、多くのITプロフェッショナルはiOSが企業レベルのセキュアなプラットフォームであるとの認識を新たにした。
「どんな暗号化よりも効果的だ。こうしたAppleの強固な姿勢をIT業界は高く評価している。iOSにとっては最大の強みとなる」と非営利団体Tri-Counties Regional Centerの最高情報責任者(CIO)を務めるドミニク・ナムナス氏は語る。
全てのiOSデバイスは、ユーザーデータを保護するための暗号化機能をハードウェアとファームウェアレベルで搭載している。iOSのデータ保護機能が準拠している暗号規格「Advanced Encryption Standard(AES)」は、米国政府も機密情報の保護に採用している最高レベルの暗号化方式だ。iOSデバイスのデータはデバイスのロック中は暗号化されるので、ハッカーであれFBIであれ、誰もデータを読むことはできない。たとえ、脱獄(Jailbreak)などを介してパスワードなしでiOSデバイスに侵入することができたとしてもだ。さらに、誤ったパスワードを連続して一定回数以上入力すると、iOSデバイスは内部データを全消去する仕組みになっている。
2010年リリースの「iOS 4」が転換点に
コンサルティング会社dBrn Associatesの主任アナリスト、マイケル・フィネラン氏によれば、iOSは当初、セキュアなプラットフォームとは見なされていなかった。だが2010年に「iOS 4」がリリースされ、その状況が変化したという。Appleはこのアップデートで、サードパーティー向けにモバイルデバイス管理(MDM)用APIの提供を開始した。
「それが転換点となった。その後の何年間か、私たちはiPhoneの心配をせずに済んでいる。AppleはiPhoneのセキュリティ強化を続けており、減速させるつもりがないことは明らかだ」とフィネラン氏は語る。
iOSの最新バージョン「iOS 9」において、Appleはデバイスのパスコードの長さを4桁から6桁に増やした。「この変更によって、ユーザー認証のセキュリティが向上した」とアラスカ州の公益事業会社でITディレクターを務めるマット・コシュト氏は指摘する。
「Appleはセキュリティの穴をふさぐことに常に熱心だ。セキュリティを大いに重視している。セキュリティは企業にとって最も懸念の大きい分野だ」と同氏は続ける。
2013年リリースの「iPhone 5s」で導入された指紋認証機能「Touch ID」も、iOSの主要なデータ保護機能の1つだ。AppleリセラーであるTSPの創業者で最高技術責任者(CTO)のマイケル・オー氏によれば、Touch IDが導入される以前はパスコードを使わないユーザーが多く、そのことがセキュリティの脅威になっていたという。だがTouch IDと6桁のパスコードの組み合わせによって、仮にiPhoneやiPadが紛失または盗難にあっても、所有者以外の誰かがそのデータにアクセスするのは極めて難しくなった。
Appleは2014年、Touch IDのAPIもサードパーティーアプリ向けに公開している。
「Touch IDの重要性をよく理解していない人が多いが、恐らくモバイルセキュリティにとってこれまでで最大の進歩の1つだ」とdBrn Associatesのフィネラン氏は語る。
またVPN接続をアプリごとに設定する「Per-App VPN」と呼ばれる機能を使えば、企業データと個人データでネットワーク経路を分けることが可能だ。指定したアプリにのみVPN接続を許可し、それ以外のアプリはVPNを利用しないようにできる。
「iOSの初期のころには、デバイスに追加のセキュリティ対策を加える必要があった。だが今では、そのままでもアプリを確実に隔離できる」と前出のコシュト氏は語る。
ただしiOSには1つ、ITプロフェッショナルを不安にさせるような機能がある。Appleのクラウドストレージサービス「iCloud」だ。iCloudはデバイスのデータおよび設定の自動バックアップを提供する。
「AppleはiCloudをもっと何とかする必要がありそうだ」とコシュト氏は語る。
業務データを自動的にiCloudにバックアップするiOSデバイスの存在は、データ漏えいや規制へのコンプライアンスをめぐる懸念を引き起こしかねない。また、ハッカーが実際のデバイスにアクセスせずにiCloudアカウントへのアクセスを取得できてしまう恐れもある。
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