Case Study
巨大カジノの大量バックアップを救った仮想化技術
ホテル予約システムやスロットマシン監視システムがフル稼働する巨大娯楽施設フォックスウッズでは、毎晩2.5Tバイトものデータをバックアップしている。チーフエンジニアのグリロ氏は、バックアップ/リストア時間の短縮とメディアとドライブの障害回避に乗り出した。
コネティカット州にある総合娯楽施設フォックスウッズ・リゾートカジノでは、顧客が楽しんでいる間、ホテル予約システム、財務管理システム、スロットマシン監視システムなどがフル稼働している。中でも、フォックスウッズ自慢の最新鋭システムが、プレイヤーとその格付けを管理するためのカジノ管理アプリケーションである。
同カジノのMIS(経営情報システム)エンタープライズシステム部門のチーフエンジニアを務めるグリロ氏は、「最も不安だったのは、バックアップ環境で使っている複数のメディアに障害が起きないかということだった」と話す。
グリロ氏が掲げた課題は、バックアップ/リストア時間を短縮すること、メディアとドライブの障害をなくすこと、そして同カジノの2台のテープライブラリと10台のテープドライブのハードウェアメンテナンスコストを削減することであった。また、ディザスタリカバリサイトを構築する必要もあった。
グリロ氏は当初、ディスクシステムを採用する方針だったが、コストが掛かりすぎることが分かったという。同氏が次に検討したのは、EMC、ストレージテックおよびセパトンの仮想テープライブラリである……。
マイク・グリロ氏が1990年代に、コネティカット州マシャンタケットにある総合娯楽施設フォックスウッズ・リゾートカジノに入社した当時、コンピュータ室として使われていたのは6フィート(約1.8メートル)四方の物置部屋だった。それから10年後、同カジノのITシステムは複数のコンピュータ室に移動し、スタッフたちは毎晩、2.5Tバイトのデータをサーバからテープにバックアップしていた。
しかし拡大を続けるフォックスウッズでは、データの保護に関しては一か八かの賭けをしているような状態だった。
世界最大のカジノリゾートと銘打たれたフォックスウッズには6つのカジノがあり、数百台のゲームテーブルと7400台のスロットマシンが用意されている。施設内には3棟の高層ホテルが営業している。毎日4万人の顧客がこのカジノを訪れ、1万3000人の従業員がそこで働いている。
顧客が楽しんでいる間、各種のコンピュータシステムはフル稼働している。これらは、ホテル予約システム、財務管理システム、スロットマシン監視システムなどである。中でも、フォックスウッズ自慢の最新鋭システムが、プレイヤーとその格付けを管理するためのカジノ管理アプリケーションである。
この複合型カジノ施設を所有しているのはネイティブアメリカンのマシャンタケット・ピーコット族であり、同社のITスタッフは、24時間体制のE911(緊急番号911への発信元の位置特定)をはじめとする重要なサービスを同コミュニティーに提供している。
同カジノのMIS(経営情報システム)エンタープライズシステム部門のチーフエンジニアを務めるグリロ氏は、「最も不安だったのは、バックアップ環境で使っている複数のメディアに障害が起きないかということだった」と話す。
「復旧にも時間がかかった。これはテープドライブの速度的な限界のせいだ。復旧に26時間もかかったこともあった」(同氏)
同カジノでは、データのバックアップ/リストア用にIBMの「TotalStorage 3494 Tape Library」(「IBM TotalStorage Enterprise Tape System 3590」テープドライブを10台使用)および「IBM Tivoli Storage Manager」ソフトウェアを利用していた。
問題は、テープがずっとライブラリと同じ場所に置かれていたことだ。サーバのデータが、同じ部屋の中でバックアップされていたのだ。コンピュータ室で災害が発生すれば、全社的な機能停止に陥ってしまう恐れがあった。「これは問題だった」とグリロ氏は話す。しかし同氏がこの問題に対処するために、約50万ドルの予算が承認されたのは、2004年の末になってからのことだった。
タスクとソリューション
グリロ氏が掲げた課題は、バックアップ/リストア時間を短縮すること、メディアとドライブの障害をなくすこと、そして同カジノの2台のテープライブラリと10台のテープドライブのハードウェアメンテナンスコストを削減することであった。また、ディザスタリカバリサイトを構築する必要もあった。
グリロ氏は当初、ディスクシステムを採用する方針だったが、コストが掛かりすぎることが分かったという。同氏が次に検討したのは、EMC、ストレージテックおよびセパトンの仮想テープライブラリである。中でもとりわけ注目したのが「Sepaton S2100-ES2」仮想テープライブラリだった。「セパトンは対応が非常に良かった。彼らがテスト用の装置を実際に動かしてくれたので、われわれはすぐにオンサイトテストを実施できた」とグリロ氏は話す。同社のスピーディな対応が採用の決め手となったわけではないが、結局、ものを言ったのはスピードだった。セパトンの製品は、リストア速度でEMCの製品を上回っていたのだ。「リストア時間の短縮が最大の目標だった」(グリロ氏)
グリロ氏は、フォックスウッズのAPCサーバラックをセパトンに送った。「すべてのラックが同じように見える」ように形式を統一するためだ。次に、セパトンの装置が現場に据え付けられた。このシステムはハードウェアと仮想テープライブラリソフトウェアで構成され、データ保存容量は非圧縮時で57Tバイトである。「システムの統合作業にかかった時間は全部で35分だった」(グリロ氏)
IT部門のスタッフは、ライブラリの仮想ドライブとテープのコンフィギュレーションを設定し、同ライブラリを「Tivoli Storage Manager」(TSM)サーバに接続した上で、新しいライブラリとテープを認識するようTSMを設定した。
このシステム変更のおかげで、データリストア速度が200%改善され、メディアやテープドライブの障害に悩まされることもなくなったという。「データテープが損傷する心配をしなくて済むようになった」と同氏は話す。ハードウェアのメンテナンスコストも10%減少した。ITスタッフが管理しなければならない物理的なテープの数も、1500本から数百本に減り、これらは現在、オフサイトのライブラリに置かれている。「以前はディザスタリカバリソリューションとして、1カ所に配備された2台のテープライブラリで1500本のテープを使っていたが、現在では、仮想テープライブラリをプライマリストレージとして使用し、そこから9マイル離れたディザスタリカバリサイトに配備した新しいテープライブラリで120本ほどのテープを使っている」(グリロ氏)
「電子メールは当社にとって生命線のようなものだ。どのような理由であれ、電子メールが利用できなくなれば一巻の終わりだ」とグリロ氏は話す。
かつては、障害が起きると、復旧するのに24時間かかることもあったという。ドライブを業務システムから切り離せるようになるまで待たなければならなかったからだ。
「今では、データを移行できるようになるまで待つ必要はない。最近のシステムダウンのときは、復旧作業に2時間もかからなかった。これはすごい進歩だ」(同氏)
(この記事は2006年2月10日に掲載されたものを翻訳しました。)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣 -
製品資料
[サイボウズ株式会社] AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
4
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
5
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
-
6
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
7
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
8
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
9
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
10
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー